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セイクリッド・アークス  作者: そらり@月宮悠人
Prologue
5/30

お前は誰だ?

 目が覚めると、瓦礫だらけの暗い空間が目に入る。

 なにか、夢を見ていたような……。


「つッ……!」


 頭がグワングワンする。なにがどうなった?

 酷い匂いが鼻につく。


「ンだよ、瓦礫ばっかりじゃねぇか!」


 人の声と、瓦礫を蹴飛ばす音が聞こえる。耳もやられているのか、音が遠く、ぼやけている。


「なにもありゃしねぇ……おい、どうなってやがる!」


 男が、野太い声でイライラしたように怒鳴る。


「なにかある。とは言ってないぞ」


 今度は女の声か?

 暗くてよく見えないが、近い。どういうわけか、気配が分かる。


「だったらどうして追ったんだ!?」

「言っただろう、少し気になると。だが、この有り様では……ん?」

「どうした」

「微かだが、魔力を感じる」

「へぇ……どこにいる?」

「近いな」


 女の声と、足音が近づく。救助に来たわけじゃなさそうだ。


「この辺りだ」


 ほぼ目の前で女は立ち止まった。まさか、この子のことじゃ?

 俺の上に被さるようにして動かない少女。意識は失っているが、息はある。また守ってくれたのか。命の恩人だな。


「やっちまっていいんだな?」


 男は興奮したように言う。

 青い光が辺りを照らし、バチバチという音が、崩れた地下鉄に響く。さっきの炎を見たからか、あまり驚きはなかった。


 ――魔法。


 多少強引ではあるが、不可思議な現象を一言で片付けるなら、それが一番適切だろう。

 未だに半信半疑だが、こいつらは魔法を使う。だが魔法使いなんて風貌ではない。こいつらは何者なんだ……。


「よせ。まだだ」


 女が男を制止する。


「おいおいおい、ここまで来てまだお預けだってのか!?」


 おそらく破壊する気満々だったであろう男は、再び苛立ちを募らせる。


「この魔力、波長が違う」

「どういうこった?」

「我々の世界とは違う。別の世界の波長の可能性が高い」

「なんだと? まさか、奴らが!?」

「可能性は、な。だがここを素敵な風景にしたのはおそらく追っていた奴だ。そこに巻き込まれたのか……」


 女は考えながら歩き回り、俺の足を踏みつけた。


「ん? これは……」


 踏んだまま俺の足を見て、本体である俺を見つけた。


「もしやお前、生きているのか?」

「……どいてくれ、けっこう痛い」


 女は改めて俺の足を見て「おや、これはすまない」と退いた。


「お前は誰だ?」


 と女が訊く。そりゃこっちの台詞なんだが。


「通りすがりの高校生だよ」

「コウコウセイ?」


 こいつも同じ反応かよ……。どうなってるんだ、一体。

 説明しようとした時、女の向こうにいる男から、電撃が(ほとばし)るのが見えた。


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