第9話 演奏会をしよう!
一ヶ月ぶりの投稿。
書き方を忘れ、違う作品のようになってしまったかもです……
他の作品を書こうとしてたら筆が進まず、こっちを先に書きました。
最近筆が微妙に進まない状態です。
俺の……迷子事件から数日後。
楽器を持った妖精達は俺の家に来ていた。
「演奏会で歌うって言っても歌詞とかあるのか?」
「なくても大丈夫ー」
「楽しければいいんだよー」
基本的に妖精の歌には歌詞は無い。
あったとしてもその時に思っている事をそのまま歌詞にして歌うのだ。
曲もその時思いついたものが多い。
楽譜なんて無いのだ。
演奏会は思いついた曲を歌い、皆にどんな音楽か伝えた後演奏するらしい。
耳コピと言うやつだ。しかも一回聞いただけでできる。
妖精達は絶対音感の固有スキルでも持っているのだろうか?
……それにしても難易度高すぎやしないだろうか?
いや、俺は歌うだけなので難易度はそんなに高くないが。(精神的難易度は高い)
よく妖精達は演奏できるな。
ちなみにその事を聞いてみると……
「楽器と一緒に演奏するのー」
だそうだ。
なんだろうか?
俺の妖精翻訳スキルはまだそんなに高くないから解読し辛いが、おそらくボールは友達とかってのと似たようなもの?と思う。
ともかく、妖精達は色々とハイスペックなんだと思う事にした。
演奏会の行われる広場では演奏会に使う楽器が置かれていたりする。
でかい物もあるからだ。
例えば、魔物の楽器とか。
魔物もたまに妖精の演奏会に参加するらしい。
自分の尻尾を弦楽器のように使うターロンとかは、たまに練習で来ているのを見たことがある。
ターロンは頭だけマスクのような固い甲殻に覆われ、やや長い耳と体は茶色い毛に覆われている。
手の爪は細くて長く丈夫で、尻尾を弾くのに使っている。そのため鋭さはない。
尻尾は細長くてつるつるしており、不思議な手触り。
ターロンという魔物は大体こんな感じだ。
まあ、不思議生物って感じの強い魔物だと思ってくれ。
他には、姉御も参加するらしい。練習に来ていた。
打楽器担当で、木でできた木魚を巨大化したような楽器を愛用の鎚で叩く。
絶妙な力加減と神がかった鎚捌きで打楽器を叩く。
まるで鎚が踊ってるかのようにくるくると回っているように見える不思議な光景だった。
姉御の鎚使いは何かがおかしい気がする今日この頃だ。
まあ、演奏会に加わる魔物は大体こんな感じ。
他にも来る奴はいるらしいが、妖精曰く今回は少ないようだ。
そう考えていると姉御がこちらを見ているのに気付いた。
最近少しずつ姉御の言いたい事がアイコンタクトで分かるようになってきた。
なんだろう……ここに生まれてから妖精翻訳スキルといい対姉御用アイコンタクトスキルといい意思疎通のためのスキルが上がっている気がする。
そんな事を考えながら姉御に呼ばれたのでついて行く事にした。
呼ばれていった先は鍛冶場ではなかった。
いつも姉御に連れてかれる先は大体鍛冶場なのだが、今回は小さな切り株の椅子やら机があるちょっとした小さな広場。
妖精達がそこで木でできた楽器や彫刻を作っていた。
「あ、てっしょーだー!」
「てっしょー、ちょーこくっておもしろいねー」
妖精達が俺に気付き笑顔になる。
ラーフィスと妖精が共同で作った彫刻刀と造りかけの楽器や木彫りを持っている。
妖精達は手先が異様に器用だ。
小さいせいもあってすごく細かい物を作る。
芸術品だなと言ったらげーじゅつひん?と聞かれ、説明が大変だった。
説明後は喜んだ。
それから何人か芸術に目覚めた?のか綺麗なものを作る競争をしていたりしていた。
その時に出来たものがとんでもないもので、元の世界で言えば素人目だけど国宝級なんじゃ……と本気で思える代物ができてしまい、しかも俺の家に飾ってーとか言って来る。
一応玄関に置かれているが……壊した時にすごく後悔しそうである。
すごく話がそれたが、今現在俺は妖精達に誘われ楽器製作中である。
ちなみに作っているのはオカリナ。
いきなり難易度が高すぎる……
妖精達の基準はわりとおかしい。
やっぱり妖精はハイスペックなんだと思い知らされる。
妖精は見たり聞いたりしたものをすぐに再現してしまうから、天才なんてもんじゃない。
好奇心旺盛だから色々聞いて来る。
「お話してー」
そう言って元の世界の話をせがんでくる。
俺が不意に元の世界の物について言ったりするとそれって何ー?と聞く。
みるみる俺の知識を吸収していく妖精達。
なんだか将来が不安になってくる。
未来はどうなるかホント予想ができない。
「あ、てっしょー。そこはこうやるんだよー」
「こうか?」
「上手だねー!これでいい音出るよー」
俺も俺で妖精達から色々な事を教わって、なんだかんだで妖精達のレベルについていっている。
記憶がどんどん薄れてあんまり覚えてないが、生前はこんな事できなかった気がする。
割と今の俺はハイスペックなのかもしれない。
……妖精達の方が圧倒的にすごいけど。
と、色々考えたりしていたのだが、途中からオカリナ作りに夢中になり、 考える事をやめて作業に没頭していた。
物作りって楽しいんだよな。
ついつい夢中になっちゃって……
うん、オカリナは完成したのだが……
いや、自分でもよくわからんが、気付いたときにはできていた。
としか言いようが無い。
はっとなった時、手の中にある物を見たら自分の目を疑いたくなった。
楽器を作ること自体初めてなのだが、普通にオカリナが作れた。
妖精達に作っている最中の事を聞いてみると……
「てっしょーは物を作ってる時とかすごく変わるよー」
なにが?
「中身?」
中身?
「性格?」
俺は二重人格か?
「目が違うのー」
目の色変わるって奴か?
「とにかくすごいのー」
なんかすごく気になるんだが……物作っている時というか集中して夢中になっている時の俺ってどんな風になってるんだ?
気にはなっても知る術が無いので、もやもやした気持ちのままオカリナ作りは終了した。
色々と演奏会に向けての準備も終わり、ついに翌日俺を含んだ初めての演奏会が始まった。
オカリナは今回使用せず、次の演奏会でやる事になった。
演奏会を行う広場には様々な魔物と精霊達が客としてくる。
妖精の演奏は評判が良いのだ。
そんな中に俺が歌だけで入るとか……
いや、妖精達も歌うよ?でもほとんど俺のソロだし。
それに……
普通に恥ずかしい。
一人で人前の中歌うとか恥ずかしくないか?
俺、そんなに歌はうまくないと思うんだが……なぜか妖精達に聞かせてーとせがまれるし。
歌うと精霊も寄って来るし。俺の歌のどこが良いのかほんとに分からない。
そんなこんなで客も集り、指揮者(といってもほんと形だけ)係の妖精が切り株の台に立つ。
「いくよー。せーの!!」
それを合図に演奏が始まる。
そしてすぐに歌が始まる。
俺が歌い始めた途端ざわめき始める客。
うわああああ、すごい恥ずかしい。
やっぱり俺、歌が下手だったとかそんな落ちだろ。
下手でも堂々としてれば大丈夫だとかどこかで聞いたことある。
この状況でそれはかなり辛いものがあるが、ここで恥ずかしがって変に歌えばさらに酷い事になる。それは確実だ。
腹をくくれ俺!男の意地を見せる時だ!!
結果、演奏会は大成功。よっぱらいと化した魔物達のできあがり。え?
終了と同時に歓声があがる。
↓
妖精達が俺に飛びつく。
↓
俺、もみくちゃにされる。
↓
宴会しようぜ!宴会!
↓
俺、料理を作らされる。
↓
客の連中が秘蔵の食べ物を出す。
↓
俺、歓喜。気合入れて料理。
↓
客の連中、酒を大量に持ってくる。
↓
いつの間にか森中の連中が集っていた。
↓
大宴会化。カオスな空間発生。
↓
空間に飲み込まれ意識を失う。
↓
気付いたら死屍累々の中にいた。←今ここ。
どうしてこうなった!!
自分でもまったくわからない。
何が起きたのか理解できない。
周りを見渡すと酔っ払った二日酔いと謎の傷に苦しむ魔物達と、酒のせいでぐっすりと深い眠りに落ちた妖精達だらけと言うひどい状態。
すごい酒臭い中、平然と立っている姉御。
って姉御あんた無事だったのか。
なんかこっちを見てやれやれって仕草している。
何がやれやれなのか全くわからん。説明を頼もうにも姉御は喋れない。
妖精達は深い眠りの中。
「……」
とりあえず、そこらに散らばっている皿とか片付けよ。
後日。
妖精達に演奏会のあった日の事を聞いてみた。
「いろんなてっしょーがいるんだよ」
なんだそれ、実は隠れた双子の兄弟がとかって落ちは無しな。
俺は一人だけで複数いないからな。
「すっごく楽しかったね。また演奏会しようね」
いや、お前らが楽しかったのは良かったけど毎回こんな事になるんなら少し考えたくなるぞ。
「皆反省してますって叫んでたよ?」
いつ?
そんな事聞いた覚えはないぞ?
「てっしょー覚えてないの?」
覚えてない。
「じゃあ忘れた方がよかったんだよー」
そう……なのか?
なんか忘れてはならんような感じもするんだが、ま、いいか。
「さ、話は一旦やめてお菓子食うか?」
「お菓子ー!!」
「食べるー!!」
妖精達とのんびりお菓子タイムを楽しんだ。
外伝になりそうな話がちらほら、横道それまくりな話でした。
ほんとは純粋に演奏会の話だったのに、後半酒飲み大宴会が悲惨な事に……
こんなはずではなかったのですが……
では、誤字脱字・感想アドバイス等をお待ちしております。




