27:愛の証であるベッドから抜け出せない
「ベ、ベリル、本当にいいのか」
ワイン色の美しい髪が、純白の枕の上に広がっている。
「ああ、構わない。父上からも許可が出ている」
二重の綺麗なルビー色の瞳が、俺を見上げている。
「で、でも……」
ベリルのむきだしの白い肩や鎖骨が目に入り、俺の心臓はもう破裂寸前だ。
「何を躊躇う? 父上も許可した。そして私も構わぬと言っているのだ。それにここまできて、今さらどうするつもりなのだ、拓海?」
ベリルの白い腕が俺の肩に伸びる。
「いや、でも……」
細い指を俺の髪に絡ませながら、ベリルは小さくため息をつく。
「私とでは嫌なのか?」
その言葉に俺はブンブンと首を振る。
「もう待てない。拓海」
ルビー色の瞳が煌めく。
「早く」
その言葉が合図となった。
俺はゆっくりベッドに体を沈めた。
◇
「はーい、ベリルお嬢様、拓海様、起きてください」
「起きていただけないと、ソースを鼻から流し込みますよ」
聞き捨てならない一言に、目を覚ます。
「おや。ベリルお嬢様が起きませんね」
アレンが陶器に入ったソースを手に、ベリルに向かった。
「ストーップ! ア、アレン、ベリルに何をするつもりだ!?」
「え、起こそうとしているだけですよ」
「俺が起こす!!」
壊れ物を扱うようにベリルの肩を抱き寄せ、優しく声をかける。
「ベリル、起きられるか?」
前髪を持ち上げ、額に優しくキスをした。
その瞬間。
信じられない程の幸せを噛みしめる。
キスって……甘い。
「……拓海」
ルビー色の美しい瞳が開いた。
その瞳は艶やかに煌めき、チェリーレッド色の唇が誘うように俺の名を囁いた。
「ゆっくり休めたか?」
俺が静かに頷くと。
「来て、拓海」
甘えるように名前を呼ばれ、両腕が俺の首に絡まる。
そして。
激痛と快感が全身を貫いた。
◇
鼻に違和感を覚え、飛び起きる。
「おわっと。拓海様、急に起きないでくださいよ」
陶器に入ったソースを手にしたアレンが、後ろに一歩下がった。
「!? アレン、もしかして、それを俺の鼻に!?」
「え、だって起きてください、って言っているのに、拓海様起きないから」
「仕方ないだろう!! ベリルに吸血されて意識飛んでいたのだから!! それにベリルだってまだ……」
俺はそこにいるはずのベリルの姿がないことに気づく。
「え……」
部屋を見渡すと……。
窓に面した日当たりのいい場所に、テーブルと椅子が置かれていた。
そのテーブルには料理が並べられ、ベリルはそこに着席している。さらにカレンに給仕されながら、紅茶をいれてもらっていた。しかも、既にオペラピンクの綺麗なドレスを着て、髪も美しく整えられている。
え、俺、そんなに意識飛んでいたのか!?
「ほら、ベリルお嬢様がお待ちになっていますよ。レッド家の邸宅内で、ベリルお嬢様と一晩を明かし、その愛の証であるベッドから抜け出したくないという気持ちは、よ~~~く分かります。が、もうすぐお昼ですからね。今日もやることは盛り沢山ですから、起きていいただかないと」
「ア、アレン! 言い方!!」
「ほら、早くバスルームへ行ってください。それともベリルお嬢様の前で着替えますか? まあ、もうお互いの体は隅から隅まで確認しあったでしょうから、ここで着替えられても問題ないかと思いますが。ねえ、ベリルお嬢様」
アレンにふられたベリルは……。
「私は構わないぞ。拓海の体は何度見たって、私を喜ばせるからな」
「べ、ベリル!!」
「では脱ぎますか、拓海様」
「!? ア、アレン、ズボンを引っ張るな!!」
ベリルはすました顔で紅茶を口に運び、カレンは俺を見てくすくすと笑い、俺は必死にズボンを押さえ……。
目覚めるなりベリルと双子の召使いに、翻弄されることになった。
本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!
次回更新タイトルは
『素肌とバストの弾力に悩殺された結果』
です。
心拍数が上がりそうな展開が続きます。
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
明日のご来訪もお待ちしています!!






