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その6






 リマー艦隊を退けたクレン軍を待っていたのは、賞賛の言葉ではなく叱責と新たな命であった。

 何をとろとろしているとっとと帰ってきて不埒者どもを排除せよ。大雑把にそのようなことを言われたのだが、そりゃないだろうと言いたくもなるだろう。

 実際多くの傭兵たちは不満を爆発させた。


「内乱の鎮圧など契約に入っていない。そして今回の戦いの報酬も渡さないとなれば、契約不履行と言うことになる」


 そのような理由でほほとんどの傭兵たちは資源惑星へと向かうのを拒否しようとした。そうなると当然諍いが起きる。居丈高に接するクレン側と、反発する傭兵たち。そんなことをしている余裕などないというのに、仲違いなど起こしてどうしようというのか。

 で、ぐだぐだやっている間にK-M1へと向かえたのは、僅かに800隻ほどの正規軍艦隊であった。


「どこの国か、かの資源惑星に手を貸しているのは」


 指揮官の一人が愚痴るように言った。彼らはリマーとの会戦でいち早く離脱を決意した、割とまともな軍人である。まともであるがゆえに上の無茶振りを断れず、補給もそこそこにK-M1へ向かう羽目になった。

 クレンからすれば寝耳に水の話だが、あれだけ隙を作れば当然のことと言えた。むしろ様々な勢力から大挙して軍勢が送り込まれなかっただけマシと言えよう。ともかくなんとか相手の数を上回る艦隊を用意することが出来た。これでK-M1付近に陣取っている謎の艦隊と渡り合うことも出来よう。

 ()()()

 絶対増援がある。それがK-M1に向かった指揮官たちの共通認識であった。恐らく今陣取っている艦隊は先遣。たかだか500程度の艦で資源惑星を守り切ることが出来ると考えるほど阿呆ではあるまい。

 ……自分たちの上はそれ以上の阿呆が揃っているのだがそれはともかく。

 今回の侵攻に関して、どこの国も声明などを発していない。500程度の艦隊であれば、大規模な海賊や傭兵団などとも考えられるが、惑星上の反抗と連動しているところを見れば、何らかの勢力が派遣した物と判断できる。

 であるならば、後先考えない行動ではない。後に続く何らかのアクションがあるはずだ。例えば現在居座っている艦隊を退けた途端に後続が現れ、蹴散らされるなどと言うこともあり得る。

 さてどうする。臨時で艦隊の指揮を執ることになった司令官は、配下と共に頭を悩ませていた。


「戦って圧勝できる数ではない。この後のことを考えればできうる限り損失はしたくないが……にらみ合いをしているだけでは上は納得せんだろう」

「敵の目的が資源惑星の切り取りだけとは考えられません。橋頭堡を作り、我が国を侵略しようというのではないでしょうか」

「十分にあり得る。この状況でリマー以外の敵が出来たとなれば、まともに抵抗できるかどうかも怪しい。いっそのことこのまま逃げ出したいくらいだ」

「ですがそれをすれば……」

「我らが身内、親戚縁者に至るまで累が及ぶだろうな。国などどうでも良いが、それは避けたい」


 上の目がないのを良いことに言いたい放題である。そこは彼らもクレン軍人であったと言うことか。


「DA部隊は7割が戦闘可能か。……数はともかくエース級がおらんのは痛いな」

「DAは防戦に留め、艦隊戦に持ち込むしかないのでは」

「向こうが乗ってくれればな。時間を稼ぐつもりなら、こっちの都合には合わせないだろうよ」

「散開し波状攻撃をかけるのはどうでしょう」

「相手が惑星周辺から動くつもりがなければ有効かも知れんが、出方が読めん。下手に艦隊を分散するべきではない」


 中々良い戦術が決まらない。無理矢理押しつけられたような任務だ、士気もそこそこ低かった。

 結局最終的に彼らが取った戦術は。


「射程外からの長距離砲撃。消極的な戦術だが、艦隊の消耗を抑えつつ交戦するのであればこれしかるまい」


 射程距離外から砲撃をしようとすれば、重力の影響や軌道速度の差により命中率が極端に下がる。やもすれば敵艦隊ではなくK-M1に向かってしまうかも知れないが、実弾系を使わなければ砲撃は大気で減退するし、何より反乱を起こしている真っ最中だ。当たったところで反乱者どもが死ぬだけだろう。問題はないと判断する。

 こちらからの砲撃が当たらないと言うことは敵艦隊も同様。それに焦れて攻勢に出るのであれば下がり、防戦に努めるのであれば砲撃を続け様子を見る。戦いと言うよりは小競り合い。時折クレン王国内に出没する海賊や犯罪組織(クレンを根城にしている連中と敵対している勢力)を追い払うために、パトロール艦隊が良くやっていた戦法だ。

 無理矢理戦力をかき集められたリマー討伐艦隊群(笑)の中には、当然パトロール艦隊も含まれている。そして彼らはこの急造の艦隊にも組み込まれていた。だからこの戦法を執る事が出来たのだ。怪我の功名と言うべきであろうか。


「これで一応は戦っていると言い訳は出来る。可能な限り引き延ばし、相手に増援が来たら引くぞ」


 資源惑星の奪還など全く念頭にない言葉である。体裁を整え、自分たちが無事で済む事しか考えていない。それでも功を焦らないだけ他よりはマシであった。

 こうして、K-M1 より生じた戦いは幕を開けたのだが……この戦い、予想以上にぐだぐだと長続きすることになる。











「……ご協力に感謝します。ええっと……」

「【ディレットーレ】と呼んでくれ。しばらく君たちに協力させて貰う。出来れば良き関係を築きたい物だよ」


 K-M1の駐留艦隊基地。そこを占拠したレジスタンスのリーダーは、謎の艦隊を率いてきた人物と面会していた。

 まんま指揮官を意味する偽名を名乗った中年の男は、野太い笑みを見せてリーダーと握手を交わす。

 資源惑星周辺に居座った艦隊は、マリーツィアから送り込まれてきた傭兵を自称している。その割には艦隊もDA部隊もメーカーや機種が()()()()()()のだが、そういったことに疎いレジスタンスたちに分かろうはずもない。


「は、はい。……すいません、礼儀作法がなってなくて」

「構わないさ。君たちの事情を考えれば仕方のないことだ。それは先ず置いておくとして、今後しばらくはクレンの艦隊と小競り合いとなると、そう予測されている」

「この星は奴らにとってそれなりの収入源です。奪還を図って大軍を差し向けるのでは」

「リマーとの戦争がなければ、そうなっていたかも知れんがね。今はそれどころではあるまいよ。多くても1000単位。それが限界だ」


 割と正確な推論を示すディレットーレ。寄せ集めのクレン軍は現在内紛でも起こしそうな勢いで荒れている。動かせる艦隊はそう多くはない。国の首脳陣はリマー軍を退けたことで油断しており、その上この反乱を甘く見ているようだ。出せるだけの戦力を出せばすぐにでも収まると高をくくっていると、そういう情報も伝えられている。すぐさま敗退でもしない限り、増援はない。ディレットーレはそう判断していた。


「まずは我々で時間を稼ぐ。その間に君たちをクレン本星へと向かわせる手はずを整える。星系内の他レジスタンス勢力とは、その際に合流することになるが」

「はい、本星にたどり着いてからは、ほぼ我々のみでの行動になる。そういう事でしたね」

「ああ。()()()()()()()()()()()()()()。それを成就させるためには、まだやるべきことがあり相応の()()がある。今はまだ、堪えるときだ」

「分かっています。それまで、よろしく頼みます」


 リーダーは深々と頭を下げた。

 その後。


「いいんですか、リーダー」


 歩を進めつつ幹部の一人が語りかける。同じように歩みながら、リーダーは答えを返した。


「良いも悪いも他に手段はない。()()惑星(ほし)()()程度なら安い買い物……でもないが、担保になりそうな物は他にないからな。我々には拠り所もない。悪魔との取引だろうがやるしかないのさ」


 自分にも言い聞かせるような言葉。実際マリーツィアからの申し出がなければ、彼らの行動はまだ先のこととなっていたであろう。そして満足な用意も出来ないまま、叩き潰されていたかも知れない。今までと同じように。

 つけ込まれているのは分かっている。しかし千載一遇のこの機会、逃せば恐らく次はない。クレンという国は滅びるだろうし、自分たちがどうなるかも不透明だ。ならば無理を押してでも、自分たちの権利を勝ち取りある程度の立場を得る。今の政府がなくなったからと言って、次がマシである保証などなかった。ならば自分たちが国の中枢へと関わり権限を得るしか道はない。

 綱渡りも良いところだ。だが走り抜かなければ。慎重に、しかし大胆に、彼らは茨の道を走り抜かんとする。

 レジスタンスリーダー、【イーティェ・エーナー】。彼もまた運命に翻弄される人物であった。

 ぶっちゃけ胃痛要員である。












 次回予告



ヤーティェ:わーい、なんか色々と押しつけられそうな人間が来たぞう。

ルルディ:楽しそうねあんた。

リアル:まあ自分が好き勝手振る舞うのに、色々と押しつけておく人間は必要ですものね。

ルルディ:こっちはこっちで最低なことを言い出した!?

ヤーティェ:何を今更。この話基本ろくでなししか出てこないよ?

ルルディ:だからあたしみたいなまともな人間が苦労すんのよ。

ヤーティェ:鏡見よっか。まあそれはそれとして次回予告。


 あまりにも唐突に、その国は動き出した。

 予想外の行動に対し多くの国家は戸惑うが、その国を危惧していた勢力は直ちに反応を見せる。

 戦うのか、懐柔するのか。それぞれの判断はいかに。

 次回『空気を読め。いや読んだからか』

 焔の薔薇は戦場に華吹く。


リアル:わーい、獲物が増えましたわ。

ルルディ:ダメだわこの人。











 だるい。

 なんかこー全てにおいて気力が削がれています。この時期は仕事が忙しいとは言え、情けない話です。

 せめてプラモを作る気力は取り戻したい。(文章ちゃうんかい)緋松です。


 はいまたまた更新が遅れておりますが、とりあえず六話しゅ~りょ~。クレン軍が勝ちました。()でもなんか反乱起こってます。

 そしてなんか幸薄そうなリーダーが登場。大丈夫? 吐血して倒れたりしない? (自分でやっておいて)

 まあ多分ろくでなしどもに振り回される系でしょう。がんばれ。

 そして何やら不穏な空気が。果たしてらなる混迷を生み出そうとするのは何者なのか。大体予想はついているでしょうが次回を待たれよ。


 つー事で今回はこの辺で。

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― 新着の感想 ―
[一言] 【クレンのマトモな…】 マトモな軍人言うても所詮はクレン軍人やし アタマは他より良くても他はドングリの背比べなんだろうね 【黒幕の駒】 純粋な理想や思想は|後ろ暗い連中《スポンサー》のイイ|…
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