表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほっこりスローライフ  作者: 蒼鈴六花
2章 訪問者と広がる世界
20/39

第15話 町へ行こう! 前編 

久しぶりに書いたからか少し変かもです。



 菓子の余りや今までに作った道具の一部などを籠に入れて準備は整ったんだが……


 妖精達がじゃんけんしていた。

 俺が教えたのだが、何故じゃんけん?


「お前と一緒に町についてく奴を決めるんだと」


 妖精達を見ていたイシュナが答えてくれた。


「籠の中身的に1人な」


「わかったー」


 妖精達はそう返事してじゃんけんを続けた結果。


「決まったー」


「じゃ、籠に入ってくれ。そんでイシュナ、案内頼む」


 説明の時、打ち解けたので呼び捨てだ。

 本人がさん付けを嫌がるのもあったが。


「案内するのは良いが、お前、飛ぶ時の速さはどれくらいだ?」


「籠持って飛ぶから本気で飛べないが、それなりに速いと思う」


「それなりに、ね……ま、飛んで見ないとわかんねぇか」


 そう言ってイシュナがふわりと浮き上がる。


「まず、町の方角教えるから、そっちに向かって今出せる最高の速さである程度飛んでくれ」


「わかった」


 籠の中に入っている妖精に魔法で妖精自身も含む籠の中を守るように言ってから飛ぶ。


 ある程度の高さまで上昇したらイシュナが教えてくれた方角に向く。


「行くぞ」




 イシュナ視点。


 てっしょーはある程度の高さまで上昇してから、町の方に向いて一言言った途端、とんでもない速さで町に向かって飛んでいった。

 どうしてあの翼であんな速度が出せるのか……

 

 そして籠の中の妖精がかなり楽しそうで……


「ぎゅーん!」


 などと言っているのが一瞬聞こえた。

 てっしょーはあっという間に見えなくなったので声も一瞬しか聞こえなかったが、あれは確かに楽しんでいた。

 相変わらず何でも楽しむ種族だと思う。

 普通、あんな速さで飛ぶ奴が持つ籠なんかに入っていたら怖いと思うんだが……


 俺はてっしょーが予想外の速さで飛んでいったので慌てて追う。




 視点終了。




 イシュナに言われたとおり全速力で飛んだ。

 籠の方から妖精の楽しそうな声が聞こえるし、籠の心配はあんまりしなくて良いかもしれない。

 もうちょっとスピードが出せるかな? と思っていると後ろからイシュナがやってきた。


「ちょっと待てー!!」


 そう言われて止まる。


「どうした?」


「お前、速すぎ……」


 やや疲れた顔のイシュナがそう言う。


「そうか?」


 比べる人がいないから速さは良く分からないな。


「……俺、神族の中でも結構速い方だけどお前の速さを見てちょっと自信無くしたわ」


「……」


 俺って速かったんだ……

 そう思っているとイシュナが翼をジーッと見て何かに気付いたような顔をする。


「ん?お前、風の魔法使ってんのか?」


「え?俺、魔法使ってたのか?」


「気付いてなかったのかよ!」


 へー、俺、魔法使ってたのか。

 だから速く飛べるんだな。


「普段魔法なんて使わないし。実感無い」


「無意識かよ……」


 呆れた目で見てくるイシュナ。

 呆れられてもな……無意識なら仕方ないだろ。


「イシュナも魔法で飛んでるんじゃないのか?」


「俺のは神族の能力に近い。魔力を使っているって点では魔法なんだが……魔法とはこう、感覚が違うんだよな」


「そうなのか」


「そうだ。さ、話はこれくらいにして町に行くか」


 話を止め、イシュナの案内で町に向かった。




 数分後。


「見えてきたぜ、あれが港町アメルハーナだ」


「うわぁ……」


 少しずつ見えてくるのは見たことも無い町だった。


 青い曲線の模様の描かれた白く四角い石の家の間に巨大な貝殻、巨大なサンゴが生え、その建物や貝殻の周りに真珠のようなものが連なって絡み付いている。とても不思議な町。


「町の名物であるあのでかい貝殻はラコスティラで赤い奴はアコーラル。んでもって周りにある泡のような白い石はコルルだ。夜になるとコルルが光って結構綺麗だぜ」


 貝殻はラコスティラ、サンゴがアコーラル、真珠がコルルか……

 夜の町も見てみたいな……


 そう思っている間に町の入り口に着いた。


 近くで見るとなんか感動してしまう。

 とても不思議で美しい町だ。


「んで、町に着いたけど……お前、どんなとこに行きたいんだ?」


 決まっている!!


「食材売ってるとこ!!」


「お前……主婦か?」


「おう!主夫だ!!」


「はぁ、食材ならラセル市場だな」


 そう言って町に入るといろんな人がいた。

 と言うか魔物が喋っていた。


「なあ、なんで魔物が喋ってんだ?」


「ん?そりゃ俺達神族と精霊が魔物を進化させたからって話しただろ?」


 進化させるとは聞いていたが、喋るようになるのか……

 ところどころ二足歩行のもいる。


 と、それに混じって浮いている小さいのと子供が結構いる。


「浮いているのと子供は?」


「浮いている羽の生えた奴がちっせえのがクルフェーアでガキはエルジアリーだ。ま、エルジアリーはあの外見で大人だけどな。あれが妖精から派生した種族だ」


 15cmくらいの羽の生えた小人はクルフェーアで100~110cmの子供のような外見のがエルジアリーで妖精から派生した種族……はぁ!?


「あ、あれが、これから派生した種族?」


 籠の中で見慣れぬ町にきゃっきゃと喜んでみている妖精を見てからクルフェーアとエルジアリーを見る。


「ああ、羽あり妖精から派生した種族のクルフェーア。羽無しから派生したエルジアリー。どちらも精神年齢で言えば妖精より上だな。それでもクルフェーアはガキっぽいけど」


 そうイシュナが言うと一人のクルフェーアが飛んできた。


「そこ!何をしつれーな事言ってるですか!!私達クルフェーアはガキじゃないです!!これでも大人です!」


 民族衣装のような服に金髪碧眼、妖精と同じ長く尖った耳。そして羽。

 髪の毛は頭頂部で赤い玉の髪留めで留め、そこから二つに分かれて先っぽがくるんとなっている。

 髪型からして子供。まあ、可愛いけど。


「な、ガキっぽいだろ?」


「まだ言うですか!!」


「いてて!髪引っ張んな!!」


 イシュナとクルフェーアの女の子が喧嘩? するなか、籠の中の妖精とクルフェーアを見比べ続ける。


「やっぱり似てない……」


 暫くイシュナとクルフェーアのやりとりを眺めた。




 数分後。


「ええっと貴方は初めましてでした。私はクルフェーアのルルフィです。これでも配達屋さんやってるですよ。よろしくです」


 喧嘩も終了して、こちらに気付いたクルフェーアの女の子が挨拶をしてきた。


「こちらこそ、はじめまして。俺は鉄勝。よろしくな」


「てっしょーさんですか。覚えました!でも、てっしょーさんって何の種族なんです?神族には見えないですよ?」


 本当に種族を聞かれた。

 やっぱり俺の外見は珍しいんだろうか?


「俺は、精霊族なんだ」


 大丈夫だろうか?と思いながらも、イシュナの考えた種族の名を言ってみる。


「聞いた事ない種族です、きっと新しく増えた種族なんですね!」


「まあ、そうかな……」


 増えたというか、俺しかいないというか……


「自己紹介は終わったか?ラセル市場に行くぞ」


「あ、そうだった!」


 俺とした事がすっかり忘れていた!!


「ラセル市場に行くですか?」


 ルルフィが話しかけ、それにイシュナが答える。


「ああ、こいつが食材を買いたいんだとよ」


「てっしょーさんがここに来たのは初めてですよね?だったら先に町全体を見て回って最後に食材を買った方がいいですよ」


「なんでだ?」


「最初に食材買ったら痛んじゃうですよ、せっかく来たんだから観光しないと損です!アメルハーナは良いとこ一杯ですよ!」


「観光って……こいつは多分これから結構な頻度でアメルハーナに来ると思うぜ?んなもんいらねぇよ」


「いるです!さあ、私がいっぱいアメルハーナのいいとこ伝えるですよ!!」


「え、ちょっと……!」


 ルルフィが袖を掴んでぐいぐいと引っ張る。

 小さいながらも見た目以上に力があるようだ。


「ちょ、おま!仕事はどうしたー!!」


「町の案内も私の仕事ですよー!!」


 そう言って俺はルルフィに引っ張られ、初めての町へと入っていった。











今回の町の話は種族紹介が主なので、ほっこり度は少なめです。

新キャラやら色々と出てきたりするからかなり長くなりそう?


ちなみにルルフィは一応大人。クルフェーアは成人で15cmくらい。

子供は10cmくらいかも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ