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当番

そして今日は、私が当番だった。私が勤める保育園では、職員が泊まり込みで管理を行う<当番>があるんだ。何しろ、保護者が急な用事で迎えに来られない園児が月に何人かの割合で出るし、以前も話した通り、保護者が迎えに来なくて強制的に<お泊り保育>になってしまったことさえある。


そういうのに対応するためのものだった。


しかも、今日も、保護者から、


「どうしても抜けられない仕事ができて、遅くなります」


という連絡があった。


当番は、二人一組。以前は一人でやってたそうだけど、余所の保育園で、保育士が園児にいたずらをしたという事件があったことを受けて、二人一組ってことになったんだ。


さらに、警備会社とも契約して、緊急通報で警備員が駆け付けてくれるっていうものだった。


ここまでしなきゃいけないっていうのが情けないけど、<現実に即した対応>も必要だからね。


「せんせい、さよなら~」


「はい、さようなら。気を付けてね」


居残りになってしまう子を除いて最後の園児を見送って、もう一人の当番の保育士と手分けして戸締りして、さらにダブルチェックして、夕食を。


そのための仕出し弁当が届けられるんだけど、今日は園児が一人残ってるから、臨時で三人分、届けてもらった。でもいきなり注文を変更するわけだから対応できないこともあって、そういう時にはそれこそコンビニや弁当屋に買いに行ったり出前を頼んだりすることもある。


今回の子は大丈夫だけど、アレルギーがある子なんかの場合だと、給食を担当してくれてる会社に連絡して、臨時にアレルギー対応食を届けてもらったりってこともある。


つくづく、人間は、こうやってたくさんの人の助けを受けて生きてるんだって実感するよ。


『自分一人の力で生きてる』


なんて、とんでもない思い上がりだ。今日だけでも仕出し弁当の注文の変更に対応してもらってるんだ。別に先方には、それに対応しなきゃいけない義務はない。たまたま対応できる状態だったからしてくれただけ。いくら代金は払ってても、注文の変更に対応してくれたのはあくまで先方の<厚意>なんだよ。


それをわきまえないといけない。


『金を払ってやってるんだから』


なんてのは、思い上がり以外の何ものでもない。


親からそれを教わってない人も多いみたいだけどね。実際、園児の中にも、そういうのを教わってないっていうのが分かる子もいる。


私は本当にそれが残念だ。


同時に、観音(かのん)がダンナからそういうことをちゃんと教わっていたことが嬉しい。


そんなことを考えながら、


「お母さんが迎えに来るまで、いい子で待ってようね」


「うん……」


居残りになった子と一緒に夕食を食べながら、私は笑顔を向けたのだった。



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