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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】テルギア魔法国捜索編

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53:肝心のカーネリアンの声が……

追っ手をまいたカーネリアンは先を急ぎ、無言で飛び続けた。


かなりの時間が空白の時間となった。つまり、沈黙の時間。


だが、やがてバーミリオンが目覚めた。

でも口に布でも噛まされているのか、声が聞きづらい。


ただ、バーミリオンの「うう」とか「うぐ」とかそう言った声から、会話をしていると感じるのだが……。肝心のカーネリアンの声が聞こえない。


ベリルはカーネリアンが警戒していると、すぐ気づいた。


ヴァンパイアの聴力が優れていることは、ヴァンパイアであれば周知の事実。


そしてカーネリアンは、クレメンスとその三騎士に追われた。今もその聴力を生かし、クレメンス達が自分を探し続けている。そう、カーネリアンが考えてもおかしくない。


つまり、声で居場所がバレないように、カーネリアンは魔法薬で声を変えたに違いなかった。


クレメンスを警戒している――そこから考えられることは、二つ。


声を聞かれる場所にはいない。でもクレメンスが夜を徹しあちこち捜索を続け、声をきっかけに見つけられてしまう可能性を恐れている。


もしくは。


声が聞こえてしまう場所に、カーネリアンとバーミリオンはいる。だから声で居場所がバレることを恐れている可能性だ。


もし後者であるなら。

カーネリアンは俺達がどこの宿にいるか、つかんでいるとも言える。


つまり、俺達のいるこの宿から近い場所に、カーネリアンとバーミリオンがいる可能性が高い、ということだ。


グレースタウンに行くと見せかけた点を加味すると、俺達の泊まる宿の近くに二人がいる。これが正解に思えた。


……クレメンスは罠かもしれないと判断し、グレースタウンへ追っていくことを止めた。それは正解のはず。


俺はチラリとクレメンスを見る。

今日のクレメンスは、白いシャツにフロスティブルーのジレ(ベスト)とズボン、そしてブルーアシード色のジュストコール(上衣)を着ていた。いつ見ても洗練されている。さらにイケメンな上に、緊急時に適切な指示をだせる冷静さ。


もし、俺がベリルに召喚されていなかったら……。

間違いなくベリルはクレメンスと……。

いや、クレメンスには想い人がいる。

一体どんな女性が、クレメンスのハートを射止めたのだろう……。


「一言でいい。ちゃんとした言葉を、バーミリオンが発してくれたら、居場所が特定できる。そう思った時だった」


ベリルの話は続いている。


クレメンスから視線を外し、ベリルを見た。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『ベリルの中で焦りが生まれた』

『カーネリアンをさらった魔女⁉』

です。

次回、ついにカーネリアンの居場所が明らかに!

それでは明日のご来訪もお待ちしています‼

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