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昔書いたやつ

ギャンブラー香織の勝負パンツ

作者: 粟家 大三治

世の中

縁起を担ぐ人というものは

いるもので、

田村香織もその一人であった。


生粋のギャンブラーである彼女は

朝、靴を履く順番や、

賭場に向かう道中で

金は一銭も使わないこと、

大勝負の前日には

カツレツの類、

或いは鰹を

かならず口にする

という習慣を

頑なに守り続けていた。


競馬、競輪、パチンコ、スロット、

ポーカー、バカラに、競艇、BJ、

花札、トランプ、遊戯王カード、

バーコードバトラーに

カードダス、

スポーツの結果などにも全て賭け、

その他

ありとあらゆる

ギャンブルというギャンブルをやり尽くし、

ギャンブルではないものまで

ギャンブルの対象とし、

その悉くで連戦連勝。

金のかかる勝負では負け知らずだった。


しかもその半生を記した手記、

「ギャンブリングアポカリプス

 香織の半生」

世界180の国と地域で出版され、

二億部を売り上げた。


その儲けで株を買ったら

その株価は鰻登り、

売ったらその株価は暴落、

もしくは会社が

次の営業日までに倒産するという

神がかり的な強運なのであった。


各方面で活躍した香織だが、

自身はギャンブラーである

という立ち位置には

こだわり続けていた。


宵越しの金は持たねぇ、

金は天下のまわりもの、

というような

江戸っ子気質の香織は、

その生涯を終えたとき

周りの遺族の期待とは裏腹に

ほとんど財産を残さなかった。


香織が残したものは

伝説と

ギャンブルの際に必ずはいていた

勝負パンツだけであった。


その勝負パンツは

黒でセクシーなレースのついたTバック。

はきつづけていたために、

物凄く臭うのも特徴の一つだった。


そのパンツをはいてギャンブルをすると

必ず勝てる、

そんな事実が発覚して

親戚縁者は

パンツを奪い合い、

ついには人死にもでた。


擦った揉んだの末に

香織の形見である勝負パンツを手に入れた

ある身内は、

ギャンブルには興味がなかった。

様々な人に譲ってくれと言われたが

私のもとにある唯一の形見だからと

それを断り続けた。


しかし、

パンツには厳重に封をしているのに

家中がいつも臭い。

忍び込んでパンツを

盗もうとした泥棒が

臭さにやられて

パンツを目前にして

死亡していたこともあった程だ。


ある日、あまりの臭さに耐えかねて

それを洗濯してしまう身内。

そしたら、

黒のレースのTバックか

と思われていたそのパンツは、

実は熊だか犬だかの

バックプリントのついた

白いパンツであり、

しかも、あまりにもはいたおかげで

擦り切れてTバックのように見え、

レースのようなものは

ツギハギの跡であった

ということがわかる。


勝負パンツは

洗われてしまったことで

そのご利益をなくしたが、

パンツを洗った下水が

海に注ぎ、

蒸発し、

雨となって

すべてのものに平等に降り注ぎ、

やがて世界全体に幸せをもたらした。


そして残されたパンツは

ものを大事にすることの見本だ

として評価され、

香織の生家のちかくに作られた

もったいない観音像が

これをはくこととなり

その後、長きにわたって

人々の信仰を集めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] わろた
[一言] 実にええ話だが、よい子はギャンブルはしちゃいけない(戒め) ……と思ったら、YU-GI-OHも含まれているじゃないか! ギャンブルだったのか…
2016/04/13 08:43 退会済み
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