朝鮮半島動乱について
久し振りに東アジア関連です。
欧州の方も軍事協定再編の動きや独立問題が蠢いてますし・・・どうなることやら
そっちはもう少し様子を見てから書きたいと思います。
最近賑わすことの少なくなった北朝鮮問題ですが、徐々に煮詰まっているように感じます。
トランプ大統領の訪中も終わり、なんとなく息が抜けた感のある東アジアですが、どうしてここまで手間をかけるのかいまいち不思議に思われる人も多いでしょう。
今回のアメリカの隔靴掻痒の様は自業自得としか言えない部分もあり、北朝鮮の外交センスの良さを際立たせている部分もあるのですが、まあそんな報道をマスコミがするわけもないので・・・
一番最初の問題点は朝鮮戦争の休戦協定にあります。
ここで休戦を結んでいるのは国連軍に対して北朝鮮軍と人民軍であるため、休戦協定を破棄すると自動的に人民軍との休戦も破棄されます。
破棄されたからといって戦闘する義務はないのですが、国家間ではそれに伴う面子と補償という問題が常に付きまといます。
人民軍との戦争はできない以上、面子を潰す分については中国に補填しなくてはならず、技術や物資で返礼する必要があります。
今回トランプ大統領が結んだ28兆円の収支については、ほとんど利益がないか、技術流出を認めるものではないかと思っています。
利益がなくてもそれだけの資本が入り込めば経済活性化は可能ですし、企業努力によって利益を出すことも可能でしょう。アメリカとしては受け入れられる範囲の補償ということになると思います。
次になんでこのような事態になったのかですが、休戦調停当時は国連の安保常任理事国は中華民国(台湾)であって中華人民共和国が理事国になったのは1971年からというのが大きな理由です。
つまり休戦協定当時は中華人民共和国は反乱軍の治める地域でしかなく、人民軍も正規国軍ではないという形になっていたのです。
田中角栄がすごいと思うのは安保理自国に中華人民共和国がなるやいなや、日中国交正常化を図り、朝鮮半島問題をうやむやにして中国との交流をできるようにしたことです。
高度成長期に入ったとはいえまだまだ経済力でも小さい日本と、自力防衛は不可能な軍事力の中で見事な舵取りをしてきたと思います。
続いてはアメリカのミスです。
休戦協定には新しい武器を朝鮮半島に持ち込むことを禁止した第13節Bがありましたが、アメリカが核兵器を持ち込むためにこれを1958年に一方的に破棄しています。
このせいで中立国監視委員会が弱体化して権限がなくなったといってもいいでしょう。
このため核兵器を開発されても休戦条約違反にはならず、核拡散防止条約も批准してない北朝鮮は国際法的には問題なく核開発ができたという環境になっています。
また、北朝鮮側から休戦協定に代わる平和条約について何回か提案はありましたが、アメリカはこれをすべて無視しています。(まあ補償やなんだで北朝鮮に有利な提案であったことは間違いないですが・・・)
ということで現在に至るのですが、北朝鮮との直接対話の条件は北朝鮮には飲めないものですし、飲んだように見せて会話しようとしても、アメリカが完全廃棄を確認できないでしょう。
軍事面では空母運用は本来3隻以上が必要です。
二隻が作戦任務担当、一隻が後方で休暇、戦力再編。
これをローテーションでこなさないとたちまち飛べない飛行機を運ぶ貨物船が3隻という状態になります。
朝鮮半島の場合、日本の基地が使えるので2隻でも運用は可能でしょうが、3隻というのはかなり本気の状態です。
原子力空母は一隻を一日動かす経費が2億円かかります。1か月×3隻動かすとそれだけで180億円が吹き飛びます。
実際にはそれに護衛艦艇の経費もかかるので装備費用も含め、兆単位の費用がかかっていると思われます。
それだけの費用をかけて、演習だけというのはちょっと不気味です。
あとこの頃ウラジオストックに日本の護衛艦がしきりに寄港しているのが気になります。
地図で見るとわかるのですがウラジオストックの対岸は北朝鮮になります。
ロシアへの情報収集艦をおいているようにも見えるのですが?もしかすると北朝鮮潜水艦への警戒?どっちでしょう?
ともあれ、まだまだ気の抜けるような状況にはなってないようです。