ばいばい。
さようなら。
強がりではないと思う。
同じ気持ちでいいと思う。
見えなくなるまで、消えてなくなるまで、懸命に手を振ろう。
もう見えなくなって、感じる手の重さが感謝の重み。
私の悩みの種を、ここで放り投げる。
頭を叩くと音がする。悩みの種の跳ねる音。
主人公の消えた記憶。期待はずれの叙事詩。
さようなら。強がりではないと思う。
私は、ほんの少し軽くなり、これでも疾風を感じている。
今は走れないけど、両腕で空気を掻き分ける。
さようなら。
みんな同じ気持ちでいいと思う。
みんなが見えなくなるまで、懸命に手を振ろう。
お別れの合図に、汽笛を鳴らす真似をして、私は腰をあげる。
主人公が消えた後、期待はずれの結末が見えなくなる。
さようなら。同じ主人公の思い出たちよ。
身軽になる思い出でもいいと思う。