電撃と二人の男
黄色い光の球が浮かんだその場所に強烈な光が襲った。しかしそれは三人を直撃することなく、ちょうど三人の中間に落ちる。
「なんだ!?」
今のは――雷?
「魔法の雷撃だ」
先ほどアリエスが突き刺した剣が避雷針となって、雷撃はそこに落ちたらしい。俺はアリエスに咄嗟に伏せられ、雷撃を受けることはなかった。
「お前はここに残れ」
アリエスは俺ではなく、少女に言った。
「わたしは――!」
「けが人を背負ってコイツを守りきれるほど、私は自信家ではない。なにをしたか知らんが、グランもまだ動けまい」
奥を見ると、確かに大男の気配はない。
「けが人って……君、けがしてるの?」
少女を見る限り、とてもそうは思えない。
「そ、そんなことより早く逃げないと!」
誤魔化すのは苦手なんだな。
「分かっている。とにかくお前は残れ、グランの子守を頼む」
「……分かりました。この人を、お願いします」
けがで動けない悔しさからか、下唇を噛む。
「無論だ」
決まると行動は早かった。もっとも俺はアリエスの後を付いて行っただけだけど。
走る道すがら何度か雷撃はあったが、どうやら若干のラグがあるらしく、光の球を警戒すれば大した脅威ではなかった。
「なんで俺たちを狙うんだ?」
「さあな、思い当たる節が多すぎて分からん」
しれっと言うアリエスが怖くもあり頼もしくもあった。
「そういえば、まだ名を聞いてなかったな」
一階まで下りて、周りの様子を窺いながらアリエスが尋ねる。
「俺は火神秀臣。高校生っていうのは、学生のことだ」
「カガミか。私はアリエス。あの大男はグランだ」
名前といえば、あの少女の名前はなんていうんだろう……。
「とにかく、相手を見つけないことにはどうにもならんな」
近くを見て回るアリエスの背後に、光は現れた。
「アリエス! 後ろ!」
秀臣に言われて、後ろを振り向く。
「くッ!」
一歩下がると、アリエスのいた所に雷撃が落ちる。
「この魔法……もしや」
* * *
少し離れたところ、ビルの屋上に二つの人影があった。
「そろそろ当てていいよな?」
赤い髪を上に纏め、ゴーグルを額に掛けた細身の男が苛立つように言う。
「まだだ。まだ連絡が来ていない」
「ったく、んなもん待ってたら日が暮れちまう」
「もう暮れている」
黒いサングラスにスキンヘッドの体格の良い男が無感情に突っ込む。
二人は黒いスーツを着ているせいか、夜闇に溶け込んでいるようだった。目立つ赤い髪を除いては。
ピリリ……と携帯端末に着信が入る。
「もしもし。はい……はい……了解しました」
通話を切ると、スキンヘッドの男は、金属の鱗のようなもので覆われた手袋をはめた。
「準備はいいか?」
「もちろん。やっちまっていいんだな?」
赤髪の男はいよいよと気分を高ぶらせる。
「ああ。潰せ」




