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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】俺の貞操大ピンチ編

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78:全てを話そう

ブノワの逃走を助け、なんとか倉庫に辿り着く。

レッド家の追跡は、とんでもなく凄まじいものだった。

何度も、もうダメだと思う瞬間があった。


それなのに倉庫まで辿り着けたのは、ブノワの尋常ならざる魔術のおかげだ。


魔力は10%しか残っていない。

ブノワはそう言っていたはずだ。

だがさっきの戦闘を見る限り、とても10%の魔力とは思えない。


決闘があったあの日。

ケルベロスを召喚した時。いや、その時以上の魔力の強さだ。


飛行を続けながら、魔獣や霊獣を召喚した。


数十体のセイレーンとシーホースを召喚し、さらにスキュラまで召喚しようとしたところで、倉庫の敷地に到着できた。そこは、ブルーノ家とテルギア魔法国の交易品を格納する倉庫。その土地の権利は、ブノワとヤナという魔法使いが所有していた。だが、ブノワは国外追放になり、ヤナもブノワとの交易がなくなり、打ち捨てられた場所になっていた。打ち捨てられたとはいえ、ヤナは変わらず土地の権利を持ち、ブノワからブルーノ家に権利が移った後も、そのままになっている。


そこがブルーノ家の土地であれば、そのままレッド家の騎士は、ブノワを追うことができた。だが、魔法使いが、テルギア魔法国が絡むとなると、迂闊には手を出せない。


しかも敷地には『パンドラ』のメンバーが潜んでいる。

レッド家は一旦、退却を余儀なくされた。


まんまと逃げおおせたブノワは、レッド家から連れ去ってきた美少女を、鎖で吊るした。聞けばその美少女は、祖先にヴァンパイアを持つらしく、その血が上質なのだという。


見舞い代わりでベリルはこの美少女を、ブノワが治療を受けていたレッド家の病院へ送り込んだらしい。そしてブノワは、その美少女に吸血するよう言われた。吸血した瞬間、全身に力がみなぎり、魔力が回復したような気持ちになった。ベリル以来の極上の血を口にしたブノワは、吸血行動を抑えられなくなる。止めようとする者を振り払い、その美少女を連れ、逃走を図ったというわけだ。


この美少女の血は、ただの人間の血ではない。レッド家の魔力が強いのは、この美少女のおかげだ。


そうブノワは言った。


その後は自身に刺さった矢を抜くよう、ブノワはマリーナに指示を出す。そしてそれが終わると、ブルーノ家に行き、あの伝言を報告するよう命令された。


「今すぐぼくの家に向かい、父君に伝えてくれ。レッド家の秘密を掴んだと。これですべてを覆せるし、我が家は最強になれる。だからぼくが敷居をまたぐ許可を出してくれと」


重い気持ちで倉庫から出て、ブルーノ家に向かおうとしばらく飛行を続けたところで、ベリルにマリーナは声をかけられた。


マリーナは心底驚いた。


ブノワに協力していることを責められると思った。だがベリルは……。


「今日の午後、私を訪問してくれたと聞いている。昨晩いろいろ問題があってな。警備が厳しくなっており、迅速に対応できなかった。私の手紙を読んだのだろう? そして私を尋ねて来てくれたのだろう? 助けが必要だったのに、すぐに対応できず、すまなかった」


そう謝罪された時、マリーナの心は決まった。

ベリルに全てを話そうと。


この時点でベリル達は、俺を、ダリアをさらった犯人が何者なのか、見当がついていなかった。


ブルーノ家とテルギア魔法国が共同所有する土地に逃げ込み、マリーナと行動を共にしていたことから、ブルーノ家の誰かが犯人とは予想していた。でもそれがブノワだとは、思ってもみなかった。


しかもその倉庫の敷地に、レッド家を襲撃した元『ザイド』のメンバーや狂殺者きょうさつしゃがいる理由も、まだ解明できていない。


何より、倉庫に踏み込みたいが、テルギア魔法国の誰があの土地を所有しているのか、それも判明していない。それを知るため、ベリルはブルーノ家に向かっているところだった。


それを理解したマリーナは、ヤナという魔法使いの名をすぐにベリルに伝えた。


ベリルはすぐにゼテクにヤナの名を伝え、ゼテクがヤナに連絡をとることになる。ヤナとの連絡がつくまでの間に、マリーナは、ブノワの陰謀を洗いざらい話した。


それを今、ベリルが俺に、聞かせてくれていたのだ。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

「拓海もすっかりその気分なのか」

です。

アレンとカレンに焚きつけられた拓海は……。


それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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