Figgy & Saejima
派手に壁を壊して、その二人はやってきた。
「誰!?」
瓦礫を踏みしめる音で位置は分かる。剣に手をかけて腰を落とす。
「おいおい、そんなに警戒しなさんな」
煙の中から出てきたのは、茶コートを着た中年の短髪の男。そして、
「オヤジ、こんな仕事、さっさと片付けて飲みに行こうぜ」
もう一人はボサボサの髪を整えることもなく、面倒くさそうにボリボリと頭を掻く、ホスト風の長身の男。
「そうボヤくな」
会社帰りのサラリーマンのような二人。しかし、かなり場慣れしている。
「あなたたち、下の連中の仲間?」
警戒を解くことなく、二人を睨みつける。
「おー、嬢ちゃんがターゲットの。悪いけど一緒に来てもらえないかな」
「断る。と言ったら?」
「こっちとしちゃ、なるべく穏便に事を済ませたいんだがね」
中年の男は、懐の拳銃らしきものをちらつかせる。
飄々とした余裕のある態度、顔に多く刻まれた皺と傷……強い。間違いなく。
「こちらとしても穏便に済ませたいの。だから、手を引いてくれないかしら」
緊張が、額に滲む汗となって表れる。
「交渉決裂だな」
ホスト風の男が腰から拳銃を二丁取り出す。
「おいおい逸るなフィギー、お前さんの悪い癖だ」
中年の男は両手を上げる。
「嬢ちゃんは話の通じる相手のようだ。交渉といこうじゃないか」
「そっちのフィギーさんが、銃を下ろしてくれたらね」
やや挑発的に言うと、フィギーの目つきが変わる。
「あ?」
銃を構えるフィギーを、中年の男が制止する。
「挑発に乗るな。……嬢ちゃん、名は?」
「名を訊ねるのなら、まず自分から名乗るべきだわ」
「はっはっは! こいつは一本取られたな。俺は冴島ってんだ」
「サエジマ……わたしは――」
名を言おうとした時、下からの振動で体勢が崩れる。
「キャッ!」
よほどの激戦らしい。廃墟がさらに崩壊しそうな勢いだ。
「おいおい、俺たちまで殺す気か?」
冴島の気が逸れた。今なら!
「ッ! 逃がすかよ!」
逃げる少女に、それでも即座に反応した冴島が銃を撃つ。
「最初からこうしておけば良かったんだよ!」
フィギーは二丁の銃を水平に合わせる。すると変形合体し、アサルトライフルのような形態になる。
「逃げられやしねえよ!」
青い光が銃口の周りに現れ、回転しながら収束していく。
「フィギー! 殺すなよ!」
「分かってるって」
フィギーの銃が放つ光は、貫くというよりも、まるで削り取られたように、射線上にあったもの全てが消えていた。




