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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】俺の貞操大ピンチ編

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59:すごい! 本当にしゃべった

クリーム色の病衣を着たルチアは、昨日より元気そうに見える。


フローライトはルチアに問診を行い、そして今回の経緯を説明した。


すると。


「本当ですか!? ベリル様がわざわざ……。とても光栄です。これは怪我の功名ですね。わたし、ついています!」


ルチアはとても喜んでくれた。


「彼女はダリア。祖先にヴァンパイアがいたようで、血が普通とは違うの。だから大量の摂取はせず、私が止めたら、吸血を止めるようにしてね」


診察室に設置されていたベッドに腰をおろす俺のことを、スピネルがルチアに紹介した。


その俺を見たルチアは……。


「わあ、なんてグラマラスなの!! それになんか生気がある。彼女の血を吸ったら……確かに元気になりそう」


ルチアは嬉しそうに微笑み、スピネルを見る。


「ええ。上質な血よ。吸血は手首から行ってあげてね」


「分かりました」


返事をしたルチアは、俺の正面に置かれた丸椅子に座る。


「初めまして、ダリア」

「初めまして、ルチアさん」

「すごい! 本当にしゃべった」


ルチアが目を丸くする。


「そうね。珍しいでしょう。さあ、ルチア、吸血して」


スピネルに促され、ルチアが口を開く。


「……ダリアさん、あまり痛くならいようにするから、いいかしら?」


俺は頷き、左手を差し出す。

ルチアは俺の左手を持つと、躊躇なく牙を立てる。


首筋と違い、痛みも弱く、送られてくる魔力による快感も緩やかだ。難なく快感をコントロールし、吸血するルチアを見守る。


「はい、ストップ」


スピネルがルチアに声をかける。


が。


ルチアは夢中で吸血をしている。


俺はスピネルを見上げる。

スピネルはため息をつき、ルチアの背後に回ると……。


ルチアの目を手で覆った。

突然視界を遮られたルチアは、驚いて口を開く。

その瞬間、ぐいっと体ごとルチアを俺から離した。


ルチアは小柄な女性だが、精鋭騎士だ。

筋肉もあるし、スピネルよりも力がありそうだったが……。


スピネルはルチアの足が浮くぐらい、彼女の体を持ち上げていた。


改めてスピネルもヴァンパイアなのだと実感する。


「ルチア、もうお終いよ」


「……! す、すみません。スピネルさん。その、私……」


「大丈夫。上質な血だから、つい、止まらなくなるわよね」


スピネルがルチアの体を床に下ろした。


「……はい。つい、我を忘れて……。すみません」


ルチアは分かりやすく落ち込んでいる。


「気にしないで。そのために私がここにいるのだから。……それでどうかしら? 元気は出た?」


「はい。信じられないぐらい、力がみなぎったように感じています。なんだか魔力も回復したみたいな気もしますが、まさかそれは」


「そうね。さすがにそれはないと思うけど。でも、元気になってよかった」


スピネルは微笑んだ。


「ベリル様によろしくお伝えください。一線からは外れるかもしれませんが、回復したら引き続きレッド家に、なんらかの形でお仕えしたいと思っています」


ルチアは姿勢を正してスピネルを見る。


「ええ。伝えておくわ」


「ルチアさん、それでは部屋に戻りましょうか。また夕方の回診でお薬と検査用に採血をしますから、それまでは安静でお願いしますね」


フローライトが言うと、看護師がルチアを連れ、診察室から出て行った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!

本日もゆるりとお楽しみください。

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