3人のモブ
「…やあ、バロ
お勤めご苦労サマ」
「俺よりも彼女の方が苦労してそうだが…」
「嗚呼そうだね、今日の最優秀賞はきっとこの子だ」
「大丈夫か、シスト」
「あんぐぅぅ…バロさんやっと来たぁ…」
「すまない、仕事が長引いた」
「色々吐き出したくてもやもやしてたんですからね!」
「んふふ…
じゃあお待ちかね、3人揃った事だし始めようか
…愚痴茶会を」
「はいはいはい!
最初私で良いですか?」
「異議無し」
「そこまで疲れてると、寧ろ何があったのか気になるよねぇ」
「ありがとうございます。
えっとですね…お二人もご存知の通り、私はギルドの諸々を担当しています。
すると今朝、魔力測定をしたいとかで勇者様がお見えになったんです」
回想中…
「では説明致します。
まず、こちらの魔石版に手を置いて頂いてから、」
「手を置くんですね」
「あっ、ちょ…!」
「あれ、魔石割れちゃいましたけど…」
回想終了
「割れちゃいましたけど…じゃないですよ!
まだ説明途中だったでしょ!」
「嗚呼~、居るよねぇ。
話聞かないで先走る奴」
「謝罪は無かったのか?」
「ありません。
全くありませんでしたとも。
寧ろ、なんだか自慢気な表情をされて、見ていて腹が立ちましたもん。
召喚だか転生だか知らないですけど、せめてその辺の常識は持っていて欲しいです!
人に迷惑掛けたら謝る、これ子供でも知ってますよ。
それともアレですか、異世界じゃ他人の物壊してもそのまんま放置で良いんですか?
魔石版、一枚幾らだと思ってるんですか!
そうバコンバコン割るなら使用料取りますよ?
こちとら運営火の車なんですから!」
「弁償しろって話だよね」
「だが立場上言い難い…か」
「そうなんです〜!
私の直接の上司が、もっと上の方に伝えて下さった事もあったんですけど…
魔獣を倒し平和を築いている功績で大目に見ろ、とか
ギルド運営に必要な資金は十分渡している、とか
まあそんな返事ばかりらしくて」
「可能と十分は別物だよねぇ…
剥げたままの壁が十分に見えるのかな」
「ギルド運営に支障が出るなら、それこそ平和の妨げになると思うが…」
「うっ…うっ…
こんな大っぴらに愚痴を吐けるのはお二人だけですぅ…」
「頑張っているんだな…よしよし」
「うっ…お父様ぁ…」
「僕もよしよししておくれよ、お父様ぁ(笑)」
「…俺はそんなに老いて見えるか?」
「違いますよ、褒め言葉です!
なんと言うか、安心感…?」
「包容力あるよね。
あの馬鹿女…嗚呼、聖女サマよりよっぽど聖女らしいさ」
「それ私も思いました!
どうです、転職しません?」
「良いねぇ、面倒事が格段に減りそうだ」
「あ、いや、性別は変え難いな…」
「む…残念。
ギルド職員一同、心の底から歓迎致しますのに」