古城弟、恋愛イベント2「二人の未来」
ようこそ占いの館、魔法縁へ。
わたくしは怪しい占い師。
この大きな大きな水晶玉で、あなたを占いましょう。
なーんてね。
皆さんいらっしゃい、今私がいるのは占いの館、魔法縁です。
私は怪しい占い師。
この大きな大きなガラス玉で、あなたを占いましょう。
……バイトだけど。
ちょうどバイト募集してたんだよねー、一人占ったら1000円、二人占ったら2000円って感じで。
まあそんなことはどうでもいいんだけど。
「そこのカップルさん?占いをしてみませんか」
超絶美少年と平均よりちょっと上くらいの少女に私は声をかける。
ちなみにここは人通りのあんまりない道だ。
いやつっこんだら終わりだから、気にしない。
なんで外なのに占いの館なんだとか言っちゃいけない。
イメージ的にはおじゃ〇丸の占い師いたじゃん?あんな感じだよ、うん。
ハムスターはつれてないけど。
「かっ……!?違いますカップルじゃないです」
「俺はそれでもかまわないけどね」
「え、いやいや!」
「冗談だよ。歌ちゃんは本当に面白いよね」
まあこの会話からすると、また香坂先輩あたりのイベントかよふざけんなと思うとこ。
実際は、
「もう、勇人さんったらからかわないでください!」
そう、古城弟の恋愛イベント。
この人はかなり不遇で出番が少ない、要するに影が薄い。
影が薄い。
大切なことなので二回言いました。
あの幼なじみの良ちゃんでさえ出てきたというのに、古城弟は初登場から今まで一切出て来ていないのだ。
ワーカワイソー(棒読み)
「ゴホンッ、どうしますか?やります?」
私の存在忘れんじゃねーよこのマセガキが。あ、同い年だったわ。
「いくらなんですか?」
「今ならお二人ともタダにしますよ」
タダでやったら赤字?知るか。
だってタダにしないとやんないでしょう?
「俺はどっちでもいいよ」
「うーん……」
選択肢発生!!
してもらう
やめておく
さあどれ?
「タダみたいだし、してもらおうかな」
「歌ちゃんは好きなの?占いとか」
「え?うん。毎朝やってる星占いとか、ちょっと気になっちゃうな」
「へぇ、女の子らしくていいね。そういうの」
好感度上がったーっ!
「ふふふ、それじゃああなた達の相性を占いましょうか」
「え!?」
「それは楽しみだね」
みるみるうちに花崎歌の頬が赤くなっていく、それとは反対に古城弟はニコニコしていた。
あー…だりぃ。
正直なとこ、私占いとかよくわかんないけど私って何だかんだいってチートっぽいから何とかなるっしょ。
出でよ!モブキャラパワー!
はっ!
ガラス玉をじっと見つめる。
「ふむ、なるほど……。想いはいつか募り蕾が花咲くと出ています」
「というと?」
「現在はまだ何とも言えませんが、後に信頼関係を築けます」
あれ?これ相性占いじゃなくね?
まあいっか。
「は、はぁ……」
うわー絶対怪しんでるよ花崎歌。当たり前か。
古城弟はまだニコニコ気持ち悪い笑みを浮かべてるし。
キモいんじゃなくて気持ち悪い。
「ふふふ、それではお幸せに(また学校で会いましょう)」
「え、ちょっと!」
椅子から立ち上がり、私は歩き始める。
これにて占いの館、魔法縁は閉店させていただきます。
完全に二人が見えなくなったのを確認して、紺色のマント(フード付き)を脱ぐ。
「ふぅ……」
モブキャラも意外と大変なこと、主人公たちは分かってんのかね?
秋の色が濃くなってきた十月の中旬。
「花崎歌……ね」
主人公たちの関係にも変化は訪れるのだろうか。
古城弟、恋愛イベント2。
題名をつけるとするなら……二人の未来、かな。
終了です。




