守りの力
グレムリンに立ち向かう秀臣。
皆を守ることはできるのか――!?
「こっちだ!」
グレムリンの前に出て挑発する。サリヤに皆の避難誘導をしてもらってる間にコイツを引き付ける。出来れば倒したいところだけど、そう上手くいくかどうか……。
近くで見ると一層不気味に見える。目は虚ろで口からはよだれを垂らす。そのよだれは死体に落ちるとジュウ……と溶かす。
硫酸かなにかか……。
あんなもの喰らったら骨まで溶かされそうだ。なんとか避けるしかない。
あの声が聞こえるまで耐えれば……!
でも、あの不思議な声が聞こえる条件が分からない。グラサンはそろそろ聞こえるはずだとか言ってたけど、何か知ってるのか?
「グェ!」
と、向こうから先制攻撃を仕掛けてきた。カマキリのように腕が刃になっていて、ブンブン振り回してくる。
「これでさらにあのよだれも避けろって!?」
腕の攻撃しか考えてなかった俺は若干パニックになる。
「おっと、危ね! ひゃっ!」
まるで不気味な踊りを踊るように精一杯避け続ける。と、グレムリンの動きが止まる。
「なんだ?」
腹? の辺りがボコボコと動いている。なんだかものすごく嫌な予感しかしない。
「グェ……ゲェェェ!!」
不気味な叫び声を上げるグレムリンの腹から、なんと左右2本ずつ腕が生えた。
「何じゃそりゃァ!?」
ただでさえ避けるのに精一杯だったというのに、これじゃ切り刻まれちまう!
「ああもう! 助けてくれぇ!」
力が欲しい! サリヤを、棟梁を、皆を守れる力が!
――聞こえますか?
これは! やっと聞こえた!
――待っていてくれたのですか?
当たり前だ! 君に会いたくてしょうがなかったんだ!
――……!
……なんだ? どうした?
――ああいえ、なんでもありません、なんでも。そうそう、あなたは守れる力が欲しいんでしたね。
そうだ! ……まだ君のことは思い出せない。でも、また俺に力を貸してくれるか?
――もちろんです、カガミ。私はそのためにいるのですから。
ありがとう。自分の力を制御できるようになったら、君を迎えに行くよ!
――はい、待ってます。
最後の声、なんだかとても嬉しそうに弾んでたな。
「ギェァォァ!」
グレムリンの攻撃を、俺は正面から受け止めた。
「どうしたよ? 俺はまだ生きてるぜ?」
「ギェ……ギギィー!」
左右で六本の刃による乱撃を繰り出す。止まった獲物を切り刻むグレムリンは、最後に特大のよだれを俺に掛ける。
全ての攻撃が終わってなお、俺は一歩も動かずに無傷だった。
「ギギ……」
グレムリンは得体の知れない獲物に後退りすると、一目散に退散する。が――
「逃がすと思ったか」
俺は追撃した。コイツを放置していたら、また犠牲者が出る。それだけは阻止しなければならない。
「悪く思うなよ。エストレインジメント!」
俺がそう叫ぶと、グレムリンは歩みを止めて、体がバラバラになってドチャリと地面に落ちる。
「ほう……?」
その様子を、マスターらしき入れ墨の男が見ていた。
「貴様、何をした」
「別に。殺しただけだ」
「クッハハハ! そうかそうか! 殺しただけか。実に明快な答えだ」
この力のことを知られるわけにはいかない。グレムリンは倒した。あとはコイツをどうやって退けるか……。
「――グレムリンは倒した。後はコイツを……と、思っているんじゃないのかね?」
「なっ――!?」
「エスパーではないさ、キミの頭を覗いただけだにすぎない」
地面に、建物に、空に、無数に紫の召喚陣が出現する。
おいおいおい、待て待てこれってまさか――!
「どうかな? 俺の可愛い改造魔獣は。さぁ、最高のショーを見せてくれ!」
*続く*
実験動物のことをモルモットなんて言ったりしますが、モルモットというネズミの一種がいます。可愛いんですよね。
今回のは私が個人的にモルモットが好きなこともあって、あえて実験動物的なものではなくキメラとしました。この敵の感じ的にも、そのほうが合ってたので。
秀臣くんはしばらく孤軍奮闘しますが、久しぶりのチート能力全開です。




