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嫌われ王子、国を捨て亡国の王女を助ける  作者: 空野進


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アルムガルドの動き

 当然ながら第一王子がいなくなってから彼のもたらした騒動の数々がアルムガルドでも広まることとなった。


 基本的には女性関係なのだが、気に入った女性を手に入れるためには犯罪まがいなことを度々行っていた。

 その結果、かなりの恨みを買っていたようでむしろ第一王子失脚は人々から歓迎されたのだ。

 ただその弊害も現れ始めていた。



「……国民の暴動が止まらんな」



 国王は深刻そうな表情を見せながら貴族連中と話していた。



「すぐに派兵して押さえつけましょう」

「その兵が暴動を斡旋してるじゃないか!」

「騎士団連中はいったい何をしている!」

「経費削減で人数を減らしておりました」



 貴族たちは意見を出すものの結局解決策はまるで出てこない。

 するとそんな時にこの中で唯一、神官の身で参加している大神殿の神官長が言う。



「こんなときこそ聖女様に出ていてただいて怒りを鎮めていただきましょう」

「おぉ、それだ!」

「それがいいですね!」

「こんなに簡単な解決方法があるとは!」



 貴族連中はそろって神官長を称賛する。

 聖女なら金を掛けずに使うことができる。


 おそらく献身的な彼女ならば民衆の気持ちを和らげることができるだろう。



「ところで聖女たちは?」

「最近姿を見ないな」

「どうやらリンガイア王国に向かったようで……」

「リンガイア王国といえば確か第一王子が向かったのも……」

「ちっ、使えん奴だ」

「ご安心ください。聖女の代わりなどいくらでもおりましょう。前の聖女たちは少々問題がありましたからね」



 不敵に微笑む神官長。



「せっかくですから元聖女様方には悪役になっていただくというのはいかがでしょうか?」

「ほう、どういうことだ?」



 国王は神官長の提案に疑問を投げかける。



「民衆は怒りの矛先を求めているのですよ。わかりやすい矛先である第一王子を失ったから。ならば我々はそっとこう囁いてやればいいのです。『彼女は偽の聖女だったから神の怒りをかった』と」

「し、しかし、それでは今までの聖女様の活躍が……」



 そこで口を閉ざし、これまでに聖女がしてきた行いを考えてみた。

 森を燃やし、国民を逃がし、敵から逃走する。

 何もしてないな、あいつら。



「よし、それでいくか」

「問題は第二王子ですね。第一王子が消息不能となると王位継承権の一位は彼になるでしょうが、元聖女にかどわかされていますから」

「……いざとなれば第三王子を呼び戻す。どうもあれは最近評判が上がってきているようだからな」

「確かに反乱の中に『第三王子を王に』という声もありましたね」

「しかし、あの嫌われがトップに立つと我々に不利なことが多々出てきましょう」

「我々の傀儡になるという一点においては第二王子が一番いいでしょう。国王様もそう思いませんか?」

「……そうだな」



 国王の承諾が出たことを聞いた貴族や神官たちはすぐに新しい聖女を立てると、暴動を起こしている人たちに向けて、元聖女と第一王子が全ての元凶であることを発表。

 新聖女と共に元聖女討伐の軍を差し向けることとなったのだった。


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