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とある見習い魔術師の受難  作者: オレオレオ
第3章 入学後によくあるテンプレのようなもの
17/21

決闘 中

予想外に長くなってしまったので、二話に分けます。己の展開力のなさが恨めしい。

てか戦闘シーンって難しいですね....


次話は明日にでも投稿します。

『『展開せよ』』


 カインとクレイは同時に結界を展開する。ルールはリーラの模擬戦の時と同じだ。


「いくぜ!オラァ!!」


 クレイは風の刃を複数飛ばしてくる。無詠唱でいきなり襲ってくる刃にカインは慌てて、身体強化を使い避ける。


「お前も身体強化か、だったら『漲れ』『風よ!』」


 クレイは身体強化と突風を背後に発動させカインに迫る。


「くらえ!」


 クレイはカインの目の前に来て突風を発動させる。カインはまさか自分のコンボを使われるとは思っておらず、正面で受け吹き飛ばされる。


「くっ!『風よ』」


 カインは自分の吹き飛ばされる方向に突風を発動させ、勢いを軽減させ地面に着く。


「アインっていう女子生徒のコンボを真似したんだが案外使えるじゃねえか。てかどうした?そんなもんかよ」


「まだまだ、ちょっと驚きましたがこれからですよ」


「そうかよ、もっと楽しませてくれよな!!」

 

「漲れ!!」


 クレイは風の刃や突風などを大量に発動させ、カインを襲う。それをカインは身体強化魔法を重ねがけし、なんとか避けていく。


「身体強化の重ねがけだと? なんつう器用な真似しやがる!」



 カインはクレイから放たれる風系統の魔術を紙一重で避けながら、詠唱を始める。


『火球よ、その炎で我の敵を打ち燃やせ』


「通常詠唱だと!何を考えてやがる」


 カインはゆっくりと詠唱しながら笑みを浮かべる。わざわざ初級魔術であるファイアーボールを通常詠唱するのは頭の中でもう一つの魔術を並行詠唱させているからだ。次々と襲いかかるクレイの魔術を避け、詠唱を終わらせると、カインはクレイに杖を向けて魔術名を叫ぶ。


「ファイアーボール!!!」


 カインが叫んだ瞬間、フィールドを覆い尽くすような数の火球が現れる。メラメラと燃える火球にクレイはもちろん、観客席の者たちも呆然とする。ニヤリと笑みを浮かべるアグリットを除いて。


「なっ!なんだこの数は!?」


「反撃開始です!」


 火球は一斉にクレイへと押し寄せる。クレイはこの大量の火球を回避不可能だと判断し、すぐさま詠唱を開始する。


「上等じゃねぇか!火球程度吹き飛ばしてやるよ『暴風よ、渦巻き、荒れ狂い、全てを吹き飛ばせ!』」


 クレイが唱える魔術は風の上級魔術『狂風乱渦』、自身を囲う様に竜巻を巻き起こし、荒れ狂うような暴風が周囲に襲いかかる強力な魔術である。

 クレイは今までからも分かるように風魔術を得意としている、この歳で上級魔術を扱えることからも相当な実力者である事は明白だった。

 クレイの竜巻とカインの火球がぶつかり合う、が、強力な暴風の前に火球は次々と掻き消され、クレイへと届く事はなかった。クレイは最初こそ焦っていたが、火球が届くことは無いと分かると、ニヤリと笑みを漏らし始める。


「なんだよビビらせやがって、所詮数は多くても火球は火球だな。てかやっぱり大した事ねえじゃねえか、このまま倒しt....!」


 クレイは目を見開く。目の前にいたはずのカインが消えていたのだ。クレイの顔には先程の笑みは消え、真剣な様子であたりを伺う。その時、彼の背後から声が掛かる。


「これで終わりですよ『感電せよ!』」


 クレイが振り向く前にカインが彼の首筋に杖の先端を当て、電気を流す。アインが身体強化と併用して使った、『ショックボルト』の魔術をクレイにゼロ距離で発動させたのだ。カインが魔力を多めに込めたのと、首筋に直接流したおかげでクレイの身体を守る結界は破壊される。それを確認したアグリットは大きな声で宣言する。


「そこまで!勝者はカイン!!」


 一気に場内が騒ぎ始める。身体強化の重ねがけや、あれだけの火球を発動させるなどカインの技量は観ていた者には一目瞭然だった。クレイは問題児とはいえ、学院でもなかなかの実力を持つ生徒だ。そんな彼をこんなにあっさりと倒すとは、やはり十魔杖の弟子は伊達ではないと周囲の者は戸惑いの表情でカインを見つめる。

 カインはそんな視線に気まずさを覚えていると、クレイから声をかけられる。


「お前凄いな! 身体強化の重ねがけにも驚いたが、あの火球の量!まさかあれだけの量を出して囮にするとかどういう頭してんだ!?」


「火球は他の初級魔術と比べて派手ですから、囮にぴったりなんですよ。あと流石にあれだけの量を一詠唱で出すのは無理ですよ、半分以上は幻影です」


「幻影って、そうかだから量の割に簡単に消えてったのか」


「正解です」


 ニッコリと答えるカインにクレイも笑いかける。


「それでもお前凄いよ、つまり火球と幻影を平行で、しかも片方は無詠唱で発動させたって事だろ?どんな魔術制御したらそんな芸当出来んだよ」


「ありがとうございます」


「嫌味か!」


「あははっ」


 カインとクレイは先ほどまでとは打って変わって仲よさげに話をする。そんな二人に声をかけてくるものがいた。もう一人の特待生、眼鏡をかけた知的な生徒だった。


「結局負けたのか、あれだけ豪語しておきながら」


「うっせ!お前も見ただろ、こいつの実力をよ」


「確かに、中々の実力だった。私はリカルドという。ぜひ次は私と闘おう」


 カインはこの人も戦闘狂い(バトルジャンキー)なのか、とカインは少し呆れ気味に驚く。見た目は知的な様子なのに人は見かけによらないとはよく言ったもので、好んで戦う様なタイプにはカインには見えなかった。


「僕は構いませんが」


「よし!学院長次は私でよろしいですか?」


 アグリットはコクリと頷き、それを見たリカルドが笑みを浮かべる。


「では早速やろう! おい、負け犬はさっさと観客席へ行け」


「かー! お前な、もっと俺を労われよ!お前が負けたら笑い者にしてやるからな!」


 そう言って、クレイはフィールドと後にする。


 悪口を流せるほど仲がいい、のか?とカインは苦笑いをする。

 貴族の時もそうだが、リカルドは口が悪い。加えて戦闘狂い(バトルジャンキー)という事もあってカインは取っ付きにくさを感じた。


「さて、邪魔者はいなくなったし早くやろう」


「は、はあ」


 目をギラギラさせて言うリカルドにカインは少し気後れする。二人はクレイの時と同じように、中央で向かい合う。そしてアグリットの合図で戦闘が始まる。


『『展開せよ』』


 圧倒する、ここにいるものに自分の実力をしっかりと認めさせる。カインはそのことを考えていた。クレイの時は勝てはしたが序盤は押される展開となった。アグリットの言葉を思い出し、これではダメだと感じる。もっと圧倒的に、相手に勝てないと自覚させるほどに。今後挑もうとしてくる者たちが考えを改める程の力で。カインは師匠から師匠から教わった奥の手の一つ、対魔術師用の魔術を使う事に決める。


『礫よ!』


 リカルドは拳ほどの礫岩を作り出し、カインを襲う。地属性魔術『ストームバレット』だ。


『漲れ!』


 カインは身体強化を使いそれを避けながら、詠唱を始める。


『魔の理をすべし者、術を読み解き、その理に介し、根底を揺るがす』


 リカルドは聞いたことのない詠唱に不信感を覚え、更に魔術の勢いを増す。


「『礫よ!』、そこだ!『撃ち砕け!』」


 リカルドはカインの動きを予測し、中級魔術、『ストーンキャノン』を放つ。彼の身体よりも大きな岩が複数現れカインへと向かう。


『その者、魔を制し、還元への輪廻へと帰す』


 大岩がカインを襲うが、気にすることなく詠唱を続け、いくつかを回避するが避けきれずにカインに直撃しそうになる。が、カインが杖を横に振るうと複数の風の刃が発現し、岩を切り裂く。


 リカルドはこの事に焦りの表情になる。攻撃を受けても続ける長い詠唱、そしてクレイとの闘いで見せた場を埋め尽くすほどの火球、リカルドはすぐさま防御魔術か回避かを選択する。しかし、リカルドはどちらもせずに攻めることを選択する。先程の火球の様な回避不可の術、また、仮に防御してもクレイの様に不意を突かれる可能性を恐れたためだった。幸いカインの詠唱が終わっていないことから、リカルドも詠唱を開始する。


『唸りを上げ、巻き込み、覆い尽くし、のみ尽くせ!』


 リカルドが使うのは地属性上級魔術、『アースウェイブ』。リカルドの詠唱と同時に杖を地面へ向けると、地面が揺らぎ、波を作り出す。横に伸びた大規模な地面の大波にカインは避けることを諦め、詠唱に集中する。


『全ての魔は霧散し、我が糧となれ!』


 波がカインを覆い被さりそうになる直前、カインを中心に光の半球の形をした結界が展開される。そして、波は大きな砂埃を上げ、辺りは全く見えなくなる。


「勝ったか?」


 リカルドはカインを地面の波が覆うところを見て、確信する。詠唱もこちらが早く、回避不可能の大規模な術だ、仮にカインの魔術が完成してもただでは済まないだろうと思う。


 砂埃が収まり辺りが段々と見えてくる。するとリカルドには波が覆った所ののカインがいた部分に何か光るモノが見える。まさか!と思い、リカルドは杖をその光へ向け魔術を放つ。


『撃ち砕け!!』


 リカルドが大岩を作り出し、それを光へ打ち出すが、光へ岩が辿り着いた瞬間、まるで霧散するように岩が消えて無くなる。


「一体何が起きた!?」


 リカルドが目を凝らすと光が段々と前に動き出し、ついに視界で捉える。そこには光る結界で覆われた()()カインの姿だった。


「どうして!確実に波が飲み込んだはずなのに」


「ぎりぎり間に合って良かったです、あなたにもう勝ち目はありませんよ」


 笑みを浮かべながら答えるカインにリカルドは額に青筋を立てる。


『撃ち砕け!!!』


 リカルドはカインにもう一度大岩を打ち込むが、結界に触れた途端霧散する。リカルドはそれを見て驚きの表情を浮かべる。


「魔術をかき消されているだと!?なんだその結界は!」


「それは終わってから教えますよ、『撃ち砕け!』」


 カインがそう唱えると複数の大岩が現れる。リカルドが先ほど打ち込んだ大岩と同じものが。


「それは、私の!?」


「終わりです」


 カインが杖をリカルドに向けると大岩はリカルドにまっすぐ向かい、リカルドはそれを正面で受ける。

 彼の結界が消え、アグリットは高らかに声を上げる。


「そこまで!勝者、カイン!」


 場内で再び、大きなどよめきが起こる。カインの使った謎の魔術、無傷で特待生を二人も破った実力は観ていた者にとって衝撃的だった。カインの実力に懐疑的だった者たちもこの様子を観て考えを改めざるをえないほどに。


「カイン君、流石ね!まさかここまでとは思わなかったわ」


 アグリットがフィールドに降りてカインに満面の笑みで近寄ってくる。恐らく、カインの戦いを見て顔を青くさせている貴族連中を見て、気分が良いのだろう。カインはそんなアグリット苦笑しつつ、褒められた事に少し照れる。


「ありがとうございます、でも学院長、その様な顔で来ると勘繰られてしまいますよ」


「おっと、いけないわ。彼らの表情が面白くてつい」


 やっぱりか、とカインは呆れる。そんな二人に横から口を出す者がいた。


「おい!今の魔術、説明してもらおうか!」


「説明する必要あります?」


 カインは少し嫌そうな顔をしながら復活したリカルドに答える。リカルドはその言葉に青筋を立て怒り出す。


「当たり前だろう!なんだあの魔術は!?魔術を無効化させる魔術なんて聞いた事もないぞ!」


「そりゃ、僕のオリジナルですから」


「オリジナルだと!?おい説明しろ!」


 カインの言葉に更に驚き、凄い顔で詰め寄ってくるリカルドにカインは思わず後ずさる。


「一応、僕の奥の手なので教えたくないんですが.....はあ、仕方ないですね、魔術名は『多元魔術還元結界』、相手の魔術を霧散させ、魔力としてこちらに吸収する魔術です」


 カインの言葉に場内の全員が耳を傾ける。カインは彼らの物凄い視線に気後れしながらも、冷や汗を流しながら説明を続ける。


「この魔術は結界を展開し、そこに触れた魔術を分解、魔力に還元します。さっきの『ストーンキャノン』は分解したのを再構築して発動したんです。これによって魔術に消費する魔力を少なく出来るんです」


「そんなの無敵じゃないか、勝てるわけがない!」


 リカルドの言葉に周囲の者は同意する様に頷いたり、「そうだそうだ!」と口に出す。カインはそれを見て、苦笑しながらリカルドに答える。


「ところがそうもいかなくて、この結界の維持と魔術を分解するときにかなり魔力を使うんです。あとは詠唱が長かったり、分解するときにその魔術に対する高い理解力と魔力制御が必要なので無敵というわけにもいかないんです。クレイさんのように速い魔術を使う相手には回避か他の魔術で対抗したほうが早いですし」


「な、なるほど」


 カインの説明にリカルドは無論、周囲の者も押し黙る。一見無敵に思われた魔術に以外と欠点や難点が多いこと、何より、そんな高度な魔力制御が必要な魔術を扱えるカインに驚いているのだ。


「成る程ね、欠点は勿論、かなり高度な魔力制御技術がないと扱えないってわけね。これは流石に私でも使えないわね、ただカイン君にとってはかなりぴったりな魔術ね、さすがオリジナルなだけはあるわ」


 唯一、納得した様にアグリットだけがカインの説明にうんうんと頷いて笑みを浮かべるのだった。






拙い文章ですが、少しでも面白いと思ったら評価よろしくお願いします。

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