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「ぼくらはみな、あまねく囚われの身だ」
ここは、楽園。
暑さも寒さも、飢えも乾きも、痛みも苦しみもない。
ただひたすらに平和で平穏で、なにもかもが満ち足りた、「約束の地」。
ただ「選ばれし民」のみが、ここに住まうことを許された――はずだ。
『なあ、見えないか?』
――なにが?
『この島に巡らされた「もの」が』
――もの?
『ここは楽園なんかじゃない』
――じゃあ、ここはどこ?
『ぼくらは「選ばれし民」でもない』
――じゃあ、ぼくらは一体……?
『ぼくらは……』