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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode4】デスヘルドル波乱の予感編

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3:そっくり?

サイレントヴィレッジに向け、出発するまでの三日間は、予想通り、怒涛の勢いで過ぎていく。騎士の訓練もしつつ、葬儀に参加したり、リマの騎士叙任式に参列したり。ゼテク、レイラ、スピネル、フローライトがすすめているリハビリ施設も見学した。


リハビリ施設はあっという間に完成し(やっぱり魔法は便利)、カルロスとマリーナの父親の治療も始まっている。俺はリマとキャノスと様子を見に行き、初めてカルロスの姿を見た。


その姿を見て、俺はレイラの言葉を思い出す。


ホリデーシーズンの別荘で、ベリルの婚約者候補と一緒に滞在していた時。


俺を魔術の効かない体質(ノー・ダメージ)と思っていたゼテク達『ザイド』のメンバーは、ケバブサンドの店員になりすまし、別荘に潜入。俺のことを誘拐した。


その誘拐のために、レイラとリマは妖艶なベリーダンスのダンサーに扮していた。


昼食会場から皆が移動を開始し、他の騎士がいなくなった時、レイラは俺とキャノスに声をかけた。重くて運べない荷物があるから、それを運んで欲しいと。しかも、キャノスではなく、俺に。


あの時はセクシーな衣装の踊り子に御指名され、少し鼻の下を伸ばしていた。


もちろん、俺の心はベリルのものだ。他の女子に手を出すつもりなんてない。でも男の本能で、胸に目はいくし、言い寄られたら、悪い気持ちにはならない。

ともかくなぜ金髪碧眼のキャノスではなく、俺を指名したのかと思ったら……。


――「だってあなたは……亡くなった私の恋人にそっくりだったから」


レイラはそう言ったのだ。

俺を誘い出すための、作り話と思っていたが……。


――「5年前に、仕事中にトラブルに巻き込まれてしまって……」


レイラはそうも言っていたのだが、確かにカルロスは5年前に姿を消している。


つまり、レイラの話は嘘ではない。

あの時はとんでもない演技力にまんまと騙され、誘拐されることになった。だからつい最近まで、レイラに裏の顔があるのではと、恐ろしく感じていた。レッド家の配下に『ザイド』が入り、テルギア魔法国を共に旅する間も、警戒感は消えていない。


でも今となっては、それは杞憂に過ぎなかったと思える。


レイラは基本的に、嘘は言っていない。

そう、基本的には。

俺とカルロスが似ている……。

廊下の窓越しに見えるカルロスを、俺は再びガン見する。


カルロスは逞しい体躯をしていた。

ボクシングの階級で言えば、俺はウェルター級だ。でもカルロスはどう見てもライトヘビー級だろう。多分、79キロはある。その分、身長も高い。


……よくあの体格で女神に変装したよな。


髪は……少しクセがあるダークブラウンというところは、まあ、一致している。でもカルロスの髪は長い。それに俺は奥二重だが、カルロスはくっきり二重だ。


何をもってして、「そっくり」と言ったのだろう?


不意に、隣にいたリマが笑みを漏らす。


リマはすっかり隊服姿も板につき、腰にはベリルから贈られた剣を身に着けている。


「な、なんだよ、リマ、急に……」


「え、だって、拓海を誘拐した時のこと、思い出して。レイラの誘いをあそこまで全否定する男なんて初めて見たから。しかも、あのダンサーの衣装で。落ちない男はいない、とまで言われていたのに。念のためであの薬を用意しておいて良かったわ」


「……! だって俺にはベリルがいる。ベリルとのファーストキスを、レイラに奪われるわけにはいかなかった!」


リマは面倒くさそうに「はい、はい」と言うと、大きく息をはく。


「ホント、そーゆうところはカルロスそっくり。真面目で、一途で、お姉ちゃん命」


「!! なあ、リマ。俺、あの時、レイラから『亡くなった私の恋人にそっくり』って言われたけど」


「え、何、信じたの、それ? 色仕掛けの時の常套句だよ。その一言で、急に近づいても疑われないでしょ」


……! そうだったのか。


たまたま本当にカルロスが失踪し、死んだかもしれないとなっていただけで、色仕掛けでは定番のやり方だったのか……。


「まあ、でも、うちらは拓海のことを調べていたから、お姉ちゃんがカルロスに似ていると感じたのも仕方ないと思うけど? だって、ベリル様のことを見る拓海の眼差しって、カルロスとそっくりだったし」


「……!」


「まあ、あんたのその粘っこい視線のせいで、ベリル様は堕ちてしまったのね。本当にお可哀そうだわ。別荘にはた~くさん、イイ男がいたのに。クレメンス様とベリル様なんて、ホント美男美女で、それはそれはお似合いだったのにさ~。あの婚約発表の時に並んだ二人の姿。まさに王子様とお姫様。それに比べはあんたときたら……」


リマの言葉に撃沈する。


ベリルとクレメンスがお似合いとうのは……。

誰が見てもそうだ。

俺がベリルの婚約者になったと聞いて、あの別荘に来ていた婚約者候補はみんな、唖然としたことだろう。


カイなんて歯ぎしりして、悔しがっていそうだ……。

どよ~ん、と暗い空気が俺の周囲に漂った時。


「リマ、それは違うと思いますよ」

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