ソーシャルとラッシュ
私は昔から嫌いなものが多かった。
外で遊ぶのも、外にでるのも…
人と話すのも。
そういった『嫌』なものがない世界に
行きたいと思っている程だ。
そういうのを世の中では、
『社会のゴミ』と言うのだろうか。
ー
想像したことはあるだろうか、
ひとりぼっちの生活を。
親も親戚も、家族も友達もいない生活。
家はあるのに空っぽで、冷えきっていて、
その度に過去の残像が脳裏を転がる。
ある日、私の家族は死んだ。
当時の私は12歳。
学校からかえって遊びに行き、また家に帰ると、
誰もいないことに気がつく。
どの部屋を探しても誰もなにもでてこない。
親だけでなく、妹もいなくなっていた。
まだ幼かった妹が親にわがままをいって、
どこかにでかけているのだろう。
そう思っていた。
一時間、三時間、六時間……。
そうやって時間が過ぎても、
帰ってくる気配はなかった。
それでも、そのうち帰ってくるだろうと
心に言い聞かせた。
その日の夜は、そのままなにも食べずに
眠ってしまった。
翌朝、いつも通りの時間帯に起床。
母の「おはよう」が聞こえなかった時点で、
私は不安になった。
「でも、学校には行かないと…」
そう呟いて、台所へ顔を出す。
朝食を簡易的にだけつくり、ひとりで食べる。
気晴らしにテレビをつけたのは
間違いだった。
朝のニュースが映し出されて、
画面の奥でアナウンサーが語りだす。
『
速報です。今朝、家族三名の遺体が発見されました。
その中には、7才の女の子も含まれており、
何者かに殺害された模様です。
名前はー 』
まさかと思った。
とっさにテレビの電源をおとして、
リモコンを液晶画面に投げつける。
強い音がしたが、意外にもテレビは頑丈だった。
自然とイスから立ち上がる。
そんなわけがないと思い、自室の携帯を取りに行く。
もし、電話が繋がれば
朝のニュースは私は家族のものではないと証明される。
部屋にはいると、携帯を探しだした。
寝る前は
ベッドの横にちゃんと置いているつもりだが、
私は寝相が悪いらしいので、
下を向いて探す。
その時、何かが目に映った。
赤い液体。
時間がたって固形化しているが、
遠目ではよくわからない。
もう少し近くで見ようとしたところで、
吐き気が込み上げてきた。
「う゛…」
必死に口を手で塞いで
トイレにかけ込む。
すると、一気に
朝食が胃から戻された。
喉が苦しくなって、
涙が止まらない。
自室の真横がトイレでよかったと、
初めて思った。
しばらくはそこを動けないでいた。
若干、気絶に近い状況だったのだろう。
私は思った。
家族のこと、私は大切に思っていたんだ。
生まれて初めて、その日は学校を休んだ。
家にいる間、
何度もインターホンが鳴った。
それでも、誰がきても、
ドアを開く気はなかった。
ー
あれからもう6年、
私は18歳になった。
今、無職でフリーターをしている。
独りの生活はすっかり慣れて、
あの日の事件もあまり気にしないようになった。
ただ…今でも、
4月1日が来ると、
どうしても殺したくなるのだ。




