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ほっこりスローライフ  作者: 蒼鈴六花
1章 スローライフを始めるまで
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第5話 畑を作ろう!

野菜作りはじめました。



 服作りから少し経って。


 あれから鍛冶を教わってみたり、ガラスのコップ作ってみたり、陶芸をやってみたりと妖精や魔物に色々教わった。

 まだどれもやってみたばかりなのだが、どれも面白いものばかりだ。


 それと自分自身で研究している事がある。


 ……料理だ。


 異世界の食材は色々と変わったものもあるから、やりがいはあるのだが……足りないものがある。


 それは……!


「野菜がない!」


「やさいってなにー?」


「野菜ってのは……野草に近いものだな。野草でも野菜と呼べるものはあるけど、俺の言っている野菜は、栽培して品種改良……自分で育てて美味しくしたものの事だ」


「野草を育てるの!?おいしくなるの?」


「育て方と交配次第では美味しくなっていくだろうな。これは果物でもだ」


「どーやるの?」


「野菜を育てるって言ったら畑を作らないとな」


「畑?」


「簡単に言えば野菜を育てるために耕した場所かな。とにかく野菜を作るための場所だ」


「それ作る!皆も呼んでやろー!」


 そんな適当な会話から畑作りは始まった。




 住家に住む妖精全員が集まった。


 基本的に妖精は1日を好きな事をして過ごす。

 大抵は物を作っていたり遊んだりだ。


 物作りは仕事ではなく楽しい事らしい。

 遊ぶ時は、森の中でおとなしい魔物達と遊びながら、食料集めたりしてる。


 好きな事やって生活しているってのがすごい。

 まぁ、さすがに狩りは楽しい事ではないらしいが、釣りは楽しいそうだ。


 と言う訳で、基本的に妖精は楽しい事があれば皆集まってくるのだ。


 曖昧と言うか、素人知識でどこまで出来るか知らないが、とりあえずやってみる事が大事だよな。


 そして俺は妖精達の前で畑について説明を始めた。


 まず、畑を作る前に育てる野草を取ってこなければならない。出来れば種が良いが贅沢は言ってられない。

 育てるものが無ければ畑を作っても意味ない。


 とりあえず二班に分ける。

 畑を耕して作る係と、育てる野草を探す係だ。


 俺は野草の知識が無いので畑製作班。妖精が呼んだ助っ人はモグラ型の魔物、タルモ。体、前足と爪が以上に大きく、後ろ足は短い。尻尾が掘った土を掃くほうきのようになっている。


 そして野草捜索班の魔物助っ人は草食の魔物達。野草に関してこれほど頼もしい助っ人はいない。つまみ食いはあるだろうが賢い奴らなので大丈夫だろう。


「それじゃ、昼に一旦集合だ。今日の昼飯は野草探しする奴らが集めたもので適当に料理する。なるべくつまみ食いは控えるように。それと昼飯の材料ばっか集めんなよ!今回の目的は野菜の元となる野草集めだからな!」


 おおー!気合の入った声が聞こえる。


「ちゃんと取ってこられたらデザートつけるからな」


 おおー!!!とすさまじい気合の入った声が聞こえる。


「それじゃあ開始!!」


 妖精と魔物達が一斉に走り出す。

 どんだけデザート食べたいんだって、俺が原因だった。


 まぁ、蜂蜜がある事を知った時、木の実とかにかけて食べさせたら、めちゃくちゃ評判良くて驚いた。

 妖精達にとって蜂蜜はそのまま食べるものだったらしい。


 料理と言うものを知らなかったからおやつなどというものも当然知らなくて、簡単な果物のデザートを作って食べさせたら妖精達は美味しさから泣き始めたり、固まったり、気絶したりなどで大変だった。


 まぁ、何年かかるか分からないが畑で栽培した野菜でおやつのバリエーションも増やせればなぁ……


 そのためにも畑を作りますか。




 畑を作る場所に移動すると、妖精達は早くも作業を始めていた。


 ちなみに場所だが、俺の家の隣。果樹側の方だ。

 果樹は主に妖精の住家の近くに多く生えており、俺の家の近くは少ないというより殆ど無い。



 まずは畑の大きさを決めて線を引く。まっすぐに引くために糸を使った。

 そして線で囲った中を耕していく。


 耕す作業は、タルモ達の手を借りた。

 タルモは地面を掘る達人で、普段は鉱石掘りを手伝っている。

 岩すら砕く爪を持っているわりには、とても臆病ですぐに逃げ出すが……


「頼んだぞ。後でおいしいもの作ってやるからな」


「モ!」


 元気よく返事をするタルモ。

 初対面だと怖がって逃げるらしいのだが、なぜか最初から懐かれている。

 撫でてやると気持ち良さそうにする。


 タルモ達は気合が入ったのか、凄いスピードで土を耕し始めた。

 俺はその間にデザートの準備をしにいき、他の妖精は鍬作り。


 準備が終わって様子を見に行くと綺麗に耕されていた。

 凄く丁寧な仕事だ。きっちり線の中だけ耕されているよ。


 すると妖精達が鍬を持って走ってくる、妖精達も仕事が早くて丁寧だ。


 さて、始めますか。




 とりあえず、畑を整える作業は俺には無理な事がわかった。

 いや、別に壊滅的に下手じゃないのだが。


 畑に入った途端沈んだ。10cmくらい。

 どんだけふかふかにしたんだよ!タルモ仕事しすぎだ!まあ、悪いわけじゃないが……


 妖精達は軽いからそうならなかった。


 俺は整える作業を妖精に任せて腐葉土作りをする事にした。

 タルモに穴を掘ってもらっている間に、落ち葉を2人の妖精と集めてくる。


 俺がほうきで掃く中、妖精達は風の魔法で器用に落ち葉を集める。

 その様子を見て思った事を呟く。


「魔物達も魔法を使っているけど、俺は使えないのだろうか?」


「できるよー」


「できるのか?」


 ちょっと驚いた。


「てっしょーは魔力持ってるもん」


「魔力なんて持っていたのか俺は」


 いつの間にそんなファンタジーな力手に入れていたんだ。


「で、魔法ってどう使うんだ?」


「自然とおんなじになってお願いすればいいの」


 ……謎の暗号のようなものが出てきたな。

 妖精には良くある事だが、こいつら全員そろって説明が下手だ。


 今回、この妖精はおそらくこう言いたいのだろう。

 自然と同調をして願う、と言った感じか。


「魔法使っている時はどんな感じなんだ?」


「ふわーって風が吹く感じがするのー」


「自分が自然になるのー」


 とりあえずやってみよう。

 まずは落ち葉を飛ばさないように風を起こすとか。


 まずは同調。何も考えないで同調する事だけ思う。


「……」


 それから願うだったな。

 小さなそよ風が吹きますように。


 そう願った時、ふわっと風が吹いた。


「てっしょーが魔法使った!」


「すごいすごい!」


 妖精達が飛び跳ねている。


 成功したらしい。

 まぁ、妖精達みたいに使える様になるまではしばらくかかりそうだけど、魔法は無くても別に困らないしゆっくり覚えていけば良いか。


 さて、落ち葉も結構集まってきたし戻るかな。




 戻ると丁度畑を整える作業と腐葉土用の穴も出来上がっていた。


 そこに落ち葉を入れて皆で踏んで大きめの石を乗っける。

 後は落ち葉が風で吹き飛ばないように布を被せて四隅に石を置く。


 うーん。まあ、多分これで大丈夫だと思う。


 腹が空いてきたしそろそろ昼だろうから、デザートを作り、一旦住家の方に妖精達と向かう。


 住家にはすでに野草捜索班の妖精と魔物が帰ってきていた。


「たくさん取ってきた!おやつおやつ!」


「はいはい。おやつは作ってあるから昼飯の後に食べような」


「わーい!!」


 妖精達は大喜びではしゃぎ始める。

 その間に俺は野草の入っている籠の中身を確認する。


 ニンジンのような根菜系からトマトみたいな果菜系など色々入っている。

 小瓶の中には種も入っており、後でどんな植物の種か聞かないといけない。


 3個目の籠の中は魔物の肉とかキノコが入っている。

 昼飯の食材のようだ。


「じゃ、昼飯大急ぎで作ってくるからおとなしく待ってろよ」


「はーい!」


 元気よく返事をする妖精達を見てから、急いで家に向かって料理をし始めた。


 それから作った料理を食べ終えると、妖精からおやつをせがまれた。


 今日のおやつはフルーツプリンと蜂蜜べっこう飴だ。


 バニラエッセンスの代わりとなる野草、バーニスの汁と木、シュガルからでる砂糖の代わりになる変わったシロップと、最初に羊達といたヤギのような生物カプトルのミルクと、白、黄緑、黄色の羽毛を持つ鳥ピュトの卵で作ったプリンに、採れたてのフルーツを乗せた物。


 蜂蜜べっこう飴は、砂糖代わりのシュガルシロップとオーピスと言う蜂型魔物の蜂蜜を使って作った。


「てっしょーこれなにー?」


「プリンって言ってな、甘くて美味しいお菓子だ」


「これは?とってもかたいよ」


「それは飴。噛むんじゃなくて口の中で舐めるんだ。美味しくないか?」


「とってもおいしいの!」


「そりゃよかった」


 妖精達は夢中でお菓子を食べる。

 べっこう飴は味見で少し食べたので、全部妖精にあげた。


 おやつは別腹のようだが、体と同じくらいの量を食べている気がする。

 妖精は体が小さいからあまり食べる感じがしないが、結構大食いだと思う。




 昼飯とおやつも食べ終わり、畑に種やらを植える作業を始める。

 最後に水をやり終わり、ふと思った。


「ここには肥料なんてないから腐葉土を作っているけど、ここの土は栄養があるんだろうか?」


「ひりょー?えいよー?」


「土が豊かかどうか分からないから悩んでいるんだ」


「それなら土の精霊にいてもらえばいいのー」


「精霊にいてもらうとどうなるんだ?」


「土地が豊かになったり、火が燃え続けたりするの」


「そういえば鍛冶場の火の中に精霊がいたな」


「うん、あそこはね精霊が気にいってる場所でずっといるのー」


「この畑は精霊が気に入ると思うか?」


「すてきな所だから気にいるの!ほら、もう集まってきてる!」


 茶色い光の球がふよふよと畑の上を嬉しそうに飛んでいる。

 とってもいいとこーなどと言ってる。


 気にいってもらえてよかった。


「これなら元気な野菜が育つの。土の精霊の気にいった場所はすごい植物が育つんだよ」


「俺は、森の中にあんまり入った事がないから、そう言った植物は見てないな」


「今度連れてってあげる!」


「それならよろしく頼む」


「頼まれたー!」


 そうして畑作りは終わった。


 その日は、俺の家に集まった妖精や魔物達にご馳走を振舞った。


 妖精や魔物が気合いれて食材を集めてきてくれたもんだから、嬉しくってつい豪勢なものを作ってしまった。


 あんまり豪勢なもの作って毎日せがまれるのも嫌なんだが、ま、皆喜んでくれたし楽しかったから良いか。







てっしょーは異世界の食材を色々試行錯誤してデザートを作っているようです。


妖精さんがおやつ~♪おやつ~♪と歌って喜んでるのを見てると頑張ろうって思うようですよ。


では、誤字脱字、感想アドバイス等お待ちしております。


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