そのさいご
「――大いに英気を養って欲しい。それでは皆、楽しんでくれ」
さほど長くないディシヴの挨拶が終わり、会場は拍手で満たされる。
リマー本星地上に用意された迎賓館。そこで祝勝会と慰労会を兼ねた晩餐会は盛大に開催された。
リマー王国が本星上に賓客を迎え入れるのは非常に珍しい。そもリマー本星はその大半が食料とバイオマスエネルギーの生産に使われており、住民のほとんどは周辺のスペースコロニーなどで生活している。王族ですら例外ではない。
そんなリマー王家が今回地上でパーティを開いたのは、他国の多くが惑星上の居住にステータスを感じており、地上でのイベントを好む傾向にあったことと、参加者が簡単に逃げられないようにするためである。
何しろ呉越同舟も良いところ。どのような不埒者が潜り込んでいるか分かったものではない。そう言った輩が何か事を起こす可能性はあった。リマーの懐でそんなことをやらかす阿呆がいるかとも思うが、予想外の行動をする極大の馬鹿が出てくるのは世の常だ。トラブル大歓迎なリマー国民の気風と本音はさておいて、そのような輩を逃すわけにはいかない。
本星上であれば逃走経路は限られるので、何か事を起こしても対処しやすい。と言うか総出で山狩りとかする。リマー人ってそういうとこあるよね。
ともかくパーティの開催までは無事に持ってこられた。ここで一息ついて油断するリマー王国側ではない。誰かやらかさねーかなとわくわくしながら目を光らせていた。
「こういう格好も久しぶりですわね」
髪を結い上げ、一分の隙もなくドレスを身に纏った美女。言うまでも無くリアル……。
「いや姫様なんでここまで来て自分姫様役やってるんすかね?」
……の影武者さんである。そしてリアルはドレス姿であるものの、髪と瞳の色を変え眼鏡をかけていた。
そう、この頃に及んでリアルは身分を偽っていた。実際公式的にはフランローゼの隊長として手柄を上げまくったのはリア・リスト『特務大佐』である。もちろん前線とか勘の良い人間とかにはモロバレであるのだが、今更こんなことをやり続けている理由はと言うと。
「丁度よい『釣り餌』ですもの。利用しない手はないでしょう?」
なんかやらかしそうな人間を引っかけるエサにするつもりらしい。酷い。
おかしいなあ王宮でニコニコ笑っていれば良い仕事のはずだったんだけどなあと、内心滝のような涙を流しながらも、がっくり肩を落として従わざるを得ない影武者さん。宮仕えの悲哀がにじみ出ていた。
ともかくお偉いさんなどの相手は影武者さんに任せ、リアルはパーティー会場をそれとなく巡っている。その傍らには。
「なんか久しぶりにメイド服以外の物に袖通した気がするっすね」
かわいらしいドレスを身に纏ったルルディがいた。年齢的には幼げなドレスだが、未だ外観年齢は10代前半に見えてしまう容姿のため、異様に似合っていた。
「誰が扁平胸のちんちくりんじゃい」
「虚空に向かって何を文句付けてるの」
あらぬ方向に向けてガン付けて凄むルルディをたしなめるリアル。ちょっと酷使しすぎて疲れているのかも知れない。気晴らしにどこかの犯罪者しばくのに連れて行った方がいいのかしらんと思うリアル。それは姫様の気晴らしであって一般人にとっては逆にストレスが溜まる行為です。やめてあげてください。
「まあいいわ。一通り回ってみて……おや、あれは」
リアルが目に留めたのは、会話をしているように見える数人。大きめのガーゴイルサングラスをかけた男と、顔を斜めに走る傷を隠そうともしない妖艶な美女。そして軽薄そうに見えるが立ち振る舞いに隙のない男。
微かに笑みを浮かべてから、リアルはそこに歩み寄る。
「ご歓談中失礼。アルコーリク本星攻略戦に参加した方々とお見受けしますが」
声をかけてみれば、軽薄そうなのはげっ、と言う表情を見せ、サングラスは片眉をあげ、美女はにやりと笑みを浮かべた。
「これはこれは、最終決戦の立役者、リア・リスト特務大佐殿。ごきげんよう」
美女――ヴィクトリカが挨拶を返す。もちろん分かっててやってる類いだ。それは他の二人も同じで。
「ご機嫌麗しゅう。そのような様相もよく似合っておりますな」
サングラス――ノットノウは慇懃に返し。
「どうも。……いや申し訳ない。こういう場には慣れてなくて、礼儀作法なんぞさっぱりでしてね」
態度を改めて頭を下げる軽薄そうなの――マクシミリアン。
「ヴィクトリカCEOにノットノウ少佐、それにマクシミリアン大尉ですね? 改めまして、リア・リスト特務大佐です」
お嬢口調を引っ込め、軍人らしく簡略化した敬礼を行うリアル。対する三人もそれぞれの形で敬礼を返した。見知った中でも素知らぬ顔でリア・リストとして通す。そんな謎の暗黙の了解があった。
「それにしても、こうして改めて見ればとてもあれほどの武功を立てた強者には見えませんな特務大佐殿」
「お互い様でしょうCEO。そのドレス、よく似合っておられますよ」
「いや全くお二方ともお美しい。戦場とはまた違う華やかさだ」
(……何でそう言う台詞がするっと出てくるかなこの旦那)
見た目は和気藹々と言葉を交わす。とてもじゃないが殺し合った仲には見えない。まあこの御稼業、一々因縁なんかに捕らわれてたらやってられないというのはあるだろう。リアルは元々欠片も気にしなさそうだが。
「あら、士官はされないと?」
「何しろ脛に傷を持つ身。真っ当な稼業は遠慮しておきたいというのが本音ですよ」
「国に縛られるよりは自由気ままなのが気楽って事でね。身の丈と性に合わないことはやらない主義でして」
「今の世の中、この稼業は飯の種がそこらに転がってるからねえ。ま、出世のチャンスと考えてるヤツもいるんだろうけど」
そんな様子を、壁際に下がったルルディはため息を吐きつつ見ていた。
「アレ絶対今度敵に回らねえかなとか思ってるわよねあの姫様」
「リマーの人たちはみんなそうだよ。遺伝子レベルで修正不可能だねアレは」
突然かけられた声に驚くでもなく、傍らへと視線を向けてみれば、いつの間にやら疲れた顔のヴァイスがいた。流石にいつもの軽薄そうなスーツではなく、きちんとした礼服だ。
「そっちはファウンデーションとの繋ぎ? ご苦労様ね」
「ゆっくり酒も飲めやしない。振り回されるのはお互い様さ」
ルイセの元でこき使われているヴァイスだが、その仕事は主にファウンデーションやその関係勢力相手だった。まあ元ファウンデーションのエージェントだ、そっち方面と未だ関係はつながっているのでおあつらえ向きの任務なんだろうが、逆に裏切られることは考慮に入れていないのだろうか。
……入れているんだろうなあ。その上で裏切ったら裏切ったで面白いことになるとか思っているんだろうなあ。ヴァイスは色々と悟った上でなんか諦めていた。
「あの人らにとって、闘争は趣味と言うよりライフワークなんだろうなあ。人生であり、だからこそ全力で楽しむ。姿勢としては学ぶべき所なんだろうが、方向性がなあ……」
「学んだらなんか取り返しのつかないことになりそうなんだけど」
もう俺ら大分手遅れ気味じゃないかな。そんな言葉をヴァイスは飲み込む。指摘したらルルディは際限なく凹むだろう。多分言った自分も。
と、苦い顔をしていたルルディが、ある方向に視線を向け……さらに顔を歪める。
「あんにゃろう……いけしゃあしゃあと姿現しやがった」
「あ~、流石に顔を出さないと拙いと思ったのか」
視線の先には特徴的な姿をした人物。同じく特徴的な姿をした人物と談話しているようで、そこだけなんか周囲から微妙に距離をとられていた。
「アレで変装しているつもりなのかしら。変装ナメてるわよね」
「分かっててやってるんでしょあの人。そも顔が知れ渡ってたわけじゃないから、知らない人には「誰?」ですむんじゃない?」
狐を模した仮面の男。派手な民族感を醸し出す独特の仮面を被った人物――蒼の軍勢司令官と、何やら談笑していた。変な仮面被った変な男2人が揃ってるのだ、そりゃ周りも遠巻きにする。まともな人間は近づくことを躊躇うだろう。
当然、近づくのはまともな人間ではない。
「ご歓談中、よろしいでしょうか」
やっぱりこの女だった。傭兵どもを引き連れたリア(リアル)はにっこりと笑っているが、なぜだろう、獲物を目前にした獣が牙を剥いているようにしか見えない。
ちなみに背後の3人は、面白そうだとにやにや笑っているのが2人。あっちゃあと額に手を当てているのが1人。誰が誰だか大体お分かり頂けるだろう。
「リマー王国軍近衛師団特務部隊、フランローゼと隊長を務めておりますリア・リスト特務大佐であります。本星攻略戦ぶりでしょうか、蒼の軍勢司令官【ネームレス】殿。……そちらはインパチェンス・カンパニーを支援していた、新興企業の方ですね? お初にお目にかかります」
今更になって出てくる指揮官の名前。いやネームレスだから無いんだがややこしいな。そして分かってるくせに白々しい。
もちろん相手も面の皮が厚い。口元に軽い笑みを浮かべて対応する。
「【ルナール】と申します。此度の戦には微力ながら支援させて頂きました。お役に立てたのであれば重畳。私の商売もはかどるという物です」
堂々と偽名を名乗っていけしゃあしゃあと宣う。もっともこのルナールさん、じつはギリギリまでこの祝賀会に出席するのを躊躇ってたりする。こんな状況になるだろうと予想していたからだ。
だがしがらみやらなんやらで、出席しなければならない事と相成った。サングラスの側近は『なぜか』急用が入って欠席している。いやあすみませんねえ頑張ってくださいと虚空で良い笑顔見せて親指立ててやがるふぁっきん。
ともかく内心嫌々ながらも出席してみれば案の定だ。折角仮面談義で盛り上がっていたというのに。現実逃避言うな。そんな内面などおくびにも出さず、ルナールはにこやかに対応していた。
「ふふ、名うての傭兵たちを駆使した采配、お見事でした。希代の戦略家と肩を並べるほどの物だったと感嘆しております」
「必要なところに必要な人材を送ったまでのことです。商売とはそういう物かと」
どのタイミングで土下座しようかとか考えつつ言葉を交わす。まあ相手も藪をつつくつもりはないらしく、今のところ土下座の機会は窺えない。
「まあ、では験を担いでの物なのですね?」
「左様。古き部族の魂を受け継ぐ……などと言うほどの物ではありませんが、気持ちの問題ですよ気持ちの」
なぜか仮面の司令官と仮面の話で盛り上がっているリアル。全くこっちに含むところがない……ようにも見えるが、油断できねえ。大丈夫と思ってたところで横っ腹を刺される(精神的に)のは勘弁して欲しい。最終的には五体投地を繰り出す必要があるかも知れないと、覚悟を改めるルナールであった。
「ふむ、それにしてもここまで仮面について語れるとは思いませんでしたな」
感服したようなネームレスの言葉に、リアルはふふ、と笑みをこぼす。
「あら、女は皆仮面の一つも被るものですよ? その点に関しては殿方よりも歴史が長いと思いますわ」
「……なるほど、一本取られました」
思わず呟くように言う。クレンでの1年、それどころかそれまでの人生で病弱な姫君という仮面を見事演じきっていた人間の言うことだ。説得力が違った。
「ルナール殿もその仮面には年季が入っているとお見受けします。なかなかのものではありませんか」
「これはこれは、面はゆい。貴女にそう言われるとくすぐったい物がありますね」
お前もなかなかの詐欺師やったぞ。そう褒められているのを感じ微妙な心持ちになる。リアルは本気で賞賛しているのだろう。それは分かるがだまくらかしてきたことを評価されるのはどうなのよと、珍しく真っ当なことを考えている。
例えばこの詐欺師がと罵られたのであれば、それがどうしたと胸を張るのがヤーティ……ルナールという人間だ。悪人であることを十分自覚して後悔も反省しない。が、すごい詐欺師っすねと、揶揄されるでもなく純粋に尊敬する目で褒め立てられたら戸惑う。そこら辺の感性はまだまともな方であった。
(……まあこの姫君がアレでナニなのは今更、か)
心の中で何かを投げ捨て気持ちを切り替えるルナール。結局ちょっとだけ感性が『まともな方』なだけで、こいつもリマー人と大差は無い。
そんな感じで談話していると、楽隊が動き出す。どうやらダンスの時間が来たようだ。
演奏が始まり、まずディシヴが己が妃と踊り出す。頭蛮族のくせに見事なものであった。
続いてゼアルや貴族、招待客たちがそれぞれにパートナーと共に舞う。ここまではプログラム通り。その後は希望者が自由に参加できる時間となる。
ダンスを眺めつつ会話していたリアルが、ふ、と笑う。そして傍らのルナールを見る。
そして。
「ルナール殿。一曲いかが?」
にっこり笑みを浮かべて手を差し出した。
ルナールは右を見る。仮面の指揮官ネームレスが、逝ってこいとばかりに頷いた。
左を見る。ヴィクトリカとノットノウが同じように頷き、マクシミリアンが十字を切っていた。
チラリと後ろを見る。ちょっと離れたところでルルディが、ざまーみろばーかばーかといった感じの邪悪な笑みを浮かべていた。
そして主賓が集まってるあたりでは、ディシヴをはじめとしたリアルの兄姉たちが、まさか断ったりしないよねと言いたげなイイ笑顔を見せている。
逃げられない。ルナールは色々と諦めた。
「……お手柔らかに」
差し出された手を取り、踏み出す。踊り出してみれば、双方ともに堂に入った物だ。どっちも王族だから当然と言えば当然だろうが。
それにしても踊りやすい。ルナールは意外に思っていた。自分に合わせてくれるからだが、もっと挑発的に身勝手なステップを踏むかと予想していた。
「あら、何かご不満?」
リアルが小声で問うてくる。ルナールは苦笑しつつ応えた。
「想像以上に踊りやすいので驚きました。付け焼き刃ではないようですね」
いつダンスなんか練習する暇があったんだよ。そう語外に含めてみる。さすれば。
「相手に合わせ流れを導く。戦場も同じ事でしてよ」
すました顔でそう返す。生きることが戦いと直結しているリアルは、人生の全てを戦いと認識している。政も策謀もダンスも全てが戦いであると。であるならば、コツを掴めば全てそれなりにこなせる。彼女はそう信じていた。
事実、図抜けた戦闘適正に目を奪われがちだが、彼女は『王族として必要な技能を全て平均点でこなせる』。でなければ1年もルナールをだまくらかせる物か。なるほど道理。納得はいかないけれど。ルナールは心の中で思うに留めた。
「ルナール殿もなかなかのお手前。戦の才能もあるのでは?」
「まさかまさか。私など逃げ隠れして嘘をつくのが精々の男。買いかぶりですよ」
「……まあよろしいわ。そういうことにしておきましょう」
くすりと笑うリアルの表情は魅力的だったが、野獣が獲物を目の前にして舌舐めずりしているようにしか見えない。なんで目を付けられちゃうかなあと、ルナールは内心滝のような涙を流すしかない。リアルをだまくらかした挙げ句滅び行く国からエクストリーム脱出キメて、ちゃっかり成功を収めてるからだと思うよ。諦めて。
そんな彼らの様子を、リマーの王子王女たちは生暖かい視線で見ていた。
「ふむ、リアルは彼が存外気に入ったようだね」
ディシヴは興味深そうに言う。
「将来的な『遊び相手』になると見たか? だがそこまで勢力を伸ばすかね」
ゼアルが訝しげな目線を向ける。
「何だったらいっそ、こちらで育ててみるというのも面白いかもしれないわよ?」
ルイセは妖艶な笑みを浮かべておっそろしい事を口にする。
「わざわざ自分から火種を煽るのは好みではないな。私には火消しの方が向いている」
「どの口が言うかなこの兄は。火元が大きくなるまで根回しするタイプだろうに」
「それに便乗しまくるタイプが何か言ってるわね。やはりまともなのは私だけかしら」
「おいおい自分で火種育てようかとか言ってた人が寝言ほざいてるよ?」
はっはっはと笑いながら言葉を交わす。この兄妹実に仲が良い。
「冗談はさておき、この先も世界は荒れる。しばらくは忙しいぞ?」
「銀河規模の騒乱か。いつまで続くことやら」
「私たちが生きている間に終わるかしら」
楽しそうに物騒なことを語り合う。多くの国や勢力を巻き込んだアルコーリクとの戦争は終わったが、それにより生じた混乱は長々と尾を引くことだろう。大統領の思惑にまんまと嵌まったわけだが、リマー王国はあえてそれに乗る。自分たちが楽しむために。
そんな王族たちの様子を視界の端に入れつつ、ルルディはため息を吐いた。
「……なんてことを話してるわよあの蛮族ども。阿鼻叫喚を作り出す気満々だわ」
隣のヴァイスは肩をすくめる。
「逃げようと思えば逃げられるかも知れないよ? どうする?」
その言葉にルルディは顔をしかめた。
「冗談。確かに追われないかも知れないけれど、この銀河のどこにいてもあいつらのやることに巻き込まれるわよ。だったら近場にいた方がまだ被害が少ないわ」
「台風の目理論かな? まあ合ってるとは思う」
振り回されている二人は段々と悟りつつあった。多分リマーに染まる日も近い。
そして傭兵組もリアルたちが舞う様を眺めていた。
「随分と生き生きしておられる。気に入られたな、彼は」
仮面の指揮官はうんうん頷いている。仮面の話を理解し盛り上がれるあの二人は実に好ましいと個人的に思っていた。敵に回れば遠慮はしないが。
「羨ましいと言うべきかご愁傷様と言うべきか、悩むところですな」
サングラスを指で押し上げつつ、ノットノウが言う。狂人寄りの彼だが、リアルに気に入られるのはどうよと思うくらいには、まともな感性を持っていた。楽しそうだな~という気持ちがちょびっとはあるけど。
「楽しいとは思うぜ? ただ無茶振りというか、斜め上方向にアレでナニだからなあ。いや予想外が面白いっちゃあ面白いんだが」
どちらかと言えば乗り気なマクシミリアン。しかしそれでもリアルの破天荒さに引っかかるところはあった。たまに遭遇するのは良いが、それが日常となるとどうかと思う。だから表情も苦笑いだ。彼らは何か小骨が引っかかるような感覚があったのだが。
「ごちそうはたまに食べるからごちそうなのさ。毎日食ってりゃ胃もたれしちまうよ」
「「「……ああなるほど」」」
男たちが引っかかっている部分に明確な答えを出すヴィクトリカ。残りの三人は得心している。
そんな感じで皆が注視する仲、2人の男女は踊る。
繰る繰ると。
狂々と。
「ふふ、まだまだ世界は楽しめそうですわね」
「それには同意しますよ」
華もほころぶ笑みの女。苦笑いの男。果たしてこれから先どのような関係となっていくのか。それは誰にも、本人たちにも予測はつくまい。
物語は幕を下ろす。だが世界は続いていく。
人々は喜び、怒り、哀しみ、楽しむ。舞踏のように踊りながら。武闘のように争いながら。
繰る繰ると。狂々と。
螺旋を描き人は、世界は。
否応も無く進んでいく。
「――ゆえに貴様との婚約は破棄する!」
「あらまあ」
否応も無しに、進んじゃうのだ。
【完っ!】
後書きは後日




