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ほっこりスローライフ  作者: 蒼鈴六花
1章 スローライフを始めるまで
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第8話 迷子になっちまった

この話から不定期更新になります。


ほんとはなろうコンの一次選考が落ちるまでと言うのもあれなのですが、しばらく早めのペースで投稿しようと思っていたのですが、無理だったみたいです……


調子のいい時は早めに投稿する可能性もありますが、基本的に遅い投稿になるやもです。

「てっしょー!楽器作ったー!」


「練習もしたのー、聞いて聞いてー」


 妖精が楽器を持ってきて家にやってきた。


 バイオリンやらフルートなどといった楽器だ。

 俺がうろ覚えの素人知識で形とかを教えたのだが……作れたのかよ!


 フルートは金属だ。

 ラーフィス達と作ったにしてもよくやれたもんだ。


 まぁ……ラーフィス達の技術力はすごいけどさ。


 バイオリンは絃とか何を材料にしたんだ?


 聞いてみると、バルバドっていう茶色く丸い体で背中に甲羅を背負ってるすごい髭を持った生物の髭を使ったらしい。


 弓の方はカローシャスと言うカンガルーみたいな体に馬の尻尾を持ったような生物の尻尾を使ったとか。


 教えた弦楽器はバイオリンだけだが、チェロやらコントラバスも教えてないのに作ってる。

 ちなみに妖精は元々楽器を作っていたが、オカリナとか打楽器ぐらいだ。

木の横笛もあった。


 たまに演奏会を開いて楽器で演奏しながら歌うそうだ。


 今日は演奏会ではなく、試作品のお披露目といった感じだ。


「じゃあ、始めるよー」


 そう言って妖精達は演奏を開始した。

 俺は縁側に座りながら妖精の演奏を聴く。


 楽しい感じのする妖精らしい曲だ。

 独特な雰囲気で不思議な感じもする。


 練習してきたと言ったとおり、バイオリンなどの楽器を弾きこなしている。


 楽しい事のためならかなりの技術力を見せるからな……妖精は……

 行動のほとんどが楽しい事らしいが。


 演奏が終わったから拍手する。


「すごいなお前ら。バイオリンとか作っただけでも驚きなのに、弾きこなすとか」


「てっしょーに褒められたー!」


「やったー!」


 妖精達が楽器持ちながら踊り始める。

 そこで、そういえば昨日の夜作ったお菓子あったなと思い出す。


「ちょっと待ってろよ」


 そう言ってからお菓子を取りに行き、お菓子の入った瓶を持って妖精の所へ戻る。


「ほら、並びな。すごいもん聞かせてもらったお礼だ」


「お菓子なのー!」


「あめだまー!」


 妖精達が俺の前に並び、小さな手を出しながらお菓子ちょーだい!と言って来る。


「コロコロー」


「うまー」


 口をもごもごさせながらおいしそうに食べている。

 とても幸せそうだ。


 飴一つでここまで幸せそうな顔するというのもすごい。

 お菓子研究も楽しいし、食べる妖精も幸せそうだから嬉しい。


「てっしょー」


 ぼーっと妖精を見ていると横から妖精が声をかけてくる。


「なんだ?」


「今度、演奏会しよーよ」


「楽しみ待ってるよ」


「違うのー。てっしょーにも参加して欲しいの」


「は?」


 俺、楽器なんて生前、ガキの頃にリコーダー吹いたくらいだぞ。

 ほとんど生前の記憶なくなってきてるから曖昧だけど……


「俺、楽器なんて使えないぞ?」


「楽器は練習すればいいの。でもね今回、てっしょーは楽器を使わないの」


「楽器を使わない?」


「歌って欲しいの!」


「え?歌?」


 なぜ、歌?


「てっしょーとっても歌がうまいから演奏会で歌って欲しいのー」


「ちょっと待て、俺はお前らの前で一度も歌った覚えはないぞ」


「温泉に一人で行った時に歌ってるのー」


「!?」


 なん……だと……?


「な、なんで、温泉で歌ってる事知ってるんだ……?」


「後で一緒に入ろうとして追いかけたら歌ってたのー」


「俺が一人で入ってる時に後から入ってくる奴なんて今までいなかったぞ?」


「出て行ったら止めちゃいそうだったから出なかったの。でも、すごくうまくてほわーんてなるから皆隠れながら聞いてたのー」


 妖精さん翻訳。

 てっしょーの所に出て行くと歌わなくなると思ったから出ず、すごくうまい歌だったので聞きほれてしまい、皆で隠れて聞いていた。


 以上。


 皆……という事はおそらく魔物も含め妖精全員をさす。


 これは予想だが、最初は妖精1人くらいが歌に気付き、どんどん皆に広めていったと思われる。




 つまり俺が温泉でごきげんに歌ってる所を皆に聞かれていたという事だ。


「……」


「どうしたのてっしょー?顔が赤いよ?」


 恥ずかしくて死ぬーーーーーーーーー!!!!

 うわあああああああああああああああ!!!!


「てっしょーどうして泣いてるの!?」


「痛いの?」


「大丈夫?」


 心配そうに妖精がわらわら寄ってくる。


 痛いよ!心が痛いよ!

 精神的に大ダメージだよ!!


 大丈夫じゃない!


 寄るなーーーーー!!

 来ないでーーーーー!!


 しばらく一人にしてくれーーーーー!!!


「うわああああああああああああああ!!!」


 気付いたら走ってた。


「てっしょー!!」


 妖精の声は俺に届かなかった。




 それから正気に戻った俺は気付いたら森の中にいた。


 しかも辺りは真っ暗。

 完全に夜だった。


 あれ?さっきまで明るかったはずだが?


 今日は月のような星が綺麗に出ているため、夜にしては少し明るめ。

 ランプ草の明かりが見えない所を見ると妖精の住家から離れているようだ。(ランプ草は妖精の住家周辺と湖の方に生えている)


 木が高くて温泉の煙も見えない。

 現在地が全く分からない。


 つまり迷子だ。


 ……この歳で迷子になるとか……あれ?この世界に生まれてからを考えると俺って0才か?


 なんで生まれたとき時から18才の体なんだ?

 今まで生前と同じくらいだったから疑問に思わなかったけど……


 そう考え始めた時、びちゃりと音がした。

 すぐにそっちの方向に向くと奇妙な匂いが漂う。


 さっきの音とこの匂い……ルムスライム!?


 簡単な魔物解説。

 ルムスライム


 基本夜行性だが、お腹が空いてる時は昼でも活動する。

 見た目は黒っぽいスライムだが、捕食の時は一部が伸びて獣の頭の形になり獲物を捕食する。


 体からは独特な臭いを出し、それは得物を衰弱させる効果がある。


 以上。


 前に妖精達と狩りに行った時に遭遇した魔物だ。


 最悪な事にこいつに理性はない。

 ただひたすら食べる事しか考えてないような魔物だ。


 姉御から常に持ってろと言われて(アイコンタクト)いた鎚は急な出来事で持ってない。


 最悪の事態だ……


 この状態で走って逃げても絶対何かにぶつかったり転んだりする。

 ルムスライムは意外に速いから止まったらすぐに食べられるだろう。


 俺、ここで死ぬのか?


 死んでから妖精達と暮らし始めて、最近楽しい事が増えてきて……生活も落ち着き始めたのに……


 こんなとこで死んじまうのかよ……


 そう思った瞬間、ルムスライムは俺に食べようとした。


 ぐっと目を瞑ると。


「ボロロロロロロロロロ!!」


 という謎の悲鳴?と気持ち悪い音がした。


「てっしょーを食べちゃダメー!!」


 聞き覚えのある声もした。

 目をあけると、妖精達が武器でルムスライムを撃退してた。


「ボロロ……」


 弱弱しい声を出しながらルムスライムが逃げていく。


「てっしょー!!」


 すると妖精達が駆け寄ってしがみついてきた。

 全員ぽろぽろ泣いてる。


「急に泣いて飛び出すから心配したの……」


「一生懸命探したの……ずっとずっと探したの……」


「いなくなっちゃやだー!」


 最後の一人の叫びに全員が大泣きする。


 恥ずかしさから飛び出して迷子になって、こいつらに心配かけて……

 めちゃくちゃ恥ずかしいな、俺。


 それに泣いた所を見た事すらなくて、笑顔しかしないようなやつらをこんな大泣きさせるなんて……俺、ほんとバカだ。


 ちょっと一発自分の事を殴りたいけど、ここでそれをしたらよけいにこいつらは泣くだろう。


「ごめんな、お前ら。もう、いなくなったりしないから」


「ほんと?」


「ほんとだ」


 するとぱっと笑顔になる妖精達。


「探してくれて、ありがとな……」


「てっしょーを探すのは当たり前なの!」


「てっしょーは家族でしょ?」


「!?」


「家族って繋がりなんでしょ?だったらてっしょーは家族なの!」


 確かに、少し前妖精に言葉を教えたりした。

 その時に家族の事も話したのだ。


 妖精は血縁関係と言う物がないから家族と言う言葉を知らなくて、俺は薄れてきている家族の話をしたんだ。


 でも、こんな風に言われるとは思わなかった。


「てっしょーはぼく達と家族、いや?」


「嫌じゃ……ない」


 嫌なわけない。


「嬉しいよ」


 とっても嬉しかった。


「ほんとに……ありがとな、お前ら」








 妖精達と帰ってから俺は晩飯を急いで作った。

 妖精達は飲まず食わずでずっと俺を探していたからだ。


 俺の家で妖精達にご飯を食べさせた後、俺を探すのを手伝ってた姉御からぶん殴られ、謝罪とお礼をした。


 魔物達にも迷惑をかけてしまったようだ。

 明日は忙しくなりそうだ、自業自得だけど。


「……」


 食べ終わってからぐっすり寝始めてしまった妖精を一人一人部屋に運んで布団に寝かせる。

 よっぽど疲れてるんだろう。


 疲れ知らずの妖精達なのにこんなに疲れてるのは、精神的にも疲れたからだと思う。

 それだけ心配させてしまったのだ。


 心の中でもう一回謝罪とお礼を言って、もうこんな事二度としないと思う。

 それから妖精達が起きないようにそっと部屋をでて戸を閉める。


「おやすみ」


 俺の家族達がいい夢見れますように。









ちょっと詰め込みすぎた感があるような……

でも、てっしょーと妖精さんは家族になったようです。


魔物とか数が増えてきたし、設定資料集を投稿するのもいいかも……

妖精さん図鑑って感じのタイトルで、妖精や魔物などの設定を書いてくとか。


では、誤字脱字、感想アドバイス等お待ちしております。


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