表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】テルギア魔法国捜索編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/547

22:麗しのアン様

突然現れたのは、長身の美女だ。


金髪にグリーンの瞳、明るいカナリヤ色のドレスに包まれた、メリハリの効いたボディ。


すると。


「おおお、麗しのアン様。今日も一段とお美しく」


メルクリオの態度が一変した。


厚みのある体を器用に動かし、片膝を床についてひざまずく。そしてアンという美女の手を取り、その甲にうやうやしく口づけをする。さらに彼女の手の平に頬を摺り寄せ、うっとりした表情を浮かべた。


……メルクリオのデレデレの顔は、正直、気持ち悪い。


しかしアンは……。


「メルクリオ様、このような場所で甘えすぎですわ」


にこやかに微笑み、ゆっくりとメルクリオから自分の手をはずした。


「私達の席にいらっしゃいません? お母さまは買い物に出ているので、ゆっくり話せますわよ」


メルクリオは瞳を輝かせ立ち上がる。


……!


メルクリオの背が低く感じたが、そうではない。

アンはかなり身長が高かった。まるで元いた世界のファッションモデルみたいだ。


メルクリオが自身の左ひじを少し曲げると、アンは腕に手を添え、二人は歩き出す。


が。


メルクリオは、何かを思い出したように振り返る。


「ゼテク、食事がまずくなる。二度とその半端者を、この店に連れてくるなよ」


その捨て台詞にまたもベリルの瞳が赤黒く燃えたが、再びクレメンスがそれを制する。


なんとなく気まずい空気が流れ、集まっていた魔法使い達は、ゼテクに話しかけるのをやめた。そして一斉にそそくさと席に戻っていく。


俺はキャノスを見た。

俺以外のみんなもキャノスを見た。


キャノスは順番にみんなに顔を向け、手を軽くあげ「大丈夫です」と示す。


丁度料理も運ばれてきたので、俺達は席に腰を下ろした。


一発触発だったが、見知らぬ美女の登場で、なんとかやり過ごせた。


しかし、あの美女はいったい何者?

さっきの感じだと、悪い人……魔法使いなのか?……には見えなかった。

それなのになんでメルクリオのような最低のクズと、親しそうにしている……?


思案していると、ゼテクが申し訳なさそうに口を開いた。


「……すまぬのう。まさかメルクリオがここにいると思わなかった。グレースタウンに居を移したと聞いていたから、この店には来ないと思ったのじゃが……」


ゼテクが深いため息をつくと、バーミリオンが口を開く。


「明日からの3日間、白い花祭りが開催される。その祭りのために、あのクソ親父もやってきたのでは?」


「そうじゃった! そうか。どうりで宿の料金が高いと思ったら……。まあ、支払いはわしではないし、気にせずに応じてしまったが……」


「バーミリオン、白い花祭りって何?」


俺はバーミリオンを見る。


「ボクも宿のスタッフにたまたま教えてもらっただけで、来歴や詳細は知らない。でも毎年一月のこの期間に行われる祭りらしい。街中がデンドロビウムという白い洋ランの花で飾りつけられ、皆、街を出歩く時は、白い外套を着て3日間を過ごす。魔法で雪も降らせると聞いた。


デンドロビウムは色が豊富にあり、特に白いデンドロビウムには『純粋な愛』という花言葉がある。花祭りの最中は、デンドロビウムの花束が至るところで販売され、好きな相手にこのデンドロビウムの花を贈る。


花は男性から贈ってもいいし、女性から贈ってもいい。好き、というのは異性間のみならず、親子、家族、友人でも構わない。だからこの期間はみんな、気軽に花を贈り合う。『白い花祭り』と呼ばれているが、別名は『愛の花祭り』と言うそうだ」


「そうなのか! なんだか素敵な祭りだな」


当然俺は、ベリルにデンドロビウムの花束を贈ろうと思った。


「素敵な祭り……。今となってはそうなのじゃが、実際は悲しい過去から生まれた祭りじゃ」


ゼテクはそう言うと、皆に食事をするよう勧めた。そして自身も料理を口に運びながら、白い花祭りの来歴を語った。

本日更新分を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回更新タイトルは

『 偶然の出会いから生まれた悲劇』です。

それでは今日もお仕事、勉強、頑張りましょう。

明日のご来訪もお待ちしています‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●第2回ドリコムメディア大賞●
●一次選考通過作●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇
『【完結】断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇』もおススメです☆

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
『悪役令嬢は死ぬことにした』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ