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調教



 「ウワッハハハ~~♪♪ほら!ほら!もっとお尻をフリフリしないと掴まえちゃうぞ~~♪」


 そう言って、ナナツボシさんの引き締まったプリッケツをパンパンと叩く。


 ーーー僕と彼女は、かれこれ、もう一時間ほども(お代官様と雌豚)プレイを一緒に楽しんでいる。


 ‥‥‥いや、この時の僕はお互いに楽しんでいると思い込もうとしていたに過ぎない。


 あろうことか僕は、ナナツボシさんを後ろ向きによつん這いにさせて、三尾をフリフリさせて、それを僕が捕まえるという至高至福のフリーゲームに興じていた。

 ナナツボシさんもノリノリだ。喜んで尻尾をフリフリさせているものだと思っていた。


 「おい!!こんの雌豚がぁ!もっとケツを高く上げろ!!」


 パンッとケツを叩く。


 「あぅっ!、あ、あい、こうですか?ハルヒロ様ぁぁ。」


 すぐに張りのある小さいプリッケツがグンッともち上がる。


 「ウワッハハハハ‥‥そうだ、そうだ、そうもっと早く尻尾を振らないと、またまたにぎにぎして失神させちゃうぞ~~♪ほれ!ほれ!ほうれ~♪ウハハハ~~♪」

 

 なんでも言うことを聞くナナツボシさんと遊んでいると楽しくて楽しくてしょうがない。

 それに、このゲームはナナツボシさんにとっても失神するほど気持ちいいらしく、先ほどから何度も尻尾を掴まれてはウレションを垂れ流して失神していた。


 ーーー狂気。

 

 この時点で僕の脳ミソは大量のアドレナリン(興奮物質)とエンドルフィン(快楽物質)に侵されて、通常の判断が出来ない状態に陥っていた。


 「まったく、尻尾掴まれてウレションするようなはしたない雌豚には、またまた、このお仕置きが必要かなぁ~~♪ヒャッハハハハ~~♪」


 ーーー狂気の暴走。

 

 狙っていた尻尾を素早く掴んでグンッと引っ張る。


 「ヒッ、アヒイィーーーーーッ!!!」


 嬌声をあげてまた、カクンと失神してしまった。

 

 しかし、こんな美人さんがこれほどのド変態だとは思わなかった。

 この人はそんじょそこらにいるマゾではない、たぶん、超弩級の変態ドマゾだ。

 失神した美しい横顔を眺めながら、こんな人と知り合いになれた奇跡に僕は感謝した。

 

 ‥‥‥だが。


 「おい!雌豚、起きろ♪この豚が、起きろ!起きろ!起きろ豚ぁ!!ウッハハハ‥‥‥‥ハ‥‥ハハ‥‥は‥‥‥あ?、あれ!?」


 ノリノリでナナツボシさんのプリッケツをパンパンッと叩いていた狂気の手がピタリと止まる。

 

 明らかにナナツボシさんの様子がおかしい。


 「ゆ、許いて、許いてくだ‥さい‥‥‥‥う、うぐぐ‥‥も、もう、許して、無理。‥‥これ以上‥‥これ以上は、し、死んで‥まいますぅ‥‥‥うぐ、う、う、うっ。」


 うつ伏せの状態で肩を揺らしながら泣いているように見える。

 

 (ほ、本気泣き‥か‥‥?)


 「‥‥‥う、うそですよね。ナナさん‥‥?」


 腕を支えに起きあがろとするナナツボシさんはまるで生まれたての子牛のようにガクブル状態だ。


 「こ、こ、これは‥‥。」

 

 (ま、まずい‥‥‥‥‥本格的に、やり過ぎたのか‥‥。)

 

 脳内に溢れていたアドレナリン(興奮物質)がノルアドレナリン(不快不安物質)にすり変わる。

 

 (我を忘れていた‥‥大人の女性に対して、なんちゅうことを‥‥‥。)


 言い訳が出来ないほどに暴走。

 

 (‥‥いや、完全にとち狂っていた。)


 「え、え、えーと、大丈夫です‥か?‥‥ナ、ナ、ナナ、ナナナツボシさん‥‥‥?」


 血の気が引き、声が震える。


 「お、お願いしたき儀がございます。こ、この命、命‥‥尽きる前に。‥‥な、何卒、何卒、誓約の魔道血判に血の刻印を頂きたい。こ、この命、この命にかえて、お願い致します!!」


 まなじりを決して、叫ぶように訴える。


 「は、はい!‥‥‥え、えーと、ま、魔道血判‥‥?」


 ーーー『誓約の魔道血判』!?

 

 (あれほど気をつけてたのに‥‥。)


 おそらく、これはもっとも僕が恐れていた訴訟絡みの書状。


 「‥‥あ、あの、ハルヒロ様が‥ぬ、脱がせた、その、私の着物の中に‥‥。」


 「あ!?‥‥あ、あれは‥ですね‥‥‥。」


 (ぬ、脱がせた‥‥とは、人聞きが悪い。)

 

 後でセクハラ問題になりそうだったので、できるだけ触らず、できるだけ見ずに細心の注意を払って着替えさせたのだ。


 (もちろん、着物はしっかり洗って‥‥‥ん?‥そう言えば、あの時に大量に出てきた怪しげな武器らしきものの中に‥‥。)

 

 「‥‥あ、あの、巻物みたいな‥‥?」



 ◇◆◇◆


 

 (ーーーーーおい、バニラ‥‥それってモナモカが借金の肩代わりになってるってことじゃないよな。)


 ハルヒロが発したこの言葉が気になっていたバニラは、村に帰って来るなりすぐに育て親でもある村長のアンズ婆の元に訪れていた。

 

 「だーーかーら、とぼけるのもいい加減にしろよ、呆けちまったのか、ババサマ!!」


 詰め寄るバニラに対し、アンズ婆はバニラを一瞥だにせずに、黒金の美しい装飾の施された煙管キセルに口をつけては悠然と紫煙を吐き出していた。


 (ザンッ!!)


 苛立つバニラは腰から覇剣【ダブゼー】を抜き放ち、囲炉裏の手前の板床に突き立てる。

 

 「さあ!答えろ!ババさあああ!!モナモカは金で買われたのか!」


 アンズ婆は吸っていたキセルを右手に持ちかえ、床縁ゆかべりに(カンカンッ)と打ち付けると、ババサマ独特の鋭い眼光をバニラに向けた。


 「‥‥うぐっ」


 強い覇気を孕む眼光に怯むバニラ。

 

 【アンズ‐アイス】歳を重ねたとは言え、かつては村落最強の戦士。特にアンズ婆の手によって幼い頃から厳しく躾られたバニラにとっては尚更に怖い存在であった。


 「‥‥‥やんややんやと、こん馬鹿娘うつけが‥‥」


 「こ、答えてくれよ、モナモカは借金の肩代わりになるんじゃないよな。」


 アンズ婆はかぶりを振って一服つけ、ゆっくりと紫煙を吐き出してから、その重い口を開いた。

 

 「ふうう‥‥‥、もっちろんギュじゃ。もっちろん、ワッシの目の黒い内は銭子で村のめんこい娘達を売ったりはせんわ‥‥‥じゃんがのぉ、じゃんが、こんことは【百葉】のお達しじゃ、百葉からのお達しとあらば、ワッシでもあん糞爺婆たちにはよう逆らえんわい。」


 「百葉、百葉って、ババサマはあんな爺婆の茶飲み寄合いが怖いのか!?」


 バニラにとって、百葉とは(周辺村落の村長達の寄合い)程度の認識しか持ちあわせていなかった。


 「ほうじゃ、ほうじゃ。おんしの言う通り茶飲み寄合いじゃ。じゃんがのぉ、じゃんが、そんの茶飲み寄合い(ガバナンス)で我が犬牙一族、村社会ひとりひとりの命を繋いでおる。じゃんから、じゃんからこそ百葉っちゅう、こんの緩い統治機構ガバナンスに逆ろうては、こん場所では生きていけんのじゃ!」

 

 「‥‥‥ぅぐぅっ‥‥で、でも‥」


 言い返せないバニラにアンズ婆が追い打ちをかける。


 「大体、こうなったんはバニラ、おんしのせいでもあるんじゃぞ、おん!?わかっておるんかに‥‥?」

 

 


 


 


 

 


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