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古城兄、恋愛イベント1「和解」

皆さんこんにちは、通りすがりの女子高生Bです。


ところで今私はまさに花崎歌の恋愛イベントの真っ最中に直面しております。



「お忙しいところ申し訳ありませんが、この辺りに君と同じ制服を着てこのくらいの髪の長さの女子生徒は知りませんか?」



お忙しいところってわかってんなら話しかけんなよくそが。

暇だけど。


とは言わずにすました顔で私は答える。



「さ、さあ……」



何あからさまにガッカリした顔してんだよ、普通わかんねーってそんなんじゃ。


手がかりが髪の長さと同じ制服しかないじゃん、ふざけてんの?



「そうですか」


「あのっ、貴方って生徒会長の古城隼人さんですよね?だったら……」


「また今度にしてくれませんか」



あらら、ふられちゃったよ私。


どーせ古城兄が探してんのは花崎歌でしょ。


だったら探してるのは花崎歌さん?その子なら泣きながらあっちに言ったけど。


って言おうとしただけなのに残念だわ、自意識過剰なんじゃないの古城兄。



古城兄は切羽詰まった顔をして小走りで私を通り過ぎていった。

あれ、これひょっとして。




尾行してみたら、面白くない?


私はおもしろ半分で古城兄を追うことにした。




そして、



「っ、ごめんなさい。本当に……見るつもりなんか」


「誤解するな、あれは」



公園で一人ブランコに乗っていた花崎歌を見つけ、古城兄は駆け寄った。


ふーん、古城隼人の恋愛イベント1かなこれは。



「逃げ出すつもりなんか、なくって。でも隼人さんが他の子と抱き合ってるの見て、寂しかったって思うなんて!」


「花崎……」


「わたしずっと一人っ子だったから、お兄ちゃんが二人できたみたいで嬉しくて、だからきっと……嫉妬しちゃったんです」



聞けば聞くほど耳を塞ぎたくなるような台詞。

本当にゲームの中に迷い込んでしまったんじゃないかって錯覚する。


どうしよう、すぐ近くの草むらに隠れてみたけどどうみたって怪しい人だ。



「これでいいだろ」



さすがと言うべきか攻略対象キャラ、古城兄。


古城兄はまだ泣いている花崎歌を優しく包みこんだ。

簡単にいうと抱きしめた。



はいはい、カッコいいカッコいいっと。


さすがの私もこれ以上見るのはマズい気がして、その場を立ち上が……れない!


立ち上がれないかよ!騙されたよ!


いやまじで、今立ち上がったら確実に見つかる。


エアーをクラッシャーするのはマジ勘弁。



「隼人さん……」


「告白されて、いきなり抱きつかれたんだ。だからあれは花崎の誤解」



その間にも進んでいく恋愛イベント。拷問か。



「うん、隼人さんのこと信じるよ」


「ああ」


「だってこんなにも暖かい」



ああああああああ!!

今鳥肌たったぁぁあああ!


私の前でイチャイチャすんなくさい台詞言うなリア充するな私が悪いんだけどさ!



「変なこと言うな」


「だって」


「お前はだってばっかりだな」



なんかよく分かんないけどイラッときた。





……結局、私は最後までベタベタなイベントを見せ付けられ、二人が仲良く歩いていくのを見送ったのであった。



今日の日付は九月十日。

花崎歌が転校してきて一週間と三日。


まだまだ始まったばかりである。


古城隼人、恋愛イベント1。


終わり!



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