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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】俺の貞操大ピンチ編

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8:ブノワの素行~人目を忍び(1)~

次にベリルが気になるブノワの素行と遭遇するのは、夜会でのことだ。


婚約者が決まる前のベリルには、夜会への招待状が多数届き、ロードクロサイトの指示で、毎晩のように夜会へ足を運ぶことになった。


その日はブルーノ家の夜会に招待されていたのだが……。


既に婚約者がいるのに、ブルーノ家の長男は、ベリルにやたらと絡んできた。


その長男から逃げるうちに、夜会の会場であるホールを離れ、私室があるエリアに迷い込んでしまった。


ただ、そのエリアは夜会の客が紛れ込まないよう、廊下の照明はすべて落とされている。


よって本来そこは真っ暗のはずなのだが……。

細く開いた扉から漏れる、一筋の明かりが見えた。

部屋の中をのぞくつもりはない。

すぐに立ち去るつもりだった。

だがヴァンパイアは聴力が優れている。

ゆえにその部屋から交わされる会話が、聞こえてきてしまう。


「もちろん、ぼくに婚約者はいない。だから君との相性を確認してみて、もしそれが問題なければ父君に君のことを話すよ」


ブノワの声だ。


「もちろん禁じられていることだし、ちょっとだけだよ。それに最後までするつもりはないから」


「で、でも……」


「君が嫌と言うなら無理強いはしないよ。でも君はぼくのことが好きなのだろう? ぼくの婚約者になりたいのだろう?」


「……はい」


「だったら、ね。いいだろう? そうすれば君はスタートラインに立てるのだから」


「……分かりました」


この時、ベリルが理解したのは、「禁じられていること」を「ちょっとだけする」ということぐらいだ。一体全体何をするつもりなのか、ベリルには分からない。


ただ、何か良からぬことをブノワがしようとしている、ということだけは理解できた。しかも言葉巧みに相手に要求を飲ませようとしていることも、理解した。


マリーナの一件もある。

どうもブノワという人間には裏の顔がありそうだ。

ブノワに対する警戒心が、ベリルの中でハッキリ芽生えた。



三度目のブノワの気になる素行を目撃したのは、ホタルの森で行われた秋の行楽イベントの時だ。ホタルの森と言えば、ベリルがピクニックで俺を連れて行ってくれたことがある。ちなみにこの森で『ザイド』の襲撃に遭い、誘拐未遂事件も起きた。


秋の行楽イベント、それは5つの有力ヴァンパイアが共同開催で行う「オータムフェスティバル」と呼ばれていた。街の住人を無料で招待して行われるイベントで、川のそばで飲食が提供され、森の中では宝探しのゲームが行われ、草原では乗馬体験や剣術や魔術披露などが行われる。


ベリルは手伝いで、このイベントに参加していた。


イベントは一日がかりで行われ、ベリルはやってきた街のヴァンパイアに料理を手渡し、乗馬体験ではポニーに乗る子供を手伝った。さらに炎を使った魔術を披露し、来場者を楽しませた。


すべてのイベントが終わった後、ベリルは自身の三騎士を連れ、ホタルの森の見回りをしていた。


宝探しで見つけられなかった宝物は、そのままそこに残されることになっている。後日森でその宝物を発見するヴァンパイアには、思いがけないサプライズになるだろう。


見回りをしているのは、宝探しで森に入った子供が、迷子になって取り残されていないか、その確認のためだ。


キャノスが飼っている魔法の鳥、マルコとシモネも飛ばし、森の中の確認をした。


「ベリル様、大丈夫そうですね。戻りましょうか」


ヴァイオレットに言われ、川の方へ戻ろうとした時。


バーミリオンが困った顔で、ベリル達のところへ駆け寄った。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『ブノワの素行~人目を忍び(2)~』

『ブノワの素行~人目を忍び(3)~』

です。

それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています!!

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