素に戻っちゃって
ところで、実はこの時、役所の窓口の人が、すっごくあたたかい目で見守ってくれてて、それがすっごい恥ずかしくて、さすがに素に戻っちゃって、そそくさと役所を後にした。
でもこれで晴れて私達が家族になったのは事実だから、誰に憚ることなく観音を守ることができる。
だけど、例の男子の方も中学に上がってからは、クラスも離れて、教室自体が別の校舎になったのもあってか、ほとんど関わってくることもなくなって。
結果的には自然消滅みたいな形で収束しちゃったんだよね。
それ自体が、結局、深刻な状況になる前に、学校側が対処してくれたからだと思う。
なにしろ今回のはあくまで、<イジメの疑い案件>という扱いで、厳密には<イジメ>と扱いじゃなかった。
それはそうだよね<イジメ>を犯罪とするなら、さすがに<からかい>程度じゃ犯罪とまでは言えないだろうからね。
これがもし教科書を破られたり上靴を隠されたりとなれば、器物損壊や窃盗という犯罪に当たるわけで、それに対処しないということは、犯罪を見過ごすってことだからね。
よく、『少年法は犯罪を犯した子供に甘い』って言われるけど、そもそも学校では犯罪そのものを見て見ぬフリをすることがこれまで多かったんじゃないかな。
それどころかイジメられてる子供の訴えを揉み消したりもしてた例もあったって言うよね。
そんな学校が子供に人として大切なことを教えられるとは、とても思えない。私自身、自分が通ってた学校ではそういう事を教わった覚えがない。
だけど観音が通ってた学校では違ってて、彼女をからかってた男子生徒のほとんどが、自分のやってることがよくないことだったと学ぶことができたと思う。
一人を除いては、だけど。
学校側が『よくないことだ』って教えようとしてくれてるのに、親がその邪魔をするって、どういうことなんだろう。
『好きな子にちょっかいかけるくらい普通のこと』
だと思ってるのかもしれないけど、
『それくらいで学校に行けなくなるとか、ひ弱過ぎる』
とか思ってるのかもしれないけど、そういう考えの下で育ったのが、大人になってパワハラとかするんじゃないの?
しかも、そのまま結婚とかして、子供ができたら、やっぱり同じようなことを繰り返したりするんじゃないの?
さらに観音はそんなことをするタイプじゃなかったけど、相手によっては報復されて、それこそ自分がイジメの被害者になったりすることもあるんじゃないのかな。
もしそうなったら、誰かをからかったことでその報復としてイジメられるようになったのなら、
『イジメられる側にも原因がある』
みたいに言われるようになるんじゃないのかな。




