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コント『理想のヒロイン』

作者: 目途恋利

ヒロイン→ボケ 

男→ツッコミ


男「授業終わったな」


ヒロイン「そうですわね」


男「おいいつもそんな喋り方じゃねーだろお前」


ヒロイン「……で、今日はなにするんだっけ」


男「コントだよ、コント。前に言っただろ」


ヒロイン「あぁ、アニメ監督とかが、アニメ作る時に最初に書くやつね」


男「それは絵コンテ。変なボケを挟まなくていい!コントだよコント」


ヒロイン「あぁ、あの漫才とよく間違えられるヤツね」


男「そうそう。そのコントで合ってるよ」


ヒロイン「えぇと、じゃあ始めるけど。……そういえば私って『ヒロイン』だよね」


男「否定はせんが……それ、自分で言うか!?」


ヒロイン「で、私小説や漫画で『理想のヒロイン』っていうのをちょっと勉強したの」


男「あー、でも『理想のヒロイン』って、人によって違うし、難しいんじゃないか」


ヒロイン「……そう、本当にその通りで。とにかく難しくてね。色々頭を悩まされたの。でね、悩んだ末、提案を一つ思いついたの」


男「ほう。それは、どういう?」


女「私が考えた設定に沿ってヒロインの相手つまり、『男役』をやって欲しいんだ。で、私がヒロインになりきって、ちょっと色々考えてみたいの。お願いね?」


男「ああ、別にいいけど。変なのはやめてくれよ?」


ヒロイン「うん。…………えーっと、じゃじゃーん!今日のためにノート作ってきました!ここに書いてある設定全部演じてね!」


男「ノートでっか!A1ノートじゃん!どうやって学校に持ってきた!?」


ヒロイン「じゃあ、一人目!」


男(17)(童貞)「お、普通の設定じゃ……って、右に書いてある情報いらないだろ!出身幼稚園の名前くらいいらないわ!」


ヒロイン「あ、おはよう!【男】くん!ん?どうしたの?なんでそうな辛そうな顔してるの?あっ……(察し)」


男「あっ……(察し)まで読むな!あとそんな憐れむような表情で気まずそうにすんのやめろ!」


ヒロイン「うーん、イマイチピンと来ないなぁ。ま、いいや。次二人目行こう!」


男(83)「フォッフォッ、年金で食うメシはうめぇーの……って、誰が83歳の年金で喜んでるお爺さんだ!こんなんが物語の主人公やってたまるか!」


ヒロイン「お爺さんおはようございます。あ、一人で身体起こせない?昨日背中痛いー、って言ってましたもんね。今日、お医者さんに診てもらいましょ。でも立てなかったら何もできないからねー。じゃあ、1.2の3で起き上がりましょう。背中支えときますから。いきますよー。1.2の——」


男「長いわ!これやったら、理想のヒロインじゃなくて、理想の『介護士』やんけ!まったく……『理想のヒロイン』ってこと忘れんなよ!」


ヒロイン「うーん、じゃあ、これとかどう?」


男(30)(無職)(逮捕歴あり)(釈放済み)「ああ、この後の人生、お先真っ暗だ。またもう一回万引きして、牢屋に入って、一生それを繰り返そっかな……って、誰が万引き常習犯じゃい!設定が細かいわ!」


ヒロイン「うわっ、なにこのおっさん。キッモ……(ドン引き)」


男「だから、(ドン引き)の部分も読むな。それと、これはヒロインじゃなくて、ただの他人じゃねぇーか!」


ヒロイン「……え?私間違ってる?」


男「え?何?俺が思ってるヒロインとお前が思ってるヒロインって全然違う感じ!?」


ヒロイン「うーん……、そうかもね」


男「そうかもね、って、大丈夫かよおい!?

……えーと。じゃあ、はい。早く次のお題出して」


ヒロイン「え、もう終わりだけど」


男「終わりなの!?え?こんなデカいノートに『理想のヒロインを考える!』って、油性ペンでデカデカと書いてるのに?」


ヒロイン「いや、まあ。理想のヒロインなんて、顔が良くて性格良くて胸大きくて喋り方も可愛くて……ってのが老若問わず、男の理想なんじゃないの?けど私はヒロインってこと確定してるし、別に私以外の女のコトなんてどうでもいいから、ね?」


男「じゃあ、なんでこれについて議論したんだよ!?それと色々ゲスいわ!あと物語上、お前と俺が付き合うからって、そんなヒロインヅラするな!」


ヒロイン「え?キミのこと今まで一度足りとも好きになったことなんてないんだが」


男「え?」


ヒロイン「え?」


男「…………」


ヒロイン「……うわっ、恥ずかしっ!片想いしている人の目の前で片想いしてます宣言とかw ププッw」


男「……ああ、もういい!閉幕だ閉幕!!」


ヒロイン「……ププッw」



END

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