第6話 妖精さんと狩りに行こう!
ちょっとトラブルがあって投稿が遅れました。
見直ししてないので明日お直しするかもです……
眠いので今日はむ……zZzZ
畑を作ってから二日後。
朝、簡単な朝飯を作ろうとした時、食材が少なくなってきているのに気付く。
普段は森で妖精に食べられる野草や木の実を教えてもらいながら採ってきたり、草原にいるカプトルやピュトからミルクと卵をもらったり、湖や川で魚を釣っている。
妖精達はたまに狩りに行った時に肉を貰ってるのだが、そういえば俺は狩りに行った事がなかった。
妖精が狩るのは凶暴で理性の無い魔物のみ。
最初に襲ってきた猪はそういう奴だったらしい。
自分一人でも狩りが出来るようにはなりたいな……森は色々と危険だし、武器の扱いにも慣れといた方が良いだろう。
早速妖精達に頼んでみよう。
妖精の住家。
「という訳で狩りに行きたいんだ」
「いいよー」
「じゃあ武器を作るのー」
あっさりOKをもらい、早速鍛冶場に向かう。
鍛冶場には姉御と数匹のラーフィス、妖精がいた。
狩りに行くから武器を作ってくれと頼む。
「どんな武器がいいのー?」
「いや、俺って狩りは初めてだし、狩りにはどんな武器が良いんだ?」
「なんでもいいのー。自分の得意な物でやるのー」
「そもそも武器を使った事が無いからどれが得意か分からん」
「それじゃ、色々作ってみるのー」
「宜しく頼む」
そうして武器製作を依頼して、俺は夕飯の魚を釣りに行った。
次の日。
鍛冶場に向かう。
「出来てるよー」
そう言う妖精の前には武器がずらりと並んでいた。
置いてある物。
剣(大剣から短剣まで幅広く)、棍、モーニングスター(やや物騒)、槍、薙刀、弓矢、トンファー、鉄の仕込んであるグローブ、何故か大鎌(凶悪)に鍛冶で使う鎚(ラーフィス特製の柄がやたら長く、頭部が小さい物)など。
よくもまぁ1日でこれだけ作ったもんだと言いたくなる量である。
こいつらの仕事の速さは……気にしない方が良い。
「一通り試してみるのー」
「おう!」
まずは剣から始まり、最後に鎚を使ってみて……
「てっしょーはどれも使えそうだね」
「そうか?さすがにモーニングスターとかはだめだったぞ」
「あれはラーフィスが練習用に作った物なのー、だから使えなくても大丈夫ー」
ラーフィス怖ぇな……
ちなみに大鎌もラーフィス作。なんか後々農具として使いそう……
「そういえば薙刀はあるのに刀はなかったな」
「かたなってなにー?」
「知らなかったのか。刀ってのはなー」
刀の説明をした後、とりあえずグローブと片刃の剣とラーフィス特製の鎚を装備して狩りに行く事になった。
何故その装備か?
グローブはまあ、武器じゃなくて防具にも使えるし、剣は武器の王道という事で。鎚は鍛冶を教えてもらっているため、用意された武器の中で唯一手に馴染んでるから。
とりあえず皆を呼ぼう。
そうして住家にある広場に集まった。(普段の集合場所)
狩りに参加するメンバーは俺と妖精10人に姉御、鍛冶場にいたラーフィスだ。
妖精の武器は主に、羽付きの奴らは弓などの遠距離系。
羽無しは剣やらハンマーやら槍などの接近系。
ラーフィス達は全員鎚。というか鎚以外のものはありえないらしい。
どんだけ鎚が好きなのか……
姉御に鎚の扱いを教えてもらいながら森の中へ獲物探しに行く事になった。
森の中を歩き続けて1時間くらい。
妖精達は歌ったりしながら木の実やらを拾い集めたりして歩いている。
俺は姉御の技を見せてもらいながら歩いていると妖精の一人が。
「あー、気をつけてー来るよー!」
先の方を歩いていた妖精達が、きゃーと言いながら跳ね飛ばされていく。
どすっどすっと重たい足音が聞こえたと思ったら、前方から巨大な熊がこちらに突進して来た。
俺は咄嗟に避けながら持っていた鎚を思いっきり振った。
すると突進してきた熊の額に鎚がクリティカルヒットした。
「お?」
熊の方に向くとズシャアアアアと転がりながら木にぶつかって額を押さえて苦しそうな声をあげていた。
姉御を見るとにやりと笑っていた。
うさぎなのに器用に笑っていた。
めっさ怖い……
俺はいったい姉御に何を仕込まれたんだ?
そう思っていると妖精達が騒ぎ出す。
「てっしょーすごいのー!」
「でもアクダニール怒ってるのー」
アクダニールというらしい熊が復活して、こちらを睨みつけ威嚇していた。
妖精達は熊を武器で攻撃したりするけど弾き飛ばされている。
はねられた妖精は大丈夫だったのか?と思ったけど普通に熊への攻撃に参加している。
熊に跳ね飛ばされても傷一つないって……妖精って強かったんだな……
そう思いながら剣を取り出して熊に向かって走る。
何故か不思議と怖くない。
最初の猪は怖かったけど、今は妖精や姉御達がいるからだろうか?
「右前足の近くにいる奴離れろ!」
「わかったのー!」
さっと足止めしていた妖精が離れる。
そこに思いっきり剣を振るった。
剣の切れ味はかなり良く、綺麗に斬れる。
俺と同時に姉御も左の前足を鎚で叩いていた。
ゴキャとか嫌な音が聞こえたけど……姉御、熊の骨折るとかどんだけですか。
熊はあまりの痛さに立ち上がって叫ぶ。
姉御を見るとコクっと頷く。
俺は鎚に持ち替え、思いっきり振った。
さっきは姉御が俺と同じタイミングになるようにやってたけど今度は息を合わせて。
「おらぁ!!」
「キュ!!」
がら空きになった熊の腹に思いっきり二つの鎚が当たり、熊は吹っ飛んで木に思いっきりぶつかり、ぴくりとも動かなくなったと同時に木が折れて倒れた。
「……」
いや、まさか吹っ飛んで、木まで倒れるとは思ってなかったよ。
姉御を見ると鎚持ってない手を目の上辺りに持ってきて遠くを見るような仕草で熊を見ている。
姉御の大きさは俺の腰くらい。(耳も含めて。やや普通のラーフィスより大きい)
鎚を振るうのは可愛らしく小さな手。
「……」
俺の力が強かったわけではない。
この世界に来てから少しは逞しくなったかな程度で一般の高校生ぐらいの力だろう。
という事は姉御が熊を吹き飛ばしたのだ。
姉御の戦闘能力の恐ろしさを見た。
その後、熊の血抜きをしてから帰る事になった。
「大物なのー!」
「今日はご馳走なのー!」
と妖精達は大喜び。
「てっしょー、今日はどんなご馳走なのー?」
妖精達が今日の晩御飯について尋ねる。
「今日はなー……熊鍋だな」
「なべって料理作る道具?」
「いや、料理の名前。俺の故郷の」
「どんな料理なのー?」
「道具の鍋に野菜や肉とか入れて煮込んだ物を、そのまま食卓に出して皆で食べる料理だ」
「楽しそうなのー!」
「楽しいぞ。それと、鍋なんだがほら、前に土鍋っての作っただろ?あれを使おう」
「でっかいお鍋?わかった!出してくる!」
代用品は一応あるけどどこまでやれるかな……
広場にでかい土鍋を設置し、調理を開始した。
野菜代わりの野草と熊肉を切って、出汁の準備をする。
ここが一番の難関。
まず、醤油がない。
これが一番つらい。
ああ、醤油が恋しい。
でもないものはしょうがない。
代用品にソールイ草って草の汁を使う。
なぜか良い出汁が取れる野草。やや醤油に近いが不思議な味がする。
後は昆布なんてないし、仕方ないから最近作った小魚の干物を使う。
この小魚は種類が様々でそれぞれ味が全然違う。中には魚の味がしないものまであるので組み合わせ次第では何とか鍋の出汁になる。
塩代わりの石を削って入れたり、酒を入れたりして味を調えつつ出汁が完成。
それから硬い野草を入れる。
「お前らーそろそろ食器の準備始めろー」
「わかったー!」
妖精達に準備をさせている間に良い感じに出来てきた。
肉と柔らかめの野草を入れて、肉に火が通ったと思った頃に蓋を開ける。
灰汁取りが少し大変だったが……
「完成だ」
蓋を開けた瞬間、すごく良い匂いがして妖精達が喜ぶ。
「とってもいい匂いなのー」
「おいしそうなのー」
大はしゃぎしている妖精達を見ていると、横からサッと何かが飛び出してきた。
見ると椀だった。
姉御が器用に手のひらに椀を乗せてじっと待っている。
はよ入れろと無言の圧力を感じた。
俺は無言で椀によそって渡した。
その後、妖精達にも最初だけよそってやり皆で食べ始めた。
姉御を見ると熊肉を食べていた。※ラーフィスは雑食です。
姉御は肉好きだから……
一方妖精達は一生懸命ふーふー息を吹いて冷まして、はふはふと食べている。
「慌てて食べて火傷するなよ。まだまだ沢山あるからなー」
「はーい」
おいしいおいしいと妖精達が食べている。鍋は大成功だった。
代用品ながらかなり良い物ができたと思いながら、異世界風鍋を堪能した。
その日は遅くまで賑やかな一日だった。
あー、米があればおじやできたのに……
米食いてぇ……
妖精さんは防御力がやたら高いようです。
てっしょーよりずっと大きい熊の突進で跳ね飛ばされてもだいじょうぶーと言った感じ。
姉御はてっしょーに凶悪な鎚技を仕込んでいるようです。
ラーフィス流(正確には姉御流)鎚技を完全マスターしたてっしょーはどうなるのやら。
では、誤字脱字、感想アドバイス等お待ちしております。