12:絶対にバレないだろう
「!? どうやって!? いや、シナンはカトラズに住み込みだろう?」
「まあ、まずは話を聞くといい、拓海様。そもそもベリル様はヴァンパイアだ。聴力が優れている。となると、急に拓海様が姿を消せば、声で捜索されてしまう可能性がある。そしてその声が秘密の花園にいると特定されたら……それはまずいと?」
とんでもないことだ。大きく頷く。
「リマに聞いたが、拓海様は既に『誕生の証』もお持ちとのこと。つまり声を追えなくても、『誕生の証』で居場所を特定されてしまう。その居場所を特定された時、そこが……」
「秘密の花園だと、とても困る」
即答する俺に、シナンはクスリと笑う。
「ベリル様と拓海様の力関係が分かる反応ぶりだ。それはさておき。レッド家の邸宅がある街・メクレンブルの秘密の花園を利用すれば即バレるだろう。位置が特定された瞬間に分かる。でもこれから向かうサイレントヴィレッジはどうだ? これもリマから聞いたが、ベリル様はサイレントヴィレッジに向かうのは初めてだろう? もちろんベリル様のことだ。今回向かうにあたり、下調べは済ませていると思う。だが秘密の花園の場所まで、確認していると思うか?」
それは……。
「そこまでは確認してないと思う」
それでなくともベリルは忙しい。
というか、シナンはサイレントヴィレッジの秘密の花園へ案内するつもりなのか……?
「俺も確認はしていないと思う。そもそも女が利用する場所ではないからな。それに拓海様が秘密の花園に行くかもしれないと考えた時、サイレントヴィレッジの秘密の花園に行くなんて、想像できないだろう」
「その通りだと思う。今もこんな話をしているとは……想像もしていないかと」
離れた場所で、ヴァイオレットとリマと一緒に、店員からハーブについて説明してもらっているベリルの姿を見る。
ヴァンパイアは確かに聴力に優れているが、常に離れた場所の音まで拾っているわけではない。そばで話している者がいれば、そちらの声に耳を傾ける。その間は、離れた場所の声は聞きとらない。離れた場所の音を聞き取るためには、そちらへ意識を向ける必要がある。
「それにどこの秘密の花園も、表向きは全然違うことになっている。一階は紳士服の店で、実は二階と三階は秘密の花園、なんて感じだ。でもさすがに自分達の暮らす街の秘密の花園が、表向きはなんのお店かは、把握しているだろう。
でもサイレントヴィレッジの秘密の花園が、なんの店をやっているかは、分からないはずだ。もし、追跡や『誕生の証』で位置が特定されても、その店にあらかじめ行くと話していれば、疑われる心配は少ない。しかもそこには俺とあのキャノスもいく、ということになっていれば絶対にバレないだろう」
「……キャノスも行くのか?」
シナンは力強く頷く。
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