第5話:出発
――会議後の上級神達――
「創造神様、とうとう下界に行くの……か」
「そうですね。時間の問題だとは思っていましたが……創造神様にしてはもった方でしょう」
「そういえば下界に繋がってるゲートって森に有るんだったな。何でこんな所にゲートを作ったんだ!とか嘆きそうだ」
「確かに~創造神様動くの嫌いだしね。仕事をするって言ってたけど……」
「「「絶対嘘だな」」」
「創造神様って嘘つくの下手すぎない?」
「顔にでてるよね~」
「自分の中ではポーカーフェイスを守っているつもりなんだろうけどね」
「多分メインは学園に通いたいとかそんな所だろ」
「毎日毎日水晶で学園の様子見てるもんね」
「本当、よく飽きないですよね」
「ところで武神、さっきから黙ってどうしたんだ?」
「……あ、すまない。いや、少し考え事をしていてな……創造神様って自重できた……か?」
「「「あ」」」
「……明日……創造神様に言っておくか」
「ええ。そうしないと世界を破壊しかねないわ」
「そんな不吉なこと言わないで下さい!」
「そうそう、そんなこと言ったら創造神様怒るんじゃない?」
「生きて帰れなく……なるな」
「……ていうか、この会話、創造神様が聞いてるかもしれないわよ」
「「「あ」」」
「これ……詰んだな」
「どうすんだよ」
「それなら、僕が会議終わりに創造神様の盗聴スキルを封印しておいたよ」
「さすがだ、ダリル。……だが、創造神様ならお前の封印ぐらい簡単に破れるんじゃないのか」
「そうよ。逆に、創造神様に聞かれちゃマズい内容があるってことがバレるじゃない。どうするの、ダリル?」
「いや、多分大丈夫。恐らく盗聴スキルの封印はすぐ解けるし、それが僕の仕業で、創造神様に聞かれたらマズイ話があるのだとはさすがに創造神様もわかると思う。だけど創造神様は耳が痛くなるような話が嫌いだから、あえて盗聴はしないはずだよ」
「そこまで既に想定済み……か。やはり創造神様が一目おくだけあるな」
「まあ創造神様は僕を一目おくっていうか、友達と思ってそうだけど」
「そうなの?あなたと友達になりたいだなんて創造神様は変わっているわね」
「僕は創造神様を結構イジってたんだけど、創造神様は想像以上にドMだったみたいで、僕と友達になりたかったっぽいよ」
「……創造神様をイジるなんてお前命知らずだよな」
「まあ僕は創造神様のことが好きだし。相思相愛でしょ」
「え?幻聴?聞き間違えたからもう一回言ってもらえるかな?」
「ひどいな~僕は創造神様をイジった時のあの焦った顔が大好きなんだよ。これはもはや恋でしょ」
「「「……」」」
「違います!恋は……その……相手のことを考えるだけで胸が痛くなってくるっていうか、あの……」
「本当、ユリはリードのことを溺愛してるよね~」
「お似合いだし早く結婚して欲しいわ~」
「え?皆さん何で知ってるんですか?リード君のことはまだ誰にも言ってないのに……」
「有名だよ。リア充の噂流れてるし」
「神界にいる全員知ってると思うけど」
「え?えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!誰がそんな噂を!」
「それは多分……」
「「「ダリルだな」」」
「正解でーす!みんな勘が鋭いよなぁ。創造神様とは違って」
「所々創造神様ネタを入れてくるよな……」
「もうこれダリルのいう通り恋であって……」
「違います!!恋はもっと……その……」
「わかったわよ、ユリ。まあでも、ユリは創造神様に感謝しなきゃいけないわね。ユリの愛するリード君を見逃してくれたんだから」
「~~~~!!……でもそうですよね。創造神様には感謝しかないです」
「ま、とりあえず明日創造神様には口を酸っぱくして言っておくか」
「そうね」
~次の日~
翌朝、俺は下界に繋がっているゲートへと向かった。
今日、念願の夢が叶う。そのことを思うと、自然と足取りも軽かった。
もちろん、無事に変装することもできた。俺は学園に通えるよう、白銀色の髪、翡翠色の目をした9歳くらいの人間の少年へと変装した。自分で言うのも何だとは思うが、結構美形な見た目だと思う。
下界へと繋がるゲートの前では、上級神達が一列に並んでいた。恐らく、見送らなければ殺されるとか勘違いしている為仕方なく並んでいるのだろうが、それでも嬉しいものは嬉しい。
そして俺の姿を見た瞬間、一斉に頭を下げてきた。こういうことをされると、なんか申し訳なくなってくるな……
「みんな、顔を上げてくれ。今回はわざわざゲート前まで見送りに来てくれてありがとう」
俺がありがとう、と言った瞬間、神達が明らかに動揺していた。
「え?幻聴?」みたいな。いや、俺も感謝の気持ちぐらい伝えるって。
「今から下界へと行くが、何か問題があれば呼び出してくれて構わない」
すると列に並んでいたダリルが
「わかりました。何か問題があればその都度来てくださるんですね」と言ってきた。
「いや、あまり呼び出さないでくれ。その……支障が出る」
上級神達がじとーっとした視線を送ってきている気がするのだが……気のせいか。
「そ、それにしても、変装していたのによく俺だとわかったな」
「感じる神力の桁が違いましたので」
「そうか……」
これは普段から神力を抑える必要があるかもな。俺自身にも恐れられる原因があるということだ。後で考えておこう。
ひとまず、下界に降りるので神力を極限まで抑えた。
神力は魔力とは少し違うので、人間達はわずかに違和感を覚えてしまう。神力を無くすことはできないが、極限まで抑えてしまえば大抵バレることはない。
これで安心して下界に降りられると思いきや、それから上級神達から自重の大切さについてしつこく言われた。
終いには土下座してまでお願いしてきた。どうやら俺が下界に行くと世界を破壊してしまうんだとか。
絶対そんなことしないのに。
……いや、多分。
神達の長い説得(?)が終わり、俺は気を取り直してゆっくりと深呼吸した。
「……行くか」
そして、ゲートに足を踏み入れた。ゲートが金色に光る。
俺はあまりの眩しさに目を閉じた。