第18話 祭りの終わり
久しぶりに沢山感想が来て、つい嬉しくて最新話を書き上げちゃいました。
まあ、ほっこり度は相変わらず低めですが……
祭りが終わった後の話です。
ほんとは帰ってからの宴会の話を書くはずだったのですが、帰るまでの話になりました。では、どうぞ。
時は遡って、てっしょーさんが町に行った次の日。(祭り終了後)
「ん?俺はいったい何を……」
目が覚めたら見知らぬ場所にいた。
何故か周りには妖精達と姉御が寝ている。(全員)
ここはどこだと思っていたら扉が開いた。
「お、やっと起きたか。もう昼過ぎだぜ?まあ、寝たのは朝だったから仕方ないっちゃあ仕方ないか」
入ってきたのはイシュナだった。
なんだか呆れたような顔をしている。
「おい、イシュナ。ここどこだ?」
「ここはお前が料理をしていた魚屋の客間だ。昨日の昼から今日の朝にかけてぶっ続けで料理して倒れたお前を運んだのも魚屋の主人だ。あとで礼を言っときな」
「そうか、わかった。なんか色々迷惑かけたみたいだな……」
「迷惑とは思ってないみたいだぜ?その他もろもろも含めてな」
なんだかにやけながらそう言ってくるイシュナ。
「なんだ?どう言う事だよ。それにその他もろもろもって?」
「まあ、礼と挨拶済ませてから店の外に出りゃあ分かるさ」
イシュナはそう言って楽しそうに笑いながら行ってしまった。
何があるってんだ。
とりあえずさっさと準備をして挨拶と礼に行かなきゃな。
妖精達と姉御はまあ、起きてくるのを待とう。
まだ寝ているって事は疲れてるんだろうし。
そして俺は準備を整えて昨日の調理場へと向かった。
調理場。
「おお!起きたかてっしょーさん!」
魚屋の主人のウオマさんが俺に気付き、若干目にクマを作りながらこちらに笑顔で近づいてきた。
どうして笑顔なのか分からない。
「えっと、おはようございます。昨日は色々迷惑かけてしまったみたいですみません。そして料理させてくれてありがとうございます」
とりあえず挨拶と謝罪とお礼を言った。
「迷惑だなんて全然思ってませんよ!むしろ感謝してます!こちらこそありがとうございました、てっしょーさん!」
どういう事なのだろうか?
よく分からないが、昨日仲良くなった町の料理人のみんなにも挨拶をしていくと、同じ様に感謝された。謎だ。
挨拶も済ませ店の外に出る。
「……」
唖然として声が出ない。
そこら中に酔っ払って倒れた人がいたり、大量の机と椅子、そして皿があった。
何だ、この状況……
まるで何か大騒ぎした後のようだ。
でも、昨日は祭りなんてやっていなかったはず……
ちらほらといる片付けをしている女性がいるので何があったのか聞いてみよう。
「あの、すみません。昨日何かあったのですか?すごいあり様ですけど……」
「あら?貴方、今日町に来たの?それは残念だったね。昨日は昼から今日の朝にかけて祭りがあったのさ」
「え?昨日の昼から?」
お祭り……?
昨日の昼から?
うわーーーーーー!
お祭りで屋台が出るかは分からないけどこの世界で初めてのお祭りだったのに全く見れなかったとか!
くそー……
「ええ。昨日の昼にね、何でも町で見かけない謎の人物が料理を振舞い始めて料理人が集ったのがきっかけで祭りが始まったみたいなの。皆、見たことのないおいしい料理とおいしいお酒ですっかりはしゃいじゃってね。久しぶりにすごく楽しいお祭りだったわ」
ちょっと待て、今変なとこがあったぞ。
町で見かけない謎の人物?
料理を振舞い始めた?
料理人が集った?
「……」
俺、か?
俺が、祭りにしちまったのか?
「たぶん、皆お祭り好きだから昨日のお祭りは年間行事になるわね。それと祭りを始めた謎の人物は料理人の人達が、祭りが終わって落ち着いたら紹介するって言ってたから、皆楽しみにしてるでしょうね」
ちょっと待てぇぇぇぇ! 年間行事?
え?俺が年間行事になる祭りを始めたの!?
というか町の人に紹介されるって!?
え?え?断っちゃだめですか?
というか逃げて良いですか?
「今日は皆後片付けで忙しいだろうからあんまり町を楽しめないかもね。残念だけどまた日を改めて町に来ると良いよ。普段のこの町は楽しいからね」
そう言って女性は他の片付けに向かってしまったけど今はそんな事気にしてられない!
家に帰ろうにも妖精達と姉御を運ばなきゃいけないし、というか妖精と姉御は魚屋だし。
絶対料理人に捕まるよな?これ。
どうすればいいんだ!
「おーい、何んなとこで突っ立ってんだ?」
そこでイシュナが声をかけてきた。
「そうだ!イシュナ!魚屋から妖精達と姉御を連れてきてくれ!」
「ん?なんだ?急に……あーなるほど。それはできねえな」
イシュナはにやりと笑って俺の腕を掴んだ。
力を入れてもびくともしない。
「無駄だ。伊達に戦いを司ってねぇよ、力で俺に勝てるものはいねぇ」
「放せって!っておい!どこに連れてく気だ!」
「どこって魚屋に決まってんだろ?」
「うわー!はーなーせー!」
「ま、潔く諦めるこったな。心配しなくとも紹介はおそらく2~3日後だ。心の準備はできるぜ?」
俺は抵抗むなしくイシュナに引き摺られ魚屋に連行された。
魚屋では料理人達が待ち構えていた。
一応紹介する日までは家に帰ってもいいが、見張り付き。紹介する日にも人が来るので逃げる事は出来ない。
「逃げたりしたら……分かっているよな?」
包丁片手に持った料理人達に脅されてさらに逃げ道は塞がれた。
俺が町で紹介される事は決定事項になった。
「まーまー、そんな不貞腐れんなって。いいじゃねぇか有名人」
「うるせー!だったらお前が代わりに行って有名人になって来い!」
「お断りだ。というかそんな事されなくとも俺はこの町じゃあそこそこ有名だぜ?」
そんな会話をしながらも帰る準備をまとめる。
料理人に大量のお土産を持たされたのだ。
というか妖精達と姉御とお土産、かなりの量だけどどうやって帰ろうか……
まあ、イシュナに手伝わせるのは決定として。
「おい」
二人がかりでも運べそうにない。
往復するしかないのか……
「えーと、てっしょーさん?いるっすかー」
特徴的な話し方をする声が扉から聞こえてきた。
「いるが……誰だ?」
扉から出てきたのは鳥に似たウィストルの青年と少女だった。
「自分、料理人見習いのレッジと言うっす。料理長から土産を持たせすぎたからお前が運んでこいと頼まれたっす。よろしくっす」
「私はエプラです。同じく料理人見習い兼運び役。よろしくお願いします」
「あ、ああ。俺は鉄勝、よろしくな。丁度荷物をどうするか悩んでいたんだ。ありがとな」
料理人達も持たせすぎたと思っていたのか……
まあ、これで荷物問題は解決だ。後は帰るだけだな。
町の入り口。
「さて、お前ら帰るから籠の中に入ってくれ」
「はーい」
「うわっ!?」
妖精達を籠に入れると姉御が頭に飛びついてきた。
肩車状態だ。頭をぽんぽん叩いてくる。
「姉御、そこで大丈夫か?落ちないでくれよ?」
ビシッと自分に手を向ける姉御。
まるで俺を誰だと思ってやがるみたいな感じの雰囲気だ。
まあ、姉御なら大丈夫だろう。
「んじゃ、帰るか」
「ちゃんと発表には来るですよ?」
見送りに来たルルフィが釘を刺す。
「わかってる。もう諦めた」
「見張り役は俺も含めレッジ、エプラ兄妹もいるしな。逃げられねぇよ」
「逃げられたら俺らが叱られるっす」
「それは嫌」
「逃げないっての!」
そんな会話をしてから別れを告げる。
「じゃあ、またですよー!」
「ああ、またな!」
これから忙しくなりそうな予感に少しの戸惑いと嬉しさを持って初めての町から飛び立った。
妖精さん達は祭りの間にイシュナが運んできました。
それと、料理人さん達に地味にてっしょーさんの暴走が移っていたり……
出すつもりは全くなかった新キャラの兄妹。今後出るかは未定。
まあ、見張り役なので宴会には出る予定。
最近、まともに登場する女性キャラ?が姉御くらいだと気付きました。
ま、まさか……姉御がヒロイン!?
……いや、妖精さんの中にも地味に女の子がいるから妖精さんがヒロインなのか?
と、変な事を考えていたりしますがまあ、この辺で。
次回予告は外れる可能性が高そうなので今回はしません。
では。