15:異世界は……最高‼
夢のような時間はまだ終わらなかった。
この日の訓練を終えたベリルが部屋に来ると、本日二度目の吸血を行ったのだ。
信じられないほど俺は満たされ、深い眠りにつくことができた。
実験を行った次の日も同じだった。
いや、さらに俺にとっては嬉しい状況になっていた。
ベリルは朝・昼・夜と俺の元を訪れ、吸血を行った。
つまり俺は一日三回、綺麗なベリルの顔を見ながら、快感を味わうことができたのだ。
しかも俺がどんなに恍惚な表情をしようとベリルは何も言わなかった。ここではない世界でこんな顔をしていたら……職員室に呼ばれ、説教されていたところだ。
異世界は……最高だった。
ちなみにこの日、スピネルがいくつか俺の血について分かったことを教えてくれた。
まず少量での驚異的な回復は、俺から直接摂取しないダメだということが判明した。
つまり、注射器で採取した血液で同じ効果があるか試したが、結果はこの世界の人間から血を摂取した時と変わらなかった。少量では失われた血を補えなかったし、魔力も回復しなかった。
そして血を失っておらず、魔力も減っていない状態で俺から血を摂取すると、魔力が一時的に増強される――強化されることが分かった。それは一噛みであろうと、三噛みであろうと、十噛みであろうと、強化の度合いは変わらないようだった。
加えて、俺から血の摂取をする時に注入する魔力を一定にして繰り返すと、十回目の吸血行為、すなわち魔力の注入で俺が完全に意識を失う(昇天する)ことが分かった。
俺は一度噛まれた時でも、しばらく経つと目をつぶり自発的に意識を落としていた。だがそれをしなければ、十回までの吸血行為なら意識を保てることが判明したのだ。
最後に俺は、血を吸血されても、規則正しい睡眠と食事をとっていれば、自然と回復していた。
すなわち吸血で失った血を自身で補うことができていたのだ。
この報告をスピネルから聞いたベリルは決闘の場に俺を連れて行くことを決めた。
ベリルは自身の決定を父であるロードクロサイトに話した。
俺の血がヴァンパイアにとって非常に有益であると、スピネルの報告に目を通していたロードクロサイトはよく理解していた。だからあっさり決闘の場への俺の同行を認めた。
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次回更新タイトルは『生(性?)の喜び』他2話です。
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
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