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ほっこりスローライフ  作者: 蒼鈴六花
2章 訪問者と広がる世界
30/39

第25話 海に行こう! 後編

大分投稿が遅れてしまいました……

いまだスランプを抜けきれないです……


※文を忘れた影響で若干今までと変わってるという場面が多いかもです。

なんか書いてたら後編にした意味あったのかな……って思い始めたり……

「なんじゃこりゃ」


 海水浴場に行くと、そこには巨大なくらげが5匹いた。


「くらげー!」


「こら!危ないかも知れないから寄っちゃだめ!」


 妖精達が飛び込もうとするのをとりあえず防ぎながら、近くにいた人にくらげについて聞いてみる。


「あのくらげ、いったい何なんですか?」


「あー、あれね。町長達がイベントのために呼んだメドリージュって言う魔物だよ」


「イベント?」


 くらげを呼ぶイベントってなんだろう?


「これから説明するみたいだよ。ほら、あそこに司会者の人がマイク持ってるでしょ?」


 指差した先には物見櫓のようなものが設置されており、その上に前自身を紹介したイベントの際に司会者をやっていた女性がいた。


『はいはーい!皆さん注目ー!アメルハーナでお馴染みのイベント司会者フリメラですよー!』


 前回は名前を聞かなかったがそんな名前だったのかと思う。

 ちなみに種族はエルジアリー。でも中身はクルフェーアっぽい。


『今回、メドリージュさん達に来てもらったのは町長主催のイベントのためです! そしてそのイベントは~最後に残るのは誰か! くらげ落とし大会!~です!』


 良く分からない名前の大会だが、一体どんな大会なのか?


『名前だけじゃどんなイベントか分かりませんよね! では説明タイム開始!』


 ~くらげ落とし、ルール~


 勝利条件:メドリージュ(くらげ)の上に最後まで乗る事。

 敗北条件:メドリージュから落ちる事。

 魔法禁止。

 飛行禁止。


 補足説明:なお、メドリージュは最大20人しか乗れない。それ以上乗ると沈みます。

 たまにメドリージュが沈んだり浮いたりします。


『以上で説明終了です。様はメドリージュから相手を落とせば勝ちです。簡単でしょ?と言うわけで参加希望者の方はそちらにある受付へ!!』


 そこで放送が一旦終わり、周りの人がざわめき始める。


「てっしょー!やりたい!」


「一緒にやろー!」


 妖精達が服を引っ張りながら俺を見上げる。

 とてつもなく妖精が踏み潰されそうで心配なんだが……

 強く服を引っ張られ目を向けると、姉御が妖精の方を見てからくらげの方を指差し自分を指差す。


 まるで自分が面倒みるからやらせてやれとでも言っているようだ。


 姉御はうさぎっぽいが泳げる。まるで水を蹴るかのように。

 溺れる心配はないが、姉御だけじゃあ面倒見るのは無理だろう。


「……わかった、俺もやるよ」


「やったー!」


 俺の参加を喜ぶ妖精達。

 姉御はぽんっと俺を叩いて受付を指差す。


「ああ、そうだな。ほら、参加登録しに行くぞ。早くしないと締め切られる」


「急げー!」


「締め切りー!」


 ぽてぽてと妖精達は走って受付へと向かい、俺も羽をしまって姉御と共に受付に行って参加登録をした。




『さーて!時間になりました!これにて受付を締め切らせてもらいます!どうやら予想以上の参加人数なうえに妖精も参加するようです!これは面白いものが期待できそうだー!!』


 妖精達はとても楽しそうにくらげの前で飛び跳ねている。

 俺は、時間になるまでに水着に着替えて、水に濡れてもいい上着を羽織っている。


『さあっ、精霊さん達!皆さんをメドリージュさんの上に運んでください!』


 妖精と同じで楽しい事が大好きな精霊達もこのイベントに興味を持って来たらしく、楽しそうに参加者を浮かしてメドリージュの上に運ぶ。


『皆さん、準備はよろしいですか?それではくらげ落とし大会、開始!!』


 開始の宣言が響き渡ったと同時に落下が始まる。


「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーー!!!」」」


「「「おおー!!」」」


 ノリの良いアメルハーナの人達が結構参加しており、雄たけびを上げながら落ちて行く。

 それを妖精達が真似して声を出す。

 姉御は何故か愛用の鎚を持ちながら落ちていく。錆びないのだろうか?と思うが泳ぐ時すら持っているので、錆びないもしくは錆びにくい物なのだろう。


 メドリージュの上に着地して一瞬辺りを見ると、メドリージュの上に着地どころかそのまま海に落ちる者がいた。

 精霊達がわざとやったと思われる。上の方から大爆笑してるかのような楽しそうな声が聞こえるから間違いない。


「どっせいっ!!」


 いきなりタックルしてきたサメっぽいウィストルのおっさん(声的に)を避けて海に落ちたのを確認してから、妖精達の様子を見る。


「きゃー!」


「ぷよぷよー!」


 ぽんぽんと楽しそうに跳ねていた。

 そんな中、妖精を踏みそうなネズミの様なウィストルがいた。


「くそっ!」


咄嗟に飛び出してネズミを押そうとしたら、そのネズミがいきなり横に吹っ飛んだ。


「ぢゅっ!!?」


「は?」


 いきなり目の前の奴が吹っ飛んだので驚いた。

 何故吹っ飛んだのかは見えていたがそれでも驚く。


 今、目の前には鎚を持った姉御がいる。

 姉御が鎚でネズミを殴って吹き飛ばしたのだ。


 周りでその様子を見ていた人達は驚きのあまりぽかーんとしている。

 そんな周りの様子を全く気にしていない姉御は、何処からか置いてきたはずの俺の鎚を放って寄越した。


「姉御……これ、反則なんじゃないか?」


 そう言うと姉御はルール掲示板を指差す。


 ~敗北条件~

 メドリージュから落ちる事。

 魔法禁止。

 飛行禁止。


「なるほど、武器の使用はありと……」


 でもこれは武器を使って戦うものではないだろ。


 だが、姉御は妖精を踏もうとする奴を次々と愛用の鎚で殴り飛ばして脱落させている。

 妖精達は相変わらず好き放題に楽しんで、他の参加者は姉御から逃げ惑うか立ち向かう。

 姉御の凄まじい勢いに観客の人達は興奮して歓声がすごい。


 いいのかこれ?

 本当はこんな大会じゃないだろ?


 呆然と見ていると頭に痛みが走った。


「痛っ~~~~!?」


 後ろを振り向くと仕事しろと言わんばかりの姉御がいた。

 いつの間に俺の後ろに来たのか?


「ごーごー!」


 姉御がゴー!と言わんばかりに前を指差し、周りに来ていた妖精が楽しそうに俺の頭に乗って前を指差しながら言う。


「ったく、分かったよ。やればいいんだろ?やるからには全力だ!!」


 いつも持ち歩く鎚を握り締めて姉御に立ち向かおうとした人達に突っ込んだ。




 数分後。


 俺と姉御が鎚で他の参加者を退場させたのだが……何故か姉御と一騎討ちのような状況になっている。

 妖精達は周りではしゃぎながら見ている。


 これはもうくらげ落とし大会ではなく武道会だろ。


 そう思っている間に姉御は鎚を構え、物凄いスピードで突っ込んできた。

 何故つるつるのくらげの上であんなスピードが出せるのか分からない。


「っ!?」


 振りかぶられた鎚を避け、追撃できた横薙ぎの鎚を自身の鎚で防ぐと吹っ飛ばされた。

 力は姉御の方が圧倒的に強いと言うより力も技術も圧倒的に上。戦ったら確実に姉御が勝つ。


 吹っ飛ばされた先は幸いくらげの上で、着地するとすぐそこに姉御が迫っていた。

 だが……


「うわ!?」


 姉御の早すぎる接近に驚いた俺はバランスを崩し転んだ。

 まさかここで転ぶと思っていなかった姉御は、空中でスピードを落とせず後ろの海に突っ込んだ。


 どしゃあああああ! と姉御が海に突っ込んだにしては変なすごい音がしたが後ろが怖くて振り向けない。


「姉御すごーい!」


 妖精達がそう言って目を輝かせて俺の後ろを見ている。

 一体何が起きたのか?

 そう思って後ろを向いた瞬間、肩が叩かれ姉御とばっちり目があった。


 まるで戦いは気を抜いた瞬間負けだとでも言うように鎚を俺の頭に振りかぶった。

 そして俺の意識は途絶えた。




 目を覚ますとどんちゃん騒ぎだった。


 どんな状況なのか?

 頭に乗せてあった氷を横に置きながらそう思っていると、すっと横から冷たいお茶の入ったコップが出された。


「あ、ありがとうございます」


 そう言って横を見ると姉御がいた。

 姉御はじっと頭を見ながら、座っている俺の頭をぽんぽんと優しく叩く。


「姉御、手加減してくれたんだろ。大丈夫だ、そんなに痛くない」


 そう言うと姉御はぽすっと横に座る。

 姉御を見てから改めて周りを見ると、くらげ大会のあった会場の砂浜はもうすっかり夜になっていた。

 参加者や観客達が砂浜でバーベキューのようなものをしつつ酒を飲んでいた。


 もはや祭りとなっている会場には多くの人が訪れとても賑やかで楽しそうだ。

 本当にこの町はお祭り好きだなと思う。


 妖精達もそんな祭りに楽しそうにはしゃぎながら食べ物をもらっている。

 一部が、俺が起きてる事に気付いて食べ物を持ってこちらにやってくる。


「てっしょー!一緒に食べよー!」


「なくなるのー!」


「ああ、今行く。姉御も食べてないなら行こう」


 妖精達に連れられ、俺も祭りに参加する。


 町は泡の様な白い石のコルルが淡く光り、まるで海底にいるかのような海の町を映し出す。


 初めての夜のアメルハーナを姉御、妖精達と一緒に満喫する。


 前の祭りは見られなかったから初めてのお祭。


 不思議で、賑やかで、とても楽しい。




 異界の祭り――








 ―――余談。~結局誰が優勝したのか?~


 鉄勝が姉御により気絶させられた後。


「姉御の勝ちー!」


 数人の妖精さんが姉御に飛び掛り、そのまま受け止めてつるっと滑って海に落ちた。


 その時、メドリージュの上にいたのは妖精さんは1人。


『き、決まったーーー!!以外にも激戦を勝ち残ったのは妖精だーーー!!』


 勝利を宣言するフリメラの声が辺り響き渡り一瞬辺りが静まり……


「「「ええーーーー!!」」」


 観客の声が響き渡った。


「勝ったのー!!」


 妖精さんは喜んでぴょんぴょんメドリージュの上を飛び跳ね回った。




 皆予想外の結果に驚いたものの最後には笑顔になり。


「小さな勝者を祝おうじゃねえか!野郎共!!」


「「「おおぉーーーー!!!」」」


「「「まつりー!!!」」」


 そう騒ぎ始め祭りは始まった。




 そしてその後……


「うわっ!?なんだその食材!?」


 どっさりとある食材の山を前に驚く鉄勝。


「もらったのー!」


「優勝商品だってー」


「おいしい物いっぱいなのー!」


「いやったあああああああ!!」


 宿屋に鉄勝と妖精の嬉しそうな声が響いた。













補足説明と言う名の余談2


てっしょーさんが転んだ際、後ろで何があったか……

姉御は鎚を海に叩き付けた衝撃で浮き、くらげの上に戻っていたり……

てっしょーさんの聞いた音は海に鎚を叩き付けた音です。

鎚が海に触れただけなので失格とカウントされませんでした。


それと姉御、実は密かに自分が気絶させたてっしょーさんを看病してたり……

やりすぎたかもしれないと思ったのかも。


補足説明でした。

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