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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】テルギア魔法国捜索編

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48:とてもドキドキしたぞ

廊下に出て雪を踏みしめ、エレベーターの前まで行った。


ベリルは起きているだろうか。

それだけを思い、6階のボタンを押す。


エレベーターを降りると、6階の廊下では……。

この時間でも、はらり、はらりと桜が舞い落ちている。


ベリルの部屋の扉の前まで行き、ドアにおでこを当てた。


一度だけ、名前を呼び、軽くノックしよう。

それで反応がなければ、諦めて部屋に戻ろう。


「ベリル……」


そう小さく呼んでノックしようとしたら……。


静かに扉が開く。

目の前に、ガウンを着たベリルが現れた。


「……!」


ベリルは腕を掴むと、迷うことなく部屋に引き込んだ。

間髪をいれず、俺のことをぎゅっと抱きしめる。


全身に柔らかく温かいベリルを感じ、胸が高鳴った。

今度こそはと、俺も力強くベリルを抱きしめる。


しっとりしたワイン色の髪から、甘いベリーのような香りがした。


「まだ起きていたのか?」


ベリルは胸に顔を寄せたまま、静かに答える。


「髪を乾かしていたら、拓海の声が聞こえた。私の名を呼んでいただろう?」


……!


追跡トラッキング、していたのか?」


驚いてベリルの顔をのぞきこむ。


「ああ。兄上がホールから消えた瞬間から。ついさっきまで追っていた」


「!」


「兄上とバーミリオンの声を追っていた。バーミリオンは眠りから覚めたようで、ハッキリ声が聞こえた。兄上の声も。居場所はつかめた。今夜はもう遅いから動かないだろう。明日の朝、皆に話すつもりだ」


「二人の声を追って……俺の声が聞こえたのは偶然?」


「そうだな。無意識で拓海の声を拾っていた」


ルビー色の瞳が、照れることなく俺をまっすぐに見ている。


「ベリル……」


再びその体を強く抱きしめた。


全身が熱くなり、ベリルを欲しいという気持ちが高まる。


でも、今は、そんな場合じゃない。


「そんなに長時間、追跡トラッキングをしていたなら、もうクタクダだろう? 俺はてっきり、カーネリアンの思いがけない行動、バーミリオンの安否、そしてホールで長時間拘束され、心身共に疲れていたのかと思っていた。でも、違うよな?」


ベリルは肯定の代わりに静かに頷く。


「どうして、俺を呼ばなかった、ベリル?」


「……拓海も疲れているだろうと思ってな。一晩眠って元気になった拓海を、明日の朝一で呼び出そうと思っていた」


自分のことより俺のことを考えて……。


気持ちが行動に現れる。


ベリルの体を持ち上げ、いわゆるお姫様抱っこをしていた。


こんなことするのは初めてだ。

船旅の間も鍛えておいてよかった……。

ちゃんと抱き上げることができた。

というか、ベリル、しっかり胸もあるのに、全然軽いじゃないか。


「拓海⁉」


ベリルが驚いている。

そのままベッドまでベリルを運び、静かにおろした。


「ベリル、俺の血を吸って。そしてゆっくり休もう」


着ていた寝間着のボタンを外していく。


「拓海……」


名前を小さく呼ぶと、ベリルは寝間着を脱ぐのを手伝った。


上半身裸になった俺のそばにきたベリルは、静かに耳元へ口を寄せる。


「まさか拓海に抱きかかえられるとは。とてもドキドキしたぞ」


今のベリルの囁きに、鼓動が激しくなっていた。


ベリルは耳にキスをして、そのまま首筋にもキスをする。


「拓海、我慢せず、すぐ落ちていいからな」


その言葉が終わった瞬間。

牙が刺さる痛み。

同時に血流にのって魔力が流れ混み、快感が一気に全身を駆け巡る。


痛みは快感に上書きされ、ただただ全身が気持ちよくなっていた。


相当魔力を消費していたのだろう。

いつものように物理的な刺激を与えることなく、ただひたすら吸血を繰り返している。


もう意識が落ちそうなその寸前、ベリルが着ていたバスローブを脱いだ。


白いサテン生地のロングキャミソールを、ベリルは着ていた。


下着はつけていないのか、バストの先端の膨らみがハッキリ分かる。


それを見た瞬間、わずかばかりに残っていた意識は、完全に快感に飲み込まれた。


俺は恍惚とした表情を浮かべ、頭の中が真っ白になり、そのまま目を閉じる。


快楽の海に、意識は完全に沈んだ。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『拓海は私の体を見たいのか?』

です。

皆さん、初夢は何を見たでしょうか……?

それでは明日のご来訪もお待ちしています‼

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