お前は誰だ?
目が覚めると、瓦礫だらけの暗い空間が目に入る。
なにか、夢を見ていたような……。
「つッ……!」
頭がグワングワンする。なにがどうなった?
酷い匂いが鼻につく。
「ンだよ、瓦礫ばっかりじゃねぇか!」
人の声と、瓦礫を蹴飛ばす音が聞こえる。耳もやられているのか、音が遠く、ぼやけている。
「なにもありゃしねぇ……おい、どうなってやがる!」
男が、野太い声でイライラしたように怒鳴る。
「なにかある。とは言ってないぞ」
今度は女の声か?
暗くてよく見えないが、近い。どういうわけか、気配が分かる。
「だったらどうして追ったんだ!?」
「言っただろう、少し気になると。だが、この有り様では……ん?」
「どうした」
「微かだが、魔力を感じる」
「へぇ……どこにいる?」
「近いな」
女の声と、足音が近づく。救助に来たわけじゃなさそうだ。
「この辺りだ」
ほぼ目の前で女は立ち止まった。まさか、この子のことじゃ?
俺の上に被さるようにして動かない少女。意識は失っているが、息はある。また守ってくれたのか。命の恩人だな。
「やっちまっていいんだな?」
男は興奮したように言う。
青い光が辺りを照らし、バチバチという音が、崩れた地下鉄に響く。さっきの炎を見たからか、あまり驚きはなかった。
――魔法。
多少強引ではあるが、不可思議な現象を一言で片付けるなら、それが一番適切だろう。
未だに半信半疑だが、こいつらは魔法を使う。だが魔法使いなんて風貌ではない。こいつらは何者なんだ……。
「よせ。まだだ」
女が男を制止する。
「おいおいおい、ここまで来てまだお預けだってのか!?」
おそらく破壊する気満々だったであろう男は、再び苛立ちを募らせる。
「この魔力、波長が違う」
「どういうこった?」
「我々の世界とは違う。別の世界の波長の可能性が高い」
「なんだと? まさか、奴らが!?」
「可能性は、な。だがここを素敵な風景にしたのはおそらく追っていた奴だ。そこに巻き込まれたのか……」
女は考えながら歩き回り、俺の足を踏みつけた。
「ん? これは……」
踏んだまま俺の足を見て、本体である俺を見つけた。
「もしやお前、生きているのか?」
「……どいてくれ、けっこう痛い」
女は改めて俺の足を見て「おや、これはすまない」と退いた。
「お前は誰だ?」
と女が訊く。そりゃこっちの台詞なんだが。
「通りすがりの高校生だよ」
「コウコウセイ?」
こいつも同じ反応かよ……。どうなってるんだ、一体。
説明しようとした時、女の向こうにいる男から、電撃が迸るのが見えた。




