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とある見習い魔術師の受難  作者: オレオレオ
第2章 入学編のようなもの
11/21

保健室での受難 後と初めての友人

「もうお嫁に行けない....」


カインは全裸のままベットに座って項垂れていた。シーツで身体を隠しながら恨めしそうにロミネスを睨む。反してロミネスはうっとりと満足とした表情をしていた。


「男に戻るんだから関係ないだろう」


「比喩表現ですよ! とゆうか何か分かったんですか?こんな事されて何一つ分かりませんじゃちょっと納得できないですよ僕!」


「大丈夫だよ、完全に分かったとまではいかないけど大体の想像はついたよ」


カインはロミネスの言葉に明るい表情になる。


「それで原因は何だったんですか!?」


「落ち着いて、まだ確証があるわけじゃないから。だからこれはあくまで推測だよ?」


「それでも良いです、お願いします」


カインの迷いのない言葉に、ロミネスは仕方なしといった 様子で説明し始めた。


「原因はまず間違い無く性転換ポーションだね。身体を隅々まで診たけど、完全に女になっているもの」


「じゃあもう一度ポーションを飲めば元に戻るんですか?」


「おそらくね、カイン君が女の子になった経緯はモーリスから聞いているよ。カイン君は性転換ポーションを飲んで一度元に戻った、けど直ぐにまた女に戻ってしまった。これは最初のポーションが原因だね。一度目は頭からポーションを被り、二度目は飲んだ、そして性転換ポーションは飲用だ」


カインはロミネスの言葉にハッとする。


「もしかして、一度目の性転換は不完全だった?」


「その通り!実は性転換ポーションの作成には私も関わってるんだよモーリスは薬学には精通しているけど人体にはそこまでだったからね、僕に協力を求めてきたって訳さ。だから性転換ポーションには多少詳しいんだけどね、 最後まで性転換ポーションを作るのに問題だったのは性の定着なんだよ」


性の定着という言葉にカインは首をかしげる。ロミネスはそんなカインの様子を察してか、説明を始める。


「性の定着というのはね、簡単に言うと性別を固定させるということさ。ポーションの材料の中にチョークバッスという魚がいてね、そいつが性転換する上で重要となっているんだけど、少し問題があってね。その魚は一日に数回性転換するという性質を持っているんだ。その性質だけを除くのが大変で苦労したものさ。結局その性質のみを取り除くのに必要な材料を探すのに一年も使ってしまった。というわけで、あれは正しく服用しないと成果は得られないのさ」


「じゃあ不完全な女体化にもう一度ポーションを飲んだせいで完全に女になってしまったと」


「たぶんね、一度男に戻ったのは一度目のポーションの作用だろう、重ね掛けしたせいで身体が不安定になっていたのだろうね」


「完全に無駄骨だったって事じゃないですか....」


「そうでもないさ、方法としては間違ってない。もう一度服用すれば男に戻れるよ、それに身体の変化時に激痛がきただろ、もう一度飲まなかったら半端な性転換のせいで何日か周期で激痛と同時に性転換を繰り返すことになっていたよ」


「それは...辛いですね」


カインはあの激痛を思い出すとげんなりする。もう一度ポーションを飲む時にまたアレを味わうと思うとげんなりとする。


「さて、今言ったことはあくまで推測さ。正解ではないかもしれない、そこは理解してくれよ」


「はい、ありがとうございました。じゃあ、僕はこれで....」


カインは服を着て部屋を出ようとする。これ以上この部屋にいたら何をされるか分からないと思い、早足で出て行こうとする。しかし取手に手をかけたときにロミネスに呼び止められる。


「ちょっと待って」


「...何ですか?」


「最後に唾液頂戴!」


「やっぱり変態か!」


「違うよ! 確証を得るために君の体液を調べたいの!血でもいいいけど、可愛い女の子の肌を傷つけるのは気がひけるでしょ」


あれだけ好き放題して変なところで気を使うんだなとカインは思う。正直血も唾液も嫌だが仕方なく、痛いのは嫌なので唾液を渡す。





カインは唾液を渡した後すぐに保健室を出る。そうすると目の前にレイスとアグリットがいた。


「あれレイスどうしたの?」


「寮に戻る時一人じゃ大変だと思って来たのですけど、アグリお爺様から中に入るのを止められまして」


(さっき来たばかりだから声は聞いてないわよ、ついでに保健室に来た生徒も追い払っておいたわ)


(ありがとうございます)


カインはアグリットに素直に礼を言う。中の惨劇を他の人に見られたらカインは生きていけないと思った、社会的に。





レイスとカインは寮に戻っていると声を掛けられた。一人は金髪ロールと茶髪をツインテールにした二人組の少女だった。


「あ!レイスじゃん! 隣にいる子はもしかしてルームメイト?」


茶髮の少女がレイスに笑顔で話しかけてくる。レイスはいつものように無表情で返答する。


「オリビアさんとカローナさんじゃないですか」


「ちょうどよかったですわ、わたくしたちの部屋は貴方の正面だったので挨拶に伺おうと思ってましたの」


金髪ロールの少女、オリビアがそう言いながらカインの方を見つめる。


「見かけない顔ということは今年から入った特待生ですわよね、わたくしはオリビア=プリモル、伯爵家の長女でこちらが」


「カローナ=マウルだよ! 男爵家の三女さ!」


「私はカ...アインです、えっと平民です」


アインは思わず、カインと言いそうになるがなんとか踏みとどまる。こっちにきてからまだ女の子振る舞いをしてなかったせいか、動きがぎこちない。


「「よろしくね!(ですわ)」」


二人はアインが平民だといったのにも関わらず、普通に接してきた。学院長に聞いてきた話と違うとアインは驚いていると、レイスがそれを理解してか説明してくれる。


「彼女達は貴族派ではありませんよ、強いて言うなら中立派です、私と同じ」


「その話もう聞いていたのか、僕たちはそういうの気にしないから安心してね!」


「ええ、強い者が弱い者に淘汰されるのは当然ですもの」


「彼女たちの家は国境を守っているため、実力至上主義なんです。だから平民に対する差別意識が貴族の中でも少ない方々なんです」


「さらに言うと、僕の家は平民上がりの新興貴族だからね。思考が貴族より平民の方が近いのさ!」


にししと笑いながら答えるカローナを見てアインは確かに親しみやすさを感じる。


「とりあえず歩きながら話しましょうか」


レイスの言葉で四人は歩き始める。アインは歩きながらさっきの中立派について質問する。


「あの中立派っていうのは?」


「どちらにも属してない人々のことです。正確には派閥ではないんですがね」


「アインさんも気をつけた方がいいですわよ、明日には接触してくると思いますので」


「接触?」


「派閥勧誘のことさ、新しく入ってきた特待生は人数の少ない特待生派閥にとっては戦力増強のチャンスだからね。大抵は貴族派にリンチにされる前にこちらに来いって言われて入っちゃうんだよね」


「なるほど、じゃあ私も形だけは入ったほうがいいのかな」


「大丈夫ですわ、わたくし達と友達ならどちらの派閥もむやみに近寄ってこないでしょうし」


「と、友達ですか?」


「違うのですか、部屋も向かいですしアインさんも良い人そうなので私てっきり...」


「ち、違うんです!」


アインは慌てて落ち込むオリビアをフォローする。ずっと男だったカインは女友達はいなくはなかったが、貴族の、それも可愛い少女と友達という感覚が湧かなかった。レイスはルームメイトなので実質学院に来て

初めての女友達だったのである。


「その、貴族の二人が平民の私なんかを友達として思ってくれたことに驚いてしまって」


「ああそういう事ですの、そんなこと気にしなくて良いですわ。プリモル家は実力至上主義、特待生で高等科から入るということは実力は聞くまでもないですわ。気後れすることなんて何一つありませんわよ」


オリビアは笑顔で答える。それを見てアインも笑顔で分かりましたと返答する。


「万事解決かな! アイン、僕たちのこともレイスと同じで呼び捨てで構わないよ、僕たちもそうするし」


「でもそれは...」


「公爵家の人間を呼び捨てで呼んでいるのに、伯爵家と男爵家の人間に気を使ってどうするんですの」


「ここは学校ですよ、生徒は平等、家の位は関係ありません」


レイスの一言でアインは仕方ないといった様子で了承する。その後は四人で親睦を深めながら寮までの帰路を歩くのだった。





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