神様。人間を召喚し始める。
ジャニー・立早は神様である。
革色のフードを用意し、自分の両腕に刺青をつけて自分の体でも遊び、外見もここに辿り着いた頃よりスマートに変わっていた。ここから始まる神様のような表情をしている初々しさ。
この世界はいくつも、変わっていった。地形と気候の変動はいつものように起こったものだ。近代都市にもなったり、誰も住めないような荒野に変わったりと、立早は可能な限り世界を実験台にして自分に備わっている力を確認する。
「これらは完璧か……………」
自分にも得手不手がある。
世界を変えることはできても、
「キャラクターがいないな」
完全なオリジナルの生命体を作り出す事はできなかった。キャラクターと呼ぶには少々間違い。
立早が求めているのはその世界に在り来たりに存在する人間だった。世界に適応できる者を創造することは難しい。良くて20パターンの会話パターンを持つキャラクターを用意するのがやっと。
所詮は人形。
神様からしたら人間というのは少し複雑な人形。立早はそれを実感した。と同時にその理解に達するとは自分もまたやはり神様であると納得した。
「……………納得がいかない」
神様にも色々といるだろうに、立早は神様とは完全無欠であるという単純な思想を持っていた。人間に近いキャラクターという考えではなく、立早が考えるキャラクターこそが人間でなければいけない。そこに不満を抱いていた。
完全無欠をイメージするわりには手段を多く探るタイプ。過程や手段など、どーでもいい。ともかくキャラクターに近い人間が必要だと考えて手段を選ぶ。
「何か良い方法はないのか?」
立早はこの世界の万能感をさらに探ろうと自分の力を試すことにした。
このような世界があるというなら、別の世界が存在してもいいはずだ。事実、立早は知らなくても実在する。
立早の念が生み出した方法は非常に単純で、迷惑で、残忍な手段。
「!簡単だ。別の世界から人間を引き込めばいい」
アイデアは浮かんだ。と同時に自分にできるかどうか体に訴える。戦士や魔術師をやっている人間など選ぶことはしなかった。まずは人間を呼び込むことから始めた。理想に辿り着くために始めの1をちゃんとこなす。
「むむむっ」
世界を動かすのとは違った力であり、普段使っていない筋肉をハードに動かすような痛みに襲われる。
自分の世界と別世界を一時的干渉できるようにプログラムを組み込む。自分の力が別世界に流れると上手く操作できず、持久力も低く、すぐに任務を実行しなければ無駄な力の消失であった。
人間選びも無作為。子供から大人、クソ爺、別の生き物などカンケーなく、別世界から自分の世界に引き込んだ。UFOキャッチャーのような魔の手に掴まれた者達は立早の世界に引きずり込まれた。
「な、なんだ!?」
「妙な右手に引き込まれたら、妙なところに」
立早に召喚された者達は当然戸惑った。右を見ても左を見ても、自分がいたところとは全然違う異世界。また、一緒に召喚された者達ともここで初めて出会った。
しかし、立早にとっては召喚できたという真実が重要であって、どんな奴がやってきたかは興味がなかった。
それができると認識した途端、新規ファイルを作り出すように世界全体に雷を撃ち落した。人間を召喚するよりも、この世界を動かす事がどれだけ楽か分かるくらい、爽快に落とす。
人々は雷から逃れようとしても、自然から逃げる事など不能。
「あははははははははは、俺は神だ!!一回でコツを掴んだ!2回目でより多く、3回目でどんな奴でもこの世界に呼べるぞ!」
立早の心に自分だけの世界を構築するという野心が生まれた。それが神様の務めかどうかは分からない。
しかし、別世界から強制的に自分の異世界にひきずりこめる能力と、自分の世界ならば万能かつ完全と言える能力を兼ね備える立早は、多く存在する人間達にとっては限りない悪であった。
自分の中で生まれる欲望のため、カンケーのない他者を大勢巻き込む。
立早が求めている世界にカンケーのない者はいらない。ただそれだけ……。