18:新たな第三騎士
ベリルは着々と第三騎士の選定を進め、そうしている間にカーネリアンとバーミリオンの婚儀は五カ月後に執り行われることが決まった。二人の結婚式に向け、レッド家は大きく動き出し、毎日がなんだか慌ただしい感じだ。
俺は騎士の訓練に日々参加しつつ、ベリルは当主補佐として、カーネリアンと共に、ロードクロサイトの執務を手伝っている。そして時間がある時、ベリルと俺は、カーネリアンとバーミリオンの婚儀に向けた準備に同席していた。そうするよう指示したのは、ロードクロサイトだ。いずれやってくる自分達の婚儀の予行練習(?)をさせてもらっていた。
この頃からベリルと俺は、昼食はロードクロサイト夫妻とカーネリアンとバーミリオンと取るようになった。そして夕食はこれまで通り、スピネルと三騎士達ととっている。
そして今、夕食を終え、みんなは隣室に移動していた。いつものように暖炉の前のソファに座り、お酒片手の寛ぎタイムが始まった。ちなみに俺は、カカオたっぷりのココアを楽しんでいる。
「バーミリオンの代わりとなる第三騎士の選定を進めていたが、今日、決定した。ゼテクとの話し合いで、無事決まった」
ロゼワインのはいったグラスを手に、ベリルが皆を見た。
うん、ゼテク?と思ったら……。
「第三騎士にはリマが就任することになった」
俺は心の中で「えっ!?」と衝撃を受けたが……。
「なるほど。それは良い選択かと思います」
ヴァイオレットが即答した。
「リマは暗殺術に長けていますが、それはすなわち戦闘能力に優れているということ。騎士が通常扱わない武器を使える点は、戦闘時に大きなアドバンテージになると思います。私はリマと一戦交えましたが、あの曲刀を使った踊るような動きには、かなり翻弄されました。身のこなしも軽く、動きに掴みどころがない。もちろんこれからは騎士の訓練に参加し、騎士としてのスキルも身に着けていくのでしょうが、これまで培った戦闘能力を、暗殺以外の場で活用してもらうのはいいことだと思います」
ナルホド……。
確かにリマは、ベリーダンスも上手かった。
身のこなし、身軽さ、つかみどころのない動き。
確かにそれで見慣れない曲刀で攻撃されるのは……厄介に思えた。
「リマが『ザイド』のメンバーであった、という点も、大きな意味がありますよね」
そう切り出したのはキャノスだ。
「ゼテクとジャマールではないですけど、私とリマが並んでいるだけで、敵はひるむでしょうね。一応、私はブラッド国ではハーフであり、魔法使いでもあることは知られています。そしてリマは鮮血の暗殺者で知られる『ザイド』に属していた。魔法使いと暗殺者というあり得ない組み合わせに加え、リマは魔術が効かない体質。これは相当なインパクトになると思います。それに『ザイド』で鍛えられたリマは、諜報活動に長けています。当主補佐に必要なスキルは、情報収集とベリル様は仰っていました。その点、リマはまさしくこれから必要な存在と思います。ですからリマを第三騎士に選んだのは、良い判断だと思います」
キャノスが言うことは……まさにその通りだ。
まさか暗殺者と魔法使いが共にいるなんて。しかも暗殺者は魔術が効かない体質。もし俺がヴァンパイアだったら、この二人の相手はごめんこむりたい。
何せこちらの魔術は無効化されるのに、魔法による攻撃をされるのだから。
「拓海はどう思う?」
ベリルが俺を見る。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
本日もゆるりとお楽しみください。






