第4話 服を作ろう!
ほっこりしてもらえると嬉しいです。
不思議なものやほのぼの成分も少しづつ増やしたいです。
現在少し困っている事がある。
服だ。
妖精達は何着か同じ服を持っているが、俺は無い。
1着だけだ。
今まで水浴びの前に洗って水浴び中に乾かしていたが、早いとこ服を作らないと困る。
と言う訳で、丁度糸や布作らない?と誘われていたので服を作ろうと思う。
糸や布、服を作るのが得意な妖精達に頼んで服作りを開始することにした。
まず、妖精達は糸や布を何から作っているのかだ。
一つは、草原にいた羊、シーホルの毛。
もう一つは森に生えている綿花みたいな草、ひつじわた草。別名ワタタ草。
この二つから糸を紡いだり、布を作ったりしているようだ。
妖精達と二つのグループに分かれてまずは材料調達する事になった。
一つはシーホルの毛を刈る班。もう一つはひつじわた草の採取。
俺はやたら大きな袋を何個か持たされ、シーホルの方に行く事になった。
草原
すぐにシーホルを発見。
呼んでみるとすぐにこちらにやってきた。
「元気にしてたか?」
「メェー」
鳴きながら嬉しそうに擦り寄ってくる。
和みながら頭を撫でた。
シーホルは相手を和ませる魔法でも使ってるんだろうか?
これからシーホルの毛を刈らなきゃいけないんだが、妙な罪悪感が……
そう思っていると妖精から説明があった。
「大人のシーホルはね風魔法で伸びすぎた自分の毛を刈るの。でも子供は出来ないからはさみで少し切ってあげるの」
「シーホルの毛は常に伸び続けるんだよー」
なるほど。
他にも、シーホルの風魔法は自分の体に纏わりつかせるように発動するらしく、纏わりつかせた風で毛を適度な長さで切るのだとか。
子供はまだ魔法がうまく使えないから出来ないし、皮膚が弱いから魔法を発動して失敗すると危険なんだそうだ。
「でも、今、シーホルの毛って伸びすぎてる状態なのか?」
「うん。結構伸びてるよー」
「ほら、足の先少ししか出てないでしょ?」
「ほんとだ」
ほとんど毛にまみれて足先がちょんと出てる。
よく歩けるな。
「シーホルー毛をちょーだい!」
妖精がそんな風にお願いしている。
シーホルも一声鳴いて答える。
「てっしょー少し離れてー」
「あ、ああ」
俺と妖精はシーホルから離れる。
他のシーホル達もお互いに少しづつ距離をとる。子供達は俺達の所に避難した。
シーホルがメェーと一斉に鳴き、ぶわっと風が吹く。
一瞬風が強くて目を開けてられなかった。
すぐに目を開けると……
「すげー……」
草原が白くなっていた。
まるで雲が敷き詰められているみたいだ。
「すごいでしょー。ふかふかなんだよー」
「ああ、これはすごい」
「風に飛ばされないうちに集めるのー」
この量ならさっき渡された袋の大きさと数も納得だ。
妖精達にそれぞれ袋を渡してすぐさま毛の回収をする。
あーこのままもこもこの毛の中に飛び込みたい。(妖精の中には飛び込んでる奴もいる)
そんな衝動に駆られながらも袋に毛を詰めていく。
全部詰め終わると袋がすごい事になっていた。
まるでサンタみたいだ……
「いっぱい採れたのー!」
「これで服が作れるね!」
「でも糸や布から作るんだろ?早く帰って作業を始めないとな」
俺達はシーホルにお礼を言って妖精の住家に戻った。
妖精の住家。
「まずは毛を洗うのー」
そういって妖精達は巨大なたらいを持ってくる。
妖精何人入れるんだよこれ、ってくらい大きい。俺が混じっても余裕のある大きさ。
どうやって作ったのかかなり不思議だ。
毛と石鹸のようなものを放りこんで水を入れて靴を脱いだ妖精達が飛び込む。
いつの間にか妖精が全員集まって、たらいの中に入ってた。
ひつじわた草を採取しに行っていたやつらも、ひつじわた草でてんこ盛りになった籠を置いてこっちに来ている。
「てっしょーもやろー!楽しいよー!」
俺も参加する事になった。
妖精達は歌ったり踊ったりしながら毛を踏む。俺は普通に踏む。
先ほど入れた石鹸のようなもののせいか泡が出始め、妖精達はかなり楽しそうだ。
というか俺はズボンを折って濡れないようにしているけど、妖精達は足首の辺りまである服だ。もうびしょびしょである。
でも本人達は楽しそうだし着替えはあるからいいのだろう。
毛を洗い終えた後は、風の魔法で毛を乾かし次の作業へ。
「どんな色の服を作りたいの?」
服の色か……そもそも俺の作りたい服が……
「なぁ、その前にどんな服作るかなんだが……」
俺は服の説明を始めた。
「変わった服だねー」
「俺の故郷の伝統的な服だ」
「でも少し時間かかるかもー」
「だから今回はこんな感じの簡単な奴で……」
と説明を終え、色を決める段階に。
「で、色なんだが、紺色で頼む」
「わかったー!」
ひつじわた草をとってきた妖精が籠の中から草を取り出して容器に精霊に出してもらった熱湯と一緒に草を放り込んでかき混ぜると、草から紺色の汁が見事に表れた。
イロイロ草って名前の草らしい。名前の通り色々な色の草で染物に使うそうだ。
草を取り除いた後に毛を入れてかき混ぜる。
それから水ですすいで毛を乾かすと毛が綺麗な紺色になっていた。
「次はこれを梳くのー」
毛を梳くための道具で妖精達が梳いていく。
俺に合うサイズの道具がなかったから妖精達の行動を見る事にした。
梳く作業が終わると妖精が木の棒を持ってきた。
「今度は糸を紡ぐのー」
妖精がその棒を指揮棒のように振ると毛がするすると糸になっていき、棒に巻きついていく。
精霊が面白がって作ったものらしく、楽しいし便利なので妖精の間で人気のアイテムだ。
ちなみに名前はラムドル。
あっという間に糸が完成。
さすが異世界……
鍛冶とか火を使う仕事は普通にやっている感じだったけど、糸作りでこんなにファンタジーな道具を使うとは……
「今度は布にするのー」
俺が考えてる間にもどんどん妖精達は作業を続ける。
「これはちょっとコツがいるんだよー」
先ほどのラムドルを今度は小さく振り始めた。
糸はするすると複雑に動いていく。
「よく見ててねー」
妖精がラムドルを動かすとそれにあわせて糸も動き始める。
どんどん糸が布に変わっていく。
不思議な光景だ。
空中に糸が浮きながら動いてどんどん布になっていくのだから。
糸は日の光を受けて少しきらきらしていてとても綺麗だった。
「できたー!」
妖精の声と同時に布が出来上がった。
「後はこれで服を作るだけだね!」
裁縫はできるから服の作り方を教えてもらいながらできるかな?と思ったけど裁縫道具は妖精サイズのしかなかった。
とりあえず俺にできる事は妖精達においしい料理を作る事ぐらいだ。
それから少しして……
家で妖精達に振舞う料理を作っていると妖精達が来た。
「できたよてっしょー!」
「着てみてー」
そう言ってたたまれた服を渡される。
とりあえず作業は中断できるので服を受け取ってから部屋に移動して着替える。
すごい肌触りの良さ。今までこんな服着たことないぞ……
うん、サイズもばっちりってあれ?そういえばサイズ測ったっけ?
……サイズ測ってなかったよな?なぜ俺のサイズがわかったんだ?妖精達。
とりあえず疑問を残しながらも服を着て妖精達の所に行く。
「おおー、似合ってるー!」
「不思議な服だけど良いね!」
ぱっと見は甚平みたいな服だけど、上着を腰紐で留めてる所が甚平と違う。
甚平は腰の辺りに付いてる紐が何か取れやすそうだし作るのが面倒そうだったんで、腰の所を余った布で作った紐で留める事にした。
「ありがとな。こんなすごいもん作ってくれて」
「てっしょーに喜んでもらえて嬉しいのー。楽しかったしまたやろうね!」
「ああ、今度は俺も作れるといいんだがな」
「てっしょーの道具作っておくね!」
「楽しみにしてるよ。それともうそろそろ料理が出来るから皆を呼んできてくれ」
「わかったー」
皆でにぎやかに晩飯を食べて雑魚寝というもはや恒例となった事をして寝た。
そうして一日は終わった。
ちなみに他の大量にあったシーホルの毛とひつじわた草は、紺色の服を作ってる間に、他の妖精達の手によって、布団やら教えた着物、普段着などになっていた。
今まで布団はなく、妖精達からでかい毛布を借りていたのだが、これでようやく普通に寝れる。
ちなみにベットではなく、敷布団だ。
そっちの方が寝やすいのだ。
まぁ、今回は雑魚寝用布団で寝たが……
あまりの寝心地の良さにすぐに寝てしまった。
これで衣食住は一応確保できたのかな?
生活が落ち着くまでまだまだかかりますが、ゆっくりいきます。
では、誤字脱字、感想アドバイス等お待ちしております。