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ほっこりスローライフ  作者: 蒼鈴六花
2章 訪問者と広がる世界
38/39

第31話 ぼたん鍋祭り!

気が付いたら1年近く投稿していない状態……

すみません。

そして久しぶりなせいか少し違う文章?

ほっこり分は少なめかな?


では、最新話どうぞ。

あ、魔物とかの図鑑でましたのでよかったらそちらもどうぞ。


ラスチェストから戻って数日。


買ってきた食材や調味料を一通り試した。

何度か姉御に叩かれて無理やり寝かされたような気もするが、今はやりきった達成感で一杯だ。


「てっしょーうれしそー」


「一緒にころがるー」


「ねるねるー!」


「ごろごろー!」


ひなたぼっこしながら縁側で寝転がっていたためか、遊びに来た妖精達が真似をして俺の周りに転がり始めた。

最近は料理を試す事に夢中で相手してやれなかったな……

今度おもいっきり遊んでやるとして、今日は一緒に昼寝でもしよう……


「というわけで、寝る……」


「おやすみー!」


ああ、日差しが暖かい……

やっぱり縁側のひなたぼっこは最高だな……




◆ ◇ ◆


てっしょーが妖精達とお昼寝を始めた頃……森の中では爆音が響いていた。


「ひゃあああああ!? どうして荷物を届けに来ただけなのにこんな事になってるですかー!?」


少し大きめのカバンを抱えたクルフェーアの女の子が涙目で飛んでいる。

そしてそのすぐ後ろには巨大な猪が鼻息を荒くしながら土煙を上げて女の子を追いかけていた。


「助けてー! 誰でもいいからー! 助けてくださいですよーーーー!!」


小さな体のどこからそんな大声が出るのかと言わんばかりの声が森に響き渡る。

すると、飛んでいる女の子の前方の草が揺れた。


「は、挟み撃ちですか!? 卑怯ですよーーー!? へびゅ!?」


葉の擦れる音とともに黒い影が飛び出して高速で女の子に迫るが、女の子はそれを横に飛び出すように回避する。

しかし、咄嗟に回避したため回避先を把握できずに、女の子は奇妙な声を上げて木にぶつかった。


そして、それと同時に影の向かった方向で、何か重たい音と猪の悲鳴が森にこだまする。


「いたたたた……いったい、なにが……」


女の子は赤くした鼻をさすりながら音と悲鳴が聞こえた方を向く。


「……」


だが……音のした方を見た女の子は固まった。


数分後、女の子はおもいっきり息を吸い込む。


「本当に、いったい何が起きたんですかーーーーー!!?」


何度目か分からない悲鳴が森にこだました。




◆ ◇ ◆


夕方。てっしょーの家にて。


 ◆ ◇ ◆


「てっしょーちゃん」


なんだか頭が柔らかい物の上に乗っている。

最近枕を変えた覚えはないんだが……


「てっしょーちゃーん」


何か耳元で声が聞こえるような気がする。

少し息が当たってくすぐったい。


「ふふふっ……もう、てっちゃんったらお寝坊さんねぇ……」


今度は頭を撫でられているような……

いや、まて……さすがになんか変だ……

というかさっきからなにか変だ……

嫌な予感が……急いで起きねばならないような危機感が……


「早く起きないと……お姉さんがいたずらしますよ?」


「起きます! 今すぐ起きます!!」


殆ど反射敵に勢いよく起き上がる。


「あらあら、残念ねぇ……もう少しでいたずらできたのに……」


「なんでここに居るんですか? いったいここで何をしていたんですか? 何をするつもりだったんですか! アウラさん!?」


先程まで俺の頭があった位置で座っている鮮やかな水色の女性神族、アウラさん。

最近知り合ったばかりのアウラさんがなんで俺の家にいるんだ!?


「てっしょーちゃんに頼まれていた調べ物が終わったのよ。だからその結果を伝えに、それとさっきまではてっしょーちゃんに膝枕していたわ。後は……聞きたい?」


「遠慮します」


「あらあら、残念ねぇ」


あまり残念じゃなさそうな笑顔だ。

この人、見た目は綺麗だけど色々と危険な感じがする人だな……


「そんな事ないわよー?」


「!?」


……何も考えないようにした方がいいのかもな。

話題を変えないとやばい事になりそうだ。


「えーと……結果を教えてくれますか? アウラさん」


「ええ、と言いたい所だけれど……もうちょっと待ってね。てっしょーちゃんから預かった物とお土産をイシュナが運んでいるの。もうそろそろ来ると思うのだけど……」


ラスチェストの方角を向いたアウラさん。

なんか赤い点のようなものがこちらに近づいてきてるな。


「アーウーラーーーー!!」


「そんな大声を出さなくとも聞こえているわよー?」


巨大な荷物を抱えているが、中身は大丈夫なんだろうか?

もしダメになってたら、後でしばく。

とにかく、荷物の確認はアウラさんに任せて料理の用意かな……ってあれ?


「アウラさん。ここで寝てた妖精達を知りませんか?」


「妖精ちゃん達なら森で獲れた大物を運ぶために行ってしまったわよ」


「大物?」


「大きな猪が獲れたみたいね。お夕飯、楽しみにしているわ。てっしょーちゃん」


猪か……臭味が強くて独特な味だがどうしたもんか……


「てっしょーさーん!」


夕飯のメニューを悩んでいると森から聞き覚えのある声がした。

見るとポニーテールっぽい髪型のクルフェーアの女の子だ。


「ルルフィ? なんでここに?」


「お届け物なのですよ。まったく、酷い目に会いましたー」


初めてアメルハーナの町に行った時に案内してくれた子。

いつも元気が取り柄だと言わんばかりに元気なのに、今日は疲れているようでぐったりしている。


ルルフィは、小さな体にしては大きなカバンから、見覚えのある物を取り出して俺に渡した。


「はい。アメルハーナの漁師さん達からのお届け物ですよ。でも……これって何なんですか?」


「これは……昆布とかつおぶしっ! 完成したのか!!」


「コンブ? かつおぶし?」


正確には昆布に似たケプルガという海草と味がカツオに似たアボニーという魚をかつおぶしのようにした物だが……今はそれどころじゃねぇ!!


「猪、昆布、かつおぶし……そして野菜とくればやる事は決まっている!!」


「ど、どうしたんですか? ……っは!? ま、まさかこれが噂に聞く暴走モード!?」


何かルルフィが言っている気がするが気にしない。

急いで台所へ行って準備だ!!


「ぼたん鍋祭りじゃあああああああ!!」


いざ! 異世界版ぼたん鍋を作りに!!




◆ ◇ ◆


夜。妖精の村には種族を問わず様々な者達で溢れていた。

広場には巨大な鍋があり、その中には猪の肉や野菜が入っている。


「さあ! てめえら存分に食いやがれええええええ!!」


「「「「おおおおおおおおおおおお!!!!」」」」


現在進行形で肉を捌いて追加しているてっしょーは祭り開始の合図をだす。

鍋の周りに集う者達は開始の合図とともに雄叫びを上げて鍋に群がった。

しかし、一部の者は鍋から少し離れた所でそれを眺めているようだ。


「まるで戦場です……でも、私もぼたん鍋って言うの食べたいのです」


「大丈夫よルルフィちゃん。今、イシュナに貴女の分のお椀も持たせて取りに行かせているからもう少し待っていてね」


「イシュナー! 頑張るですよー!!」


観戦している人から鍋に群がる内の一人である赤髪へと声援が送られる。


「お前らの分なんて取ってくるかあああああ!!」


「イシュナ? 後でお話が……」


「どれくらい取ってくればいいんだちくしょおおおおおお!! どげふぁ!?」


「ああー!? イシュナが姉御さんに吹っ飛ばされたました!?」


「お話確定ね?」


「アウラー! ルルフィー! もらってきたのー!」


「おお! すごいです妖精さん達! あの激戦を勝ち抜いたですか!? でも、私達がもらってもいいのですか?」


「てっしょーがよそってくれるから大丈夫!」


「そう、てっしょーちゃんには後でお礼を言っておきましょう。でも、それとは別に持って来てくれてありがとう、妖精ちゃん達」


「どういたしましてー!」


時間が経つにつれて混沌と化していく村。

いつも通りといえばいつも通りに祭は夜通し行われた。


悲鳴や奇声が混ざる事はあれど、楽しさに満ちた声を響かせながら――




◆ ◇ ◆


少し時は遡って祭りの最中にて……


一段落ついて休憩していたてっしょーの元に黒い影が近づく。


「ん? なんだ姉御か。どうしたんだ? まだ鍋の具は沢山あるぞ?」


黒い影、姉御は猪の肉が沢山入った大きめのお椀をてっしょーに渡す。


「猪の肉ばっかりだな……けど、持ってきてくれありがとな、姉御」


フスッと鼻を鳴らした姉御は、てっしょーの隣に座って自分の分を食べ始めた。


「そういえば猪を仕留めたのは姉御だっけ? それも、ありがとな」


姉御は少しだけ手を止めて片耳を僅かに動かした。

それを見たてっしょーは少し笑う。


「姉御にもらってばっかりだし、今度は俺がなんか狩って姉御に持っていくよ。ついでに姉御の作って欲しい料理と一緒に。だから何時でも良いからリクエストを聞かせてくれ」


てっしょーがそう言うと姉御は唐突にお椀を持ちながら立った。


「どうした? 姉御?」


姉御の唐突な行動を不思議に思いながら姉御を見ていると姉御はてっしょーの背中の方に回り、てっしょーの背中にもたれるように座って食べるのを再開した。

てっしょーは姉御の行動が良く分からず自分もさめないうちに料理を食べ始めた。






その後……


たまたまてっしょーの後ろに座ってぼたん鍋を食べていた姉御を目撃した魔物の証言では、あの時の姉御はこころなしか嬉しそうで何時もより少し食べるペースが速かったらしい。


姉御はぼたん鍋が好きなのだろうか? と言う噂が森には流れたそうだ。


実際の真相を知る者は、いない……







オマケと言う名の質問コーナー?

Q:猪に追いかけられていたルルフィが何を見て驚いたのか?

A:クレーターの中で倒れている猪を踏みつけて鎚を肩に担ぐ姉御。


Q:やってきたイシュナは何故、アウラに叫んでいたのか?

A:唐突に呼び出しくらって荷物持ちにされたから。

ちなみにその荷物の量はてっしょーが運んだ野菜+お土産という名の巨大鍋。その他もろもろ。


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