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嫌われ王子、国を捨て亡国の王女を助ける  作者: 空野進


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聖女襲来

「……魔族じゃないなら私は誰に襲われたのだろう?」



 リッカが不思議そうに首を傾げる。

 普通に考えると黒幕は王国である。それはわかるのだが、なぜだろう? あの国王(ちち)がこんな手の込んだことをするように思えない。


 つまり国王ではない誰かが動いた結果ということがわかる。

 そうなると問題になるのは誰が帝国に攻撃を仕掛けたのか……ということだが。



「第二王子は違うだろうな。森に火を放つ奴らだ。そうなると第一王子……か」



 ただそこで生き残ったリッカの姿を見る。

 どちらかと言えば幼児体型。

 第一王子の好みとはズレている気がする。


 基本的に全ての行動が女性絡みという第一王子なのだ。

 ここまで複雑な策を弄する相手ではないと思うのだが……。

 ただそうなってくるとアルムガルド王国の王子の中で一番こういったことをしそうな人間は……俺と言うことになってしまう。



「はっはっはっ、お前がそんな陰険なことをするはずないだろ? 正々堂々正面から策を弄するはずだ!」



 魔王が笑いながら言ってくる。

 ただ危険に備えていろんな罠は仕掛けている。

 例えば王国側ならば街道から逸れたところには危険であることを明示した上でいくつかリュリュが作った宝箱(ばくだん)を置いてある。


 威力は抑えているために即死とはいかないが、最低限の意識を奪うくらいならできるはずだ。


 そもそもそんな怪しげな宝箱を開けるのは盗賊くらいなので、ある意味防犯対策にはバッチリだった。



「確かに我が城にも防犯対策として、宝箱に魔物を潜ませたりとかはしてるが、人の城に置いてある宝箱を開けるようなやつは盗人くらいしかいないからな。まぁ、邪魔にならないところに置いておく程度のものだな」



 魔王城にも同じようなものが置いてあるらしい。

 そういえばゲームにも宝箱を開けると魔物が襲ってくるようなものがあったが、盗難対策の罠だったとは。


 でも全部屋を巡って宝箱を開けていくような真似、ゲーム中じゃないとできないしな。

 体力がそんなに長時間持たない。


 いつ魔物が襲ってくるかわからない状況で周囲から目を逸らして宝箱へ向ける。

 そんなこと考えただけで恐怖である。

 そもそも魔物に警戒しながら周囲を探索するなんてストレスが溜まりそうで、とてもじゃないが俺にはできなさそうである。


 魔王と笑い合っていると突然王国側から爆発音が聞こえてくる。



 ドゴォォォォォン!!



「…………」

「…………」

「……まさか引っかかるやつがいるとは」

「……盗賊?」

「だろうな。一応捕縛するために行くしかないよな?」



 仕方なく俺たちは音がして、今なお煙が上がっている場所へ向かっていくこととなった。




◇◆◇◆◇◆




 時は少しだけ遡る。

 聖女ミリアたちは魔王が支配する敵性国家リンガイアを目指して進んでいた。


 それなりに旅を続けていた彼女たちのレベルはそれなりに上がり、今では出会った魔物に見つからずに逃げるスキルに関しては王国随一といっても過言ではないほどまで育っていた。


 それとは別に宝箱の匂いを嗅ぐスキルとか、鍵のかかったものを解錠するスキルなどは超一流だった。


 その全てが盗賊スキルであることを聖女たちはまるで気づいていない。



「ちっ、今日はしけてやがるな」

「まったくですね。この程度の稼ぎでどうやって新しい武器を買えばいいのですか」



 稼ぎといってもよその家に入って盗んできたものばかりである。

 そもそも魔物を倒したならその素材を売れば金になるのだが、聖女たちはそんなことは一切していない。


 聖女が倒した魔物を持ち帰るなんて外聞が悪いといって、全て放置してきたのだ。

 その後どうなかったのか一切気にせずに。


 倒した魔物を放置するとアンデッドとして復活してしまう。

 だから素材採取した上で最後には燃やしたりしないといけないのだ。


 だからこそ聖女たちが通ったあとにはアンデッドの山ができる。そう言うともはや聖女ではなくアンデッドの王、リッチとかにも思えてくる。


 とはいえ、そんなことを注意しようものなら第二王子ジークハルトが鉄拳制裁という名の攻撃が飛んでくる。

 そんなことを繰り返していたから誰も彼らに意見するものはいなくなっていた。


 そんな誰の意見も聞かない彼らが『この先危険』と書かれた看板を守るわけもなく、堂々とその先へと進んで行く。



「なんだ、宝が隠されていたんじゃんねーか。あんな怪しい看板で隠せるはずねーよな」

「きっとすごく良いものが入っていますよ」

「えっと、さすがに道ばたに適当に置かれた宝箱は怪しいと思いますよ……」

「安心しろ、何かあっても俺たちなら対処できる」



 あまりにも自信たっぷりに言うものだからミリアもその言うことを信じてしまう。

 そして……。



 ドゴォォォォォン!!



 爆発に巻き込まれるのだった。


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