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アルウィンから見送りの言葉ももらって、翌日の早朝、ルフェルニアはテーセウス王国への出発のために、寮の前まで迎えに来てくれた馬車に荷物を積み込んでいた。
小さい馬車に御者が1人、護衛が2名だ。
小さいといえども、さすがテーセウス王国の馬車、意匠が凝っている小綺麗な馬車だ。
最近テーセウス王国では木製ではなく、軽量で丈夫な鉱石を加工した馬車が主流で、ガイア王国の裕福な貴族もそれを購入している。
木製のように後から模様を削るのではなく、鉱石を馬車の形に加工する段階で魔法を使わずして模様を型取るというのだから、テーセウス王国の技術力の高さがこの馬車ひとつで伺える。
「ルフェ、気を付けて行ってきてね。」
同じ寮に住むミシャは、ルフェルニアの見送りに来てくれていた。
「ありがとう、ミシャ。出張中、業務で迷惑をかけてしまうと思うけど、よろしくね。」
「もちろん、出張中のことはこちらでなんとかしておくわ。」
「それより、ルフェ」とミシャが手招きをするので、ルフェルニアはミシャの口元に耳を寄せた。
「テーセウス王国でいい男性を捕まえてくるのでしょう?」
「ちょっと!!!」
これから往復6日間もときを過ごす御者と護衛の前で何てことを言ってくれるのだ、とルフェルニアはぎょっとした。
確かに先日、ルフェルニアは冗談交じりにミシャとそんな話しをしていた。
「大丈夫、少し離れているし聞こえていないわよ。報告、楽しみにしているからね。」
ミシャはいたずらっぽく笑うと、「そろそろ荷積みが終わりそうよ」とルフェルニアが馬車に乗るように促した。
「ミシャ、朝早いのに見送りしてくれてありがとう。」
「うん。いってらっしゃい。」
「いってきます!!」
ルフェルニアを乗せた馬車は、隣国・テーセウス王国に発った。




