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歓談しながら食事を楽しんだ後、食後のお茶を飲みながら、ギルバートが本題を切り出した。


「昨日の話だが、ガイア王国が良いなら、土壌を持って帰ってもらって構わない。

それから、土壌の解析に当たって、直接意見交換がしたいから、ガイア王国へ君が帰国するタイミングに合わせて行こうかと考えている。土壌の解析に時間はかかるのか?」


ルフェルニアは、ギルバートが大公だとは思っていなかったので、こんなに早く許可が出ることを想定していなかった。

ルフェルニアが帰国する前に、ノア公国の担当者の名前が聞けるか、日程調整の話が先に来るか、くらいの心づもりでいたのだ。


「土壌の解析自体にはそれほど時間はかからないけれど…、大公であるギルが来国するとなると、国として準備が必要だわ。」

「宿泊先などはこちらで手配するから気にしなくていい。あくまで公務ではなく、私事の扱いにしておくさ。とはいえ、一緒に済ませてしまいたい用事もあるから、1か月ほど、長期で滞在しようと思っている。」


(ギルはこう言うけど、突然来たらびっくりしちゃうよね…。ユリウスから預かった鷹を急いで飛ばしておこう。)


私事、と言われてしまえば、ルフェルニアに拒むことはできない。

ルフェルニアは先にユリウスに状況を伝えることを考えて、了承の意を示した。


「それから、これはすでにテーセウス王国側に相談してあるのだが、俺の馬車に一緒に乗ってガイア王国へ帰れば良い。侍女も付くから、その方が君には便利だろう?」

「えっ!?そこまでしていただくわけには…。」

「テーセウス王国が別に馬車を出すより経費も抑えられる。」


ギルバートと帰り3日間、ずっと一緒というのも少し気まずい、そう思ってルフェルニアは遠慮しようと思ったが、国の経費のことを言われてしまえば、これも拒むことができない。


ノア大公の乗る馬車だ、ルフェルニアの乗ってきた馬車よりも護衛もたくさん付いているだろうし、何より同乗者が元騎士団長。何よりも安全だろう。


「わかりました、ありがとうございます。」

「不服そうな顔だな。ちゃんと君のご機嫌を取れるように日持ちのする甘いものも積んでおくさ。」


またも揶揄うように言うギルバートに、ルフェルニアは少しだけ口を尖らせた。


(ギルもアルと一緒で、私のことを何歳だと思っているの…!?)


_____


ギルバートとの食事の後、ルフェルニアはホテルに戻り早速ユリウスに手紙を書いた。

いつものくせで、連絡事項の他にテーセウス王国で起きたことをユリウスに共有しようと手紙を書いてしまったが、思ったよりも枚数が重なってしまいルフェルニアは我に返った。


(業務に必要なことだけ、お伝えすれば良いわよね。)


だらだらと手紙が続いていては、大事なことが分かりづらかろう、ルフェルニアは自分を納得させると、随分短くなった手紙を鷹の脚に括り付けた。


「それじゃあ、よろしくね!」


ルフェルニアが手を離すと、鷹は空高く舞い上がり、一度ホテルの上を大きく旋回すると、ガイア王国の方角に向かって羽ばたいていった。


先ほどの食事の最中、ルフェルニアが講義の内容で迷っていることを伝えると、ギルバートはテーセウス王国の歴史や気候について、とても分かりやすく教えてくれた。

そのことを忘れないうちに、講義のメモに残しておかなければ、とルフェルニアはまた机へ向かった。

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