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嫌われ王子、国を捨て亡国の王女を助ける  作者: 空野進


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40/50

魔王と勇者

 襲撃があってから数日後。

 俺は自分の領地に戻り、平穏な生活を送っていた。



「領主様、また土壁をお願いします」

「テオ様、木材の付与もよろしくー」

「……おにく」

「今度こそ爆発なんてしない魔道具を作ったぞ! 見てくれ!」



 平穏な生活を送っていた。



 ドゴォォォォォン!!



「ち、違うぞ? これはあれだ。そう、周囲のごみを一掃する魔道具だ」

「領主様、土玉の補充とリュリュ様の回収に来ました」

「ケガ人が出たぞ。すぐに領主様のところに連れて行くんだ!」



 平穏な生活を……。



「おいっ、グリム! お前、訓練をさぼってるだろ!」

「俺様がどうしてお前たちの訓練に合わせてやらないとだめなんだよ」



 平穏……。



「テオ兄ちゃん、たくさんのお野菜を持ってきたよー」

「今日もパーティーをするにゃ」



 なぜか館にある私室で休んでいるとこぞって集まってくる領民たち。

 おかげでたまの休みですらまともに休めなかった。



「だぁぁぁ、お前たち、集まりすぎだ!」



 まったく、最近トラブル続きだから少しは休ませてほしい。



「とりあえず優先順位をつける。ケガ人からだ。ミューの食材は貯蔵庫へ運んでくれ、そこに肉があるからスズはミューの手伝いをしたら肉を食っていい。リュリュはとりあえず研究所へ捨てといてくれ。あと、付与はすべてが終わったらまとめてやってやるから素材を固めておいてくれ」



 早口で指示を飛ばす。

 それを聞いて領民たちが散り散りに動き出したのを見てから俺はもう一度椅子に座り深々とため息を吐く。



「お疲れ様です」



 タイミングを見計らってリフィルがお茶を入れてくれる。



「ありがとう。助かる」



 そのお茶を一口飲む。

 一応貴族であるリフィルはお茶にも精通している……、はずがなぜか俺のために入れてくれるものは苦みや臭みが勝っているのが玉に瑕だった。


 もちろんすべてのお茶がそういうわけではなく、普段は普通のお茶を出している。

 でもなぜか俺のものを入れるときに限って「体に良さそうなものとか疲れが取れるものを集めてみました」と笑顔で言いながらお茶を用意してくれるのだ。


 そんな笑顔を見せられたら断るに断れない。

 それに毒が入っているわけでもない。


 単に苦いだけ。

 リフィルが喜んでくれることもあり薬だと思って飲むことにしていたのだ。

 すると……。



「……私も」



 リッカが俺の服を引っ張ってきて言ってくる。

 一応リッカも俺の館住みということになっていた。


 ただ俺以外とは碌に喋れない様子で基本的に部屋に閉じこもって本を読んでいる。

 すでにこの領地にある本は全部読んでしまったらしく、王城の書庫からいくつか借りている状況であった。


 そんなリッカが珍しく俺の私室へやってきたかと思うとリフィルにお茶を要求していた。



「わかりました。すぐにご用意いたしますね!」



 リフィルは嬉しそうにお茶の用意を始めていた。

 あそこまで気合を入れると相当苦いものが出来上がってしまいそうなのだが、それはいいのだろうか?


 それに一応リフィルはこの国の王女である。

 いつまでも彼女に給仕のまねごとをさせているのも対面的にどうかとも思える。


 リフィルがやりたがっているので適度にはさせてあげる必要はあるだろうが。


 そんなことを考えているとリッカが俺の服を引っ張ってくる。



「……ところで魔王は?」

「やっぱり結界が邪魔してこられなったのかもな」



 それならもう一度連絡を取って別のところに来てもらうかな。


 そんなことを考えていた時に突然上空の方で何かが割れる音がする。



 パリィィィィン!!



「リフィルが食器でも落としたかな?」

「……違う。すごい気配が近づいてくる」



 リッカが周囲を警戒し始めるとその瞬間に、俺たちの目の前に魔王が現れる。



「はははっ、呼ばれたから来てやったぞ!」

「……おいっ、さっきの音はなんだ?」

「音? 邪魔な結界をちょっと割っただけだが?」



 さも平然と当たり前のように言ってのける魔王。

 慌てて俺が窓から上空を見ると確かに結界の穴のようなものを感じることができた。


 ただそれも徐々に修繕されているので一時的に注意するくらいで問題はなさそうだった。



「それでわざわざこの我を呼び出していったい何の用だ?」



 腕を組み高笑いする魔王の隣で俺はリッカを見る。

 すると彼女は首を横に振る。


 どうやら魔王は襲ってきた魔族ではないようだった。

 もちろんそんなことをわかりきっていたが。



「どうやら人違いのようだ。帰ってくれていいぞ」

「ちょっと待て!? ここまでくるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!? この国の結界は魔族には毒だからわざわざそれを無効化するための装備を用意して、派手な登場を考えて、更には台詞の読み合わせまで……。いや、何でもないが」



 どうやら魔王はいちいち登場する際の台詞を練習しているようだ。

 それだと呼んですぐさま帰すのはさすがに申し訳ない。


 それに他にもいろいろと聞きたいことがあるのは変わらなかった。



「冗談だ。聞きたいことはこの子と帝国のことだ」

「……魔族が滅ぼした?」



 リッカは冗談を離すことなくストレートに聞いていた。

 ただ言葉があまりにも少ないので俺が補足して、リッカが隷属化させられていたことまで話すと彼は声を上げて笑い出す。



「はははっ、どうして我がそんなことをするんだ? そもそも今魔王軍は壊滅状態だ。どこかの誰かが潰してくれたおかげでな」



 魔王が俺の方へと視線を向けてくる。

 なるほどな。いつも妨害ばかりしていると思っていた聖女たちが既に魔王軍を壊滅するくらいには力をつけていたのか。

 メインキャラはレベルが上がるのが早いからな。



「……それじゃあ一体誰が?」

「そもそもお前を従えていたのはアルムガルドの連中だろう? 最近他国にちょっかいをかけているのも奴らだ。つまり――」

「アルムガルドが黒幕……か」



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