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マーサがギルバートの部屋へ行き用事を済ませた後、ルフェルニアとマーサは街へ向かった。今回は普通の馬車を貸してもらえたので、ギルバートが居なくても普通に乗り降りができたことに、ルフェルニアはほっとした。


「先ほどギルバート様より、明日の午前にはやっていないところを中心のご案内するよう承っております。こちらで行先は決めても構わないでしょうか?」


マーサがそう言うと、ルフェルニアはすぐに頷いた。


公都内の歴史的建造物から、有名な画家の絵がある博物館、それからルフェルニアが好きそうな洋菓子店など、幅広く効率的に回ってくれた。

夕暮れが近くなり、そろそろお城へ戻るころか、とルフェルニアが思っていたころ、綺麗なガラス張りのブティックの前に馬車は停まった。


(何かお使いで拾っていくものがあるのかしら?)


ルフェルニアがぼんやりと馬車の中からお店の様子を見ていると、マーサが降りるように促した。


「マーサ、ここも観光名所なの?」

「いいえ。ギルバート様から本日のディナーに合わせてドレスを購入するよう申し付けられております。」


急なことにルフェルニアは驚くと、お店の前で歩みを止めた。


「この服ではダメかしら?」


ルフェルニアは自身が着ていたデイドレスを見下ろした。今日は公都に入る予定だったため、荷物の中でもよりフォーマルなものを選んでいる。フォーマルといっても、今回の出張の目的から、スカートのふくらみの小さい日常づかいのドレスだが、おかしなことはないだろう。


「そのドレスもとてもお似合いです。ただ、ギルバート様は今回のノア公国へのお立ち寄りで、当初お持ちになったお洋服では足りないのではないかと心配されておいででした。」

「少し余裕を見て持ってきているので大丈夫です。お気持ちだけいただいておきます。」

「ご遠慮なさらず!ギルバート様は全く女性にドレスを贈らないものですから、わたくしもとても楽しみにしているのです。」


踏み入れたらだめだ、とルフェルニアは思うものの、マーサの手に引かれて気づけば店内の大きな個室に通されていた。


個室には既に何着かドレスが用意されている。

きっとこれもマーサがギルバートに言われて手配してくれたのだろう。


「ルフェルニア様はこの数日、寒色系のお色味のドレスをよくお召でしたが、きっと艶やかな黒い髪と瞳にはありとあらゆるお色が合うと思いますよ。」


マーサはそう言って、次から次へとルフェルニアの体にドレスを当ててみせた。

マーサはフォーマルなものから普段使いのものまで、10着程度を店員に手渡すと、ルフェルニアに試着するように言った。


「本日のディナー用なら普段使いのものは不要なのでは…?」

「ノア公国からガイア王国へのお帰りの際のものも購入するように、とのことです。」


ディナーの格好としては不適切だ、と言われれば恩恵にあやかるしかない。しかし、普段づかいは本当に不要だとルフェルニアは抵抗してみせるが、店員とマーサに世話をされ、ルフェルニアは着せ替え人形のようにドレスを着せられていく。


「本日のドレスはこちらの黄色のドレスがとてもお似合いだと思いましたが、いかがでしょう?」


マーサは、ドレスに対して良い・悪いを言わないルフェルニアを気遣ってか、そう言った。

黄色のドレスは、いつの日だったか、ユリウスと一緒に見た生地と似たようなものが使われている。


(そうか、私、もう違う色を着るのね。)


ふと、ユリウスのことを思い出してしまい、ルフェルニアは一瞬顔を曇らせる。


「ありがとう、それではこちらにするわ。」


ルフェルニアは無理やり笑みを浮かべて答えると、マーサは満足そうに頷いた。

それからマーサは、ルフェルニアに似合っていたデイドレスを2着購入すると、ルフェルニアに黄色のドレスを着つけて、髪を結い直し、化粧を施した。


「良くしてもらい過ぎて、本当に申し訳ないくらいだわ。」

「本当にお気になさらないでください。先代と先代の奥様はノア公国の田舎に暫くの間滞在されているので、久々に女性を着飾ることができて楽しんでいます。」


マーサとたわいもない話をしていると、馬車がお城に到着したため、ルフェルニアはマーサに付いて、夕食の部屋へと向かった。


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