29:かつてない快感に意識が飛んだ
宿に戻り、部屋のドアをノックする。
てっきりすぐにキャノスがドアを開けてくれると思ったが、反応がない。
あれ? キャノス、出かけたのかな……?
自分が持っていた鍵を使ってドアを開け、部屋に入った。
……‼
ベッドの前まで歩いて行ったら、突然、背後から抱きしめられた。
キャノス⁉
いや、背中に触れるこの柔らかい弾力は……。
振り返り驚く。
ベリルだった。
「ベリル、どう――⁉」
バサリと音がして、俺が着ていたジュストコールが床に落ちる。
もしかして抱きついている間に、ベリルがボタンを外していた⁉
ジュストコールが脱げる瞬間、ベリルの体は離れたが、すぐにまた背中に抱きついた。
再び背中に弾力を感じたその時、ベリルが俺の名を呼び……。
「拓海、なぜ、嘘をついた?」
「‼」
そう思った時には、白いシャツも脱がされていた。
「ベリル、嘘って、なん――」
正面に回ったベリルは俺に抱きつき、そのまま体重をかける。
ベッドに倒れ、その瞬間、首に激痛を感じ、全身に快感が巡った。
「散歩には行っていないだろう?」
ベリルはそう言いながら、立て続けに何度も吸血を繰り返す。
声を出そうとするが、魔力による快楽の波が、連続で押し寄せてくる。
声の代わりに響くのは、俺の喘ぐような息遣いだ。
「窓から見えていたのだぞ、拓海!」
再び連続の吸血が行われる。
あまりにも連続で吸血が行われ、カウントできない。
ただ、快楽を押しとどめるので精一杯だ。
「アンと手をつなぎ、小走りする姿が見えていた」
「ベリル、違うんだ!」
全力疾走の直後のような息遣いになりながらも、懸命に声を発する。
でもその一言だけで、後が続けられない。
ただ快感は抑えむことができている。
このまま息を整え、ベリルに説明をしなければ。
「何が違うんだ、拓海?」
ベリルが脇腹にキスをした。
そんな場所にキスをされるのは初めてで、心臓が飛び上がる。
その瞬間に意識が緩み、ようやく抑えた快感が再び暴れ出した。
荒い息遣いはおさまらず、やるせない気持ちでベリルの顔を見る。
やましいことは何もない。あれには理由がある!
そう訴えかけるように、ベリルを見る。
ベリルは俺の唇に自身の唇を近づけ、囁く。
もう唇が触れるギリギリの近さで。
「アンと何をしていたのか、答えてみろ」
もうダメだ。そんなことをされたら、落ちる……。
快感に身を委ね、そのまま快楽の海に沈みたかった。
……でも。
無理矢理快感を抑え込み、必死に声を絞り出す。
「アンは……キャノスのことが……、……好きだから……、…俺に……、……協力を……仰いだ…だけ……だ」
心臓が信じられない勢いで鼓動している。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
声が出ない。しばらく荒い呼吸を繰り返し、再び口を開く。
「恋に関する……そう……相談……、…だから、こっそり………相談させて欲しいと……アンに……、……言われたんだ」
快感で痺れている手をゆっくり伸ばし、ベリルの頬に触れる。
「ベリルに……、…嘘を……つくつもりは…なかった」
「それは本当だな?」
荒い息遣いを続けたまま、なんとか頷く。
「……分かった。拓海を信じる。もう楽になれ」
ベリルが連続で吸血を行った。
「……!」
かつてない快感に意識が飛んだ。
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次回更新タイトルは
『もう少しだけ。でも作戦会議』
それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。
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