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シュトゥルム・プリンツェスィン ~婚約破棄からの宇宙戦争!? 嵐を呼ぶ暴れん坊王女様~  作者: 緋松 節
第十一話・終わりなき戦い(なお主役陣は喜んでいる模様)
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その5






 戦況に纏まりはないが、勢力的には纏まった形になってきた。

 大まかに言えばアルコーリクに加担(または便乗)する勢力と、反アルコーリクの勢力である。そしてリマーは反アルコーリクの中核となりつつあった。

 友好国を支援し続けたからである。逆に言えば友好国でないところには手を貸さなかったのだが、組織だって反撃体勢を整えられたのはほぼそういった支援を受けた国だけだったので、自然とそれを中心に纏まったわけだ。

 とは言っても広がりすぎた混乱を押さえ込めるほどではない。人類の勢力圏を覆い尽くすかと言うほどに、戦禍は飛び火している。その全てをどうにかできる力を持つ者は誰もいなかった。

 後の歴史を大きく変えた時代の転換期。それを留めることはかなわなかったが……その根源たるアルコーリクを止めなければと考える勢力は多かった。もちろんそれで戦乱が止まるとは誰も思っていない。だがかの国の暴走を止めなければ被害は広がる一方だと判断したのだった。

 勢力が纏まり始めれば、当然誰が音頭を取るかと言う話にもなる。当然ながら、リマーを差し置いてしゃしゃり出ようとする存在はなかった。


「統制力、練度、勢力。全てにおいてリマーに勝るところなどない」

「然り。我々も戦力は出せるが、統率するとなれば経験も余力も足らぬ」

「何より捻出される戦力では、集う勢力をまとめ上げることなどできぬだろう。であればその力を持つリマーが中核になるのが筋という物」


 開かれた会談ではそのような発言が主であった。妥当な判断である。丸投げしたとも言うが。

 友好国にとって、リマーは頭がおかしいが信用できる国という評価になる。矛盾したものだが残当だろう。蛮族ではあるが真っ当に暮らしているカタギには決して手を出さず、むしろ治安維持に一役買っている存在だ。その上で自国の主星、その地表の多くを農林水産業に充てており、食料やバイオマスエネルギーの輸出国でもある。ヤベー連中ではあるが頼りにはなると見なされていた。

 つまりこういうときには任せるのが一番と考えてもおかしくはないと言うことだ。再度言うが丸投げしたとも言う。

 まあリマー側としても断る理由はないので、さくっと請け負うわけだが。


「ふむ、そうだな。集う国家にも経験値を積んで貰う良い機会か」


 トゥール王はそう言った。確かにリマーほどの実戦経験を積んでいる国家は他にはあるまい。それと同等とまでは行かないが、今回の件を利用して各国も経験を積むべきだと考えている。


()()()()()必要になりますからな」


 レイングも同意する様子を見せていた。これから先訪れる戦乱の時代、それを生き抜くためには戦う力が必要だ。いくらリマーと言えども常時友好国に手を差し出せるわけではない。降りかかる火の粉を払うことくらいはできるようになって貰わねばならなかった。

 と言うか戦乱の世が面白すぎて友好国にばかりかまけているわけにはいかないというのが本音だろうこいつら。あわよくば自分たちに牙を剥くような気概を持つ連中が出てこないかなと考えているまである。


「アルコーリク自体も戦力を集めているようだな。攻められることを予想したか」

「覚悟の上ということでしょうな。どうやら大規模な自殺志願者のようで」

「国を愛していない国家元首か。息の詰まる生き方よな」


 リマーなりにアルコーリク大統領の心理は分析していた。どういうわけか大体当たっているようだ。


「まあどちらでも良い。我々に戦場を与えてくれたことには感謝をせねばな」


 にやりと笑って言う王。その言葉は皮肉ではなく、割と本音であった。

 リマー王国の王族はその『戦争の才覚』を持て余している者が多い。自称平和主義者のディシヴすらも、平穏は殴って勝ち取る系の蛮族思考である。そんな彼らにとって戦乱の世とは、誰はばかることなく凶暴性を発揮できる絶好の機会であった。

 そんなアレな連中でも国民の支持が高いのは、内政はまともだからだ。何しろ食料自給率は脅威の500%越え。その他の生産業や重工業も旺盛であった。貿易黒字だけで十分軍備がまかなえる上、犯罪組織しばいて元を取ってくる。最低でも経済的な不満が出たことはない。

 まあ国民もどっちかというとヒャッハー気質なので、王室に対して良いゾもっとやれと思っている節がある。やらかせばやらかすほど支持率が高くなるっていうのはもう救いようがないのでは。

 ともかく、リマー王国にとって戦乱の世大歓迎極まりないわけだ。もしアルコーリクが動かなければ、そのうち悪いことやらかしてる国を利用して自ら巻き起こしていたかも知れない。つーかクレンとの戦争でその鱗片はあった。実はどっちにしろ銀河大ピンチだったりする。


「艦隊を再編成し、アルコーリク討伐にあてがわせるとしよう。友好国はどれほどの戦力を出せるか」

「は、約30の国家が参戦を表明しております。出せる艦隊は平均して800から1000ほどかと」

「最大で3万か。予想はしていたが、なんとも大戦よな。……アルコーリクが動員できる兵力は?」

「現在戦力を増強中なのに加え、便乗し協力者となった国家も計算に入れると正確な数はまだ出せませんな。恐らくはこちらを下回ることはないかと」

「良いではないか。張り合いがある。乱入などあればなお良いな」


 くつくつと笑う王は普段のおもしろおじさんの様子など見せず、凶暴な笑顔を浮かべている。どうやら相当に楽しみにしているようだ。


「折角だ。余が総指揮を執るとしよう。久々に実戦の空気を味わうのも悪くない」

「やめろ……とは今回申せませんな。この戦、銀河の命運を左右する物になる。我らもそれ相応に重きを置いていると見せる必要はありましょう」


 リマーが本気を出して対応していると見せることで、戦争の重要性を周知させると考えているようだ。もっともそうすることで下手な勘ぐりが生じるかも知れなかったが、各国が事の重要性を認識する事の方が優先であろう。最早どこも他人事ではなく、これから先の時代に備えなければならないと。

 乱世は大歓迎でも、別に人類が滅んで欲しいわけではないのだから。むしろ戦争できる相手が居ないと困るし。


「ところで、リアルからもたらされた情報はどうか」

「現在各所から収集した情報と照らし合わせておりますが、かなり精度が高い物かと。やもすれば収集した物より上かも知れません」

「さすがは希代のハッカーと言ったところよな。リアルも良い縁を結んだ」

「我が国に招聘……はできませんでしょうなあ」

「ああいう人間は好きにやらせてほどほどに付き合うが一番良いのさ。縛ろうとすれば逃れるどころか手を噛んでくるわ」

「それで痛い目を見た国がいくつかありますしな。ま、こちらから多少の『御礼』をする程度に留めておきましょう」


 フェアレのような愉快犯気質で自分たちの敵に回らない系列の犯罪者に対しては、リマーという国は寛容であった。そも自分たちも犯罪者を狩る海賊国家である。人のことは言えた身分ではない。まあ敵に回れば地獄の底まで追い込むだろうが。

 ともかく彼女のもたらした情報はかなり正確な物のようで、それはアルコーリクの実情と保有している技術を知らしめていた。


「情報を照らし合わせてみて判別したことですが、アルコーリク本国はほぼ全域にわたって洗脳による支配をされているようですな。そしてそれは一時的なものではないと」

「交感神経とホルモン分泌系の変異。たかだか音と侮っていたが、持続的な影響を及ぼすとはな。クラカーシとやら、やるものよ」


 クラカーシは生み出した洗脳技術は肉体的にも影響を与え、凶暴化した状態が持続する。適切な治療をすれば元に戻るようだが、すぐに治るものではなかった。もっともそうでなければ使い物にはならなかっただろうが。


「治療法はまだ開発中ですが、件のノイズに対する対抗技術は確立いたしました。そも通信を遮断すればよいだけの話ですがね。……ともかく攻め込むのに支障はありますまい」「油断はならんがな。隠し札の一つや二つはあるだろうさ。どこまで楽しませてくれるやら」

「ほどほどになさいませ。調子に乗れば足下をすくわれますぞ」


 蛮族国家の男たちは、大戦を前に心を躍らせていた。まるで遠足に向かうかのように備え、待ち構える。

 まだアルコーリクが何かを隠しているという懸念はある。だがそれすらも楽しみにするのがリマーという国だ。敵の企みは戦争をおいしくさせるスパイス程度にしか考えていないのかも知れない。

 こうして、リマーが中核となり、アルコーリク連邦討伐軍は編成されることとなった。 戦乱の時代の開幕を告げるのろし。いささか派手なそれは銀河に激震を奔らせる。












 次回予告



狐面の男:はいそういうわけで決戦の火蓋は切られるわけですねえ。怖いですねえ、恐ろしいですねえ。

ルルディ:何で変なキャラになってんのよ。

狐面の男:いやあ正体隠すために工夫しといた方が良いのかなと。

リアル:努力の方向性が迷子ですわね。

狐面の男:遊び心は必要だよ? それはそれとしてそろそろクライマックスなわけですが。

ルルディ:正直とっとと終わらせて解放されたいのよアタシは!

リアル:無理ですわね。

ルルディ:即答!?

リアル:大体この筆者の作品無駄にぐだぐだ伸びますのよ? クライマックスどこまで引きずるやら。

狐面の男:わーい自虐ゥ。といったところで次回予告


反アルコーリク勢力は反撃を開始する。

進撃していく中、続々と集結する各勢力。

その中にはかつてリアルの敵であった者たちもいた。

そして、アルコーリク側にもまた。

次回『かくして宴の幕は上がる』

焔の薔薇は戦場に華吹く。


リアル:さあて一心不乱の大戦争ですわよ。

ルルディ:どっかの眼鏡デブですかあんたは。

狐面の男:中身が大して変わらないってのがもうね。







ヒャッハーAC6の発売日が決まったぜえええええ!

ありがとうフロム。これを支えに繁忙期を乗り切ってやるぜ緋松です。


はいそんなわけで後始末からの次の戦準備。何回も言ってますがこっからクライマックスの予定です。そして予定ではあと3話くらいで終わるはずです。信じれ。

ラストバトルははでにロボアクション書きてえなあと思っていますがどうなるかは未定。うんプロット無いんだ。ホントに適当こいてたらここまで来ちゃったよ。果たして筆の進むままに無事に終わることができるのか。無理か。

そう言ったところで今回はこの辺で。



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― 新着の感想 ―
[一言] いよいよクライマックスかあ これが終わっても戦争が続きそうな気もするけど
2023/04/29 21:06 ブラッキー
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